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2017年6月7日
東レ株式会社
高機能・有機無機ハイブリッドコートフィルムの開発について
-加工工程における擦れキズ、異物析出、粗大突起を抑制-

 東レ株式会社(本社:東京都中央区、社長:日覺昭廣、以下「東レ」)は、この度、擦れに強く、高平滑な表面を有する高機能・有機無機ハイブリッドコートフィルムの開発に成功しました。  高速・大容量の情報通信が必要なIoT社会に向けて、高性能・多機能な電子デバイスのニーズは日増しに高まっており、同時に構成材料の高機能化・高品位化が不可欠となっています。  今回開発した新規PETフィルムは、お客様の加工工程において、支持体となる基材フィルムとして用いたり、表面保護目的で一時的に製品に貼り付ける工程フィルムとして使用することで、搬送ロールとの擦れキズや、熱による異物(オリゴマー)の析出、およびフィルム表面の粗大突起を抑制することが可能となり、お客様の製品の品質向上に貢献します。  今後、高機能・高品位化が求められる、ディスプレイ、ウェアラブルなどの光学用途での基材フィルムや、センサーなどの回路材料用途での工程フィルムを中心に展開して参ります。  機械特性や耐熱性、透明性などに優れた二軸延伸ポリエステル(PET)フィルム“ルミラー®”は、従来から工程フィルムとして広く使用されていますが、巻き取り時や製品搬送時の、ロールとの擦れキズ、フィルム表面の粗大突起、熱によるPETフィルムからの異物(オリゴマー)が、お客様の製品の表面を荒らしたり、汚したりすることがありました。対策として、現在は、易滑粒子の添加や、UV硬化型樹脂によるフィルムへの後加工処理(耐擦れキズ性付与)がありますが、その後加工の手間や、溶剤を使用することでの環境負荷がありました。  東レが今回開発した新規PETフィルムは、高硬度ナノ粒子に機能性高分子型分散剤を組み合わせた高機能・有機無機ハイブリッドコートにより、擦れキズの付きにくい硬度と平滑な表面を実現しています。また、このコート層は同時に、熱によるPETフィルムからの異物(オリゴマー)析出を抑制します。加えて今回は、PETフィルム製膜時にコート層を形成するインラインコーティングであるため、後加工による手間も不要になり、更に、水系コートによる環境負荷低減にも繋がります。  一般的に、ナノ粒子は粒径が極めて小さく、強い粒子間の凝集力を有するため、コート層中で非常に凝集しやすく、コート層に亀裂が生じるといった大きな課題がありました。そこで当社は、ナノ粒子の表面に独自設計した分散剤を適用し、粒子間の凝集力を大幅に緩和させ、サブミクロンオーダー厚みのコート層中に高硬度ナノ粒子を極めて均一分散させることで、コート層の亀裂抑制に成功しました。  今後、電子デバイスの小型化や薄膜化、設計の高精度化、高感度化が進むことで、PETフィルムにも、精密、精細、緻密といった「ファイン」化がますます求められるようになります。今回開発した新規PETフィルムは、同時に併せ持つ透明性や金属ロールとの優れた滑り性などを活かし、現在検討されている用途以外に、様々な工程フィルムや基材フィルムとして幅広い展開が期待できます。  東レは、「素材には社会を変える力がある」との考えの下、高機能・高性能な先端材料を生み出し続けることで、社会の発展や技術の革新に貢献していく所存です。

以上