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2004年12月1日
経営センサー12月号 2004 No.68

■経済・産業

『信頼』のブランド化による地域産業振興

日本政策投資銀行 南九州支店 企画調査課長 佐藤 淳

【要点(Point)】
(1)食品偽装など信頼を裏切る事件が多発する反面、本格焼酎など信頼性が高い産品が好調である。
(2)食品全般に関する信頼のインフラであるトレーサビリティ(生産流通履歴開示)の整備も進む。
(3)信頼のシグナルを消費者に届けるビジネスモデルの確立が地域産業振興の鍵となろう。

2005年の世界経済を読み解く10の注目ポイント

福田佳之 産業経済調査部 エコノミスト

【要点(Point)】
(1)世界経済は《原油高》の定着というリスクを抱えながらも2005年も拡大を続けよう。
(2)米国経済は雇用回復や好調な企業収益に支えられて景気拡大を続けると見られる。
(3)米国の《財政収支赤字》、《経常収支赤字》という双子の赤字問題は、アジアの中央銀行を中心とした外国からの資金流入もあって当面は問題視されない。
(4)欧州は緩やかな景気回復を続けようが、ドイツ、フランス両国が《安定・成長協定》を遵守できるかどうか注目される。
(5)アジア地域は引き続き堅調に推移すると思われる。仮に《中国経済が減速》したとしてもアジア地域に大して影響を与えない。
(6)《原油高》は来年以降も持続すると見られ、影響を受けるアジア地域を中心にエネルギー使用効率の改善などが急務となろう。

工作機械業界の現状と課題

永井 知美 産業経済調査部 産業アナリスト

【要点(Point)】
(1)工作機械受注が、バブル期並みの活況を呈している。2004年10月の工作機械受注総額は前年同月比51%増の1,097億円と、25ヵ月連続のプラスを記録した。
(2)受注増の背景には外需が好調なことに加え、90年代縮小傾向にあった内需が力強く回復していることがある。
(3)工作機械受注は、アジア向け輸出の好調が見込まれることから、2006年頃まで堅調に推移するとみられる。
(4)工作機械業界は、好不況の波を大きく受けるため浮き沈みが激しい。しかし、日本の工作機械業界は、高い擦り合わせ能力を背景に22年連続生産額世界一の地位を保っている。
(5)今後も高い競争力を保つには、海外市場の一段の開拓と技術力維持が鍵になるとみられる。

■視点・論点

優秀企業のコンプライアンス

伴法律事務所 弁護士  伴 義聖

 コンプライアンスというと聞きあきたと言う人も多いであろうし、法令遵守というようなことはまともな企業では当り前のことだと思っている人も多いであろう。  しかし、企業不祥事は絶えることはない。有価証券報告書への虚偽記載、自動車リコール隠し、繰り返される総会屋への利益供与は耳新しく、少し遡ってみても、食中毒事件、牛肉偽装事件、原発修理隠し、原発臨界事故、商事会社担当者の独断による銅取引・銀行社員のデリバティブ取引による巨額損失の発生等々、その他比較的小さなものまで含めれば枚挙にいとまがない。

■マネジメント

「自今生涯」 -前向きに生き甲斐を持って- -株式会社堀場製作所 取締役会長 堀場 雅夫 氏の講演から-

深津 孝男 取締役 繊維調査部長

 猛暑と台風に翻弄された今夏の8月24日に東レ株式会社の関係会社社長会が開催され、東レ経営研究所は講師選定のお手伝いをして、株式会社堀場製作所の堀場雅夫会長をお招きする運びとなりました。堀場会長は1945年に学生ベンチャーの草分けとして事業を興され、翌年大学院に進まれ、1953年に現在の会社を設立すると同時に代表取締役社長に就任され、1978年には代表取締役会長、1995年には取締役会長になられ、現在もさまざまな公職に就かれて現社長の良き相談相手としてご活躍です。  当日は、堀場会長が座右の銘とされている「自今生涯」を演題に講演され、経営に大変参考となるポイントを分かり易くお話しいただきましたので、その一部をご紹介します。

■人材

成果主義と人材育成 

東洋学園大学 現代経営学部 教授 田中 秀穂

 今、時代背景を受け、実績主義、成果主義による管理などが脚光を浴びており、それに付随してコアバリュー、コンピタンシー、エンプロイアビリティなどの新しい概念が紹介され、それがまた一つの大きな潮流になりつつある。それぞれ示唆を含んだものであり、今後の方向を指し示すものとも言える。  しかし、翻ってみるとわが国において、実力主義による人事革新が唱導されたのは1970年代であった。それ以後の軌跡をみると各企業は争って実力主義管理を導入したが、それを組織に根づかせた例はあまり多くない。「木に竹を接いだ」と表現される企業風土との適合性の問題もあったが、定着しなかった最大の理由は、管理される側の都合より、管理する側の都合が優先されたことにある。社員に働き易い環境の提供というより、経営にとって管理し易い仕組み、形式的合理性しか追求しなかったからである。

人事歳時記 第四回 -風土と人材形成-

坂巻 洋行  特別研究員

 イギリスの湖水地方を10月上旬にちょっと旅行した。緯度ではカムチャッカ半島とほぼ同じところに位置するが、まだそれほど寒くはなかった。今回の旅行に一冊の画集を薦められて持って行った。何でもない田舎の風景をやさしいタッチとほのぼのとした雰囲気で表現する安野光雅画伯の『イギリスの村』という画集だ。この画集は旅行先で「現地確認」に大変役に立った。当然のことながら画集とそっくりな風景が次々と現れ、ページをめくっては解説文を読み、絵を指でなぞった。画家は、絵を通して現地の生活を語ってくれる。

■経済用語解説

ちょっと教えて!現代のキーワード  「国際標準化」「クリーンルーム」

■ズーム・アイ

高値のWTI

馬田 芳直

 新潟中越地震の翌々日のこと、東京から富山に出張するのに急遽、越後湯沢経由から米原経由に変更となったため、移動の時間が往復でたっぷり10時間以上にもなったことから、普段はあまり考えないことについても瞑想、迷想する時間的余裕に恵まれた。その中のひとつに最近の原油価格がある。  WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)が9月に史上初めて50ドルを超え、10月末現在でも50ドル台を維持している。

■今月のピックアップちゃーと

住宅は高齢者への配慮があって当たり前?  ~建築時期別にみた高齢者等のための設備がある住宅の割合~

■TBRの広場

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