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2018年2月1日
繊維トレンド1・2月号 2018 No.128

■特別レポート

繊維産業の現状と課題

経済産業省 製造産業局 生活製品課 課長 杉山 真

【要点】
(1)
当課では、昨年7 月に公表した「取組方針」で示した消費者本位、Connected Industries 等の視点の下で、創意工夫をもって前向きかつ意欲的に取り組む事業者をしっかり支援する。
(2)
生活製品におけるIoT等の活用の可能性や方向性等について、スマートテキスタイルやファッションテックを中心に、研究会を実施している。
(3)
繊維産業は世界的には成長産業であり、拡大する海外需要を積極的に開拓していくことが重要であり、JETROやクールジャパン施策等と連携して支援する。
(4)
産地発のサプライチェーンの再構築が重要であり、産地内の事業再編や産地・異業種間の連携等を支援する。また、商慣行における価格の信頼性の向上に係る業界の取組に期待する。

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■ファイバー/テキスタイル

第56回ドルンビルン国際化合繊会議(MFC2017)報告

東レ株式会社 繊維加工技術部 塩谷 隆

【要点】
(1)
第56回ドルンビルン国際化合繊会議は2017年9月13~15日に開催され、28カ国から556名が参加した。日本からは16名が参加(2016年28名)。
(2)
発表件数は計100件で例年並み。日本からの発表件数は6件(2016年8件)であったが、ドイツ、オーストリア、フランスに次ぐ4位であり、近年は常に上位に入っている。
(3)
今回のコンセプトを総括的にまとめると、「循環型経済(Circular Economy)」である。これには、サステナビリティ、環境対応、リサイクル、エコデザインなど幅広い概念が集約されている。また、マリンリッター(マイクロプラスチック)の問題が提起され、議論も行われた。
(4)
全体を通して目立ったテーマは、「バイオベース繊維、材料」「高性能繊維」「ナノファイバー」「機能性テキスタイル」「再生医療材料」であった。

 

パリ2018/19AW生地、ミラノ2019SS糸のトレンドと 技術開発に邁進するLenzingのエコ素材紹介

株式会社インテグレード 代表取締役社長 欧州繊維専門月刊誌『Twist』在日特派員 永松 道晴

【要点】
(1)
2018/19 秋冬向けパリ・プルミエールヴィジョン(PV)が先導する生地はファンシーヤーンで生地表面に変化を加え、刺繍やラメ糸で華美な装飾を施して、伝統的なクラシック生地の構成と色柄に変化を加えたものがトレンドとして目立っている。
(2)
一方、最終消費者にもエコや環境問題に対する意識が高まっているため、トップブランドも含めてエコ素材採用の定着が展示内容から見て取れる。また、企業の社会的責任(CSR)の一環として環境のサステナビリティに貢献するような製造工程の改善を実現した製品のPRも盛んになっている。
(3)
Filoは来年のトレンドを糸素材から占う最初の展示会だ。ファッションやその素材となるテキスタイルが複雑かつ装飾的な構成となる流れを受けて、出展紡績各社もスラブ、ノット、ブークレ、メタリック調や毛羽立ち効果など、それぞれ独自の工夫をこらした糸を開発している。Filo の開会セミナーが「サステナブルな糸の筋道」と題されたように欧州の紡績では、木材などの再生可能な素材を使い環境への配慮と省エネを推進して、生産工程を閉じた円環システムとし、循環型経済の出発点となるべく改革が進んでいる。
(4)
その一例として、技術革新の先端をいく化繊メーカーのLenzing(オーストリア)は、PVでエコを指向するビスコース繊維EcoVero とセルロースフィラメントTencel Luxe を発表した。同社は原料へのサステナブルな木材資源の活用、エコを基本とした生産工程の採用、サプライチェーンの完全透明化の3点を基本方針としており、アジア市場への本格的進出のため香港にR&D の拠点Application Innovation Center(AIC)を設立した。

ファッションとテクノロジーを考える パーソナル人工知能 SENSY

株式会社フランドル 社長室 経営戦略・広報室 次長 篠原 航平

【要点】
(1)
現在は世界的な第三次AIブームにあり、その波は日本のファッション産業にも訪れている。今回取り上げるのは、パーソナル人工知能SENSYにより、ファッション業界で新たな出会いを創造しようとする、SENSY株式会社と、渡辺祐樹/ 代表取締役CEOである。
(2)
パーソナル人工知能SENSYとは、人間のSENSE(感性)を学習していく、1人1台のパーソナル人工知能である。
(3)
渡辺氏は定性的なコンテンツが多いファッション産業をAIによってサポートし、廃棄につながる膨大な在庫を削減したいと考え、SENSY 株式会社を創業した。
(4)
現在ファッション産業で支持されるサービスは、B to B においてはSENSY Marketing BrainとSENSY MD、エンドユーザー向けのB to C においてはSENSY CLOSETである。
(5)
AIが普及するためには、ユーザーの問題解決やそれに伴う感動体験が必要である。
(6)
AIが人間に近い思考を持つことが可能になってくるのは、シンギュラリティが起こると予測される2045年ころと考えられる。
(7)
今後川上から川下まで、ファッション産業全般で活用されていくと考えられるのは、SENSYによる商品の生産や発注、仕入れにおける需要予測である。
(8)
渡辺氏は志を同じくする企業と共にSENSYというプラットフォームを通じて、すべての人々に人生が変わる出会いを提供したいと考えている。

■縫製/アパレル

ファッション化するユニフォーム市場に商機あり

東京ファッションプランニング株式会社 デザイン・企画カンパニー 社長 山田 桂子

【要点】
(1)
カナダ企業のギルダン(Gildan Activewear Inc.)は、世界最大のTシャツ、トレーナー等のメーカーである。
(2)
主な事業は、「①プリントウエアの販売」と「②小売流通向けブランド商品の販売」の2種類であり、55の国と地域で代理店を通して商品を販売している。
(3)
「①プリントウエアの販売」では、世界No.1の売上を誇り、近年、競合ブランドを次々と買収している。
(4)
「②小売流通向けブランド商品の販売」では、GILDANブランドの商品と、近年、買収したブランドの商品を販売している。2010年にソックス業界で著名なブランド"Gold Toe"を買収し、本格的にソックス市場に参入した。ソックス、ストッキングの業界においても、存在感を増している。
(5)
経営戦略上の大きな特徴は、「スケールメリット」×「商品の絞り込み」×「製造工程の垂直統合」であり、他社の追随を許さないローコスト生産を強化するため、2002年以降、累計で約1,900億円の設備投資を行った。

■新市場/新商品/新技術動向

シタテル -だれでも簡単に服がつくれるプラットフォームをつくる-

フリージャーナリスト 土井 弘美

【要点】
(1)
縫製工場を中心に、全国約300社の工場をデータベース化。閑散期に工場が回るように、仕事を入れていく。
(2)
顧客はアパレル、ユニフォームの製作やノベルティなどを求める一般事業者、Eコマース等で販売する服をつくりたい個人の3タイプに分けられる。
(3)
社内に「コンシェルジュ」がいて、慣れない顧客のために企画デザインから素材の手配、サンプルアップ、納品までのケアをする。
(4)
必要な機能を必要なだけ使える「ジョイントSPA」のシステムが注目されている。

■キーポイント

中国の繊維業界でスマート化への取り組み進む

日本化学繊維協会 業務調査グループ 主席部員 鍵山 博哉

中国の繊維業界、化繊業界は、2016 年から始まった第十三次五カ年計画のもと、産業の高度化を進めている。繊維産業における第十三次五カ年計画では、イノベーション推進、ブランド構築、持続可能な発展などが重要課題となっている。 そのうち、イノベーション推進では、高性能繊維の開発、環境対応素材の開発と並んで、「スマート製造」がその重点課題となっている。

■統計・資料

Ⅰ.日本の合繊各社の主要海外繊維生産拠点リスト(2018年1月)   東レ   帝人   旭化成   三菱ケミカル   東洋紡   ユニチカ   セーレン   東邦テナックス   カネカ Ⅱ.日本の紡績各社の主要海外繊維生産拠点リスト(2018年1月)   ダイワボウホールディングス   シキボウ   クラボウ   富士紡ホールティングス   日清紡   オーミケンシ   トーア紡コーポレーション   ニッケ