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10/01/2014

No.0135 オンライン濃縮キャピラリーゾーン電気泳動法による微量異物の分析

キャピラリーゾーン電気泳動(CZE)は分離能が非常に高く、分析に必要な試料量・試薬量が少ないことから次世代の分離分析として期待されている手法の一つである。
今回、CZEの試料注入法としてオンライン濃縮法を確立し、感度を100倍向上させた。 さらに、イオンクロマトグラフィー(IC)とCZEとの併用分析法を開発し、選択性を飛躍的に高めた。

キャピラリー電気泳動法の原理と特徴

Fig.1 キャピラリー電気泳動法の模式図

Fig.1 キャピラリー電気泳動法の模式図

<原理>
フューズドシリカキャピラリー内に泳動液を満たし、キャピラリーの両端に電圧を印加し、電気泳動を行う分離分析法
UV吸収のない成分の検出にはインダイレクト法*を用いる
<特徴>
分離能が非常に高く、他成分の同時測定が可能
×イオンクロマトグラフィー(IC)と比較して感度が低い(落差法)
<測定対象成分>
水溶液中の低分子アニオン(弱酸含む)・カチオン
*泳動液に紫外線吸収物質を添加し、吸収の減少をモニタする検出法


オンライン濃縮による感度の向上

落差法とオンライン濃縮(電気的注入法)を用いて、アニオン4成分の標準液を測定した。

落差法(従来):試料の注入量が数nL
オンライン濃縮(電気的注入法):電圧を印加することで目的成分のみを注入  
→濃縮効果により、感度が向上(ただし目的成分に応じた条件設定が必要)

Fig.2 落差法(上)とオンライン濃縮(下)で測定したエレクトロフェログラム(アニオン)

Fig.2 落差法(上)とオンライン濃縮(下)で測定したエレクトロフェログラム(アニオン)


異物分析への応用

1.サンプリング



2.アニオンのCZE分析

Fig.3 異物抽出液のエレクトロフェログラム(アニオン)

オンライン濃縮CZEにより、ng~μgレベルの高感度分析が可能となった。
この技術は可溶性微量異物の成分分析に有効である。
ICとCZEの併用分析により、飛躍的に選択性が向上した。
この技術は微量イオンの定性・定量分析に有効である。



ICとCZEの併用分析

ICとCZEとを併用し、カチオン8成分の標準液を測定した。 ※ICの分取→CEZへの注入はオフラインで実施

Fig.4 ICのクロマトグラム(上)とICとCZE併用分析のエレクトロフェログラム(下)カチオン)

Fig.4 ICのクロマトグラム(上)とICとCZE併用分析のエレクトロフェログラム(下)カチオン)

分析機能と原理


カテゴリー

材料・素材

分類

金属・無機材料