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2014年6月18日
ルールは自らつくり使うもの
チーフエコノミスト
増田 貴司

 情報技術(IT)が進化し、モノ、ヒト、情報がネットワークでつながった結果、これまで存在し なかった商品が次々と開発されつつある。全く新しい商品が社会に受け入れられ、市場が広 がるためには、国際規格や法規制などのルールの整備が欠かせない。例えば、無人飛行機 による配送や生活支援ロボットなどの分野では、機器の安全基準や法規制の整備が今後の 普及に向けての課題となっている。  ルールといえば、約10年前にテレビドラマ化された人気漫画「ドラゴン桜」(三田紀房作)で、 主人公の教師が発した印象的な言葉がある。要約すればこうだ。「ルールは頭の良い人間が 都合のいいようにつくっている。ルールに従って生きる者は負ける。勝ちたければ、勉強して、 自分でルールをつくる側にまわれ」  当時の日本では極論にも聞こえたこのメッセージは、今のグローバル競争では一般的な考 え方と言える。ルールは与えられるものではなく、自らつくり、使うものというのが世界の常識 だ。  ルールづくりが得意なのは欧米勢である。自動車分野では、独自動車関連メーカーらで構 成されるドイツ自動車工業会が発案した規格が世界標準となっている例が多い。企業が技術 の完成前の段階で国際規格案を提出することもある。米国では、ネバダ、フロリダ、ハワイ、 カリフォルニアなど各州が自動運転車の公道での試験走行を合法化している。  これに対し日本企業では、ルールは誰かが決めてくれるもの、金科玉条のように従うべきも のという認識が今も根強い。自らを利するルールづくりを働きかけることに後ろめたさを感じて しまう。だが、ここは意識改革が必要だ。ルールづくりの巧拙に事業の命運がかかっていると いう現実を直視し、主体的にルールづくりに関与すべきである。 (本稿は、2014 年 6 月 18 日 日本経済新聞夕刊「十字路」に掲載されました)