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2015年11月2日
経営センサー11月号 2015 No.177

■今月のピックアップちゃーと

■経済・産業

バイオミメティクスの新展開 ―生物に学ぶものづくりイノベーションの現状と課題― 

産業経済調査部門長 チーフエコノミスト 増田 貴司

【要点】
(1)
生物の優れた構造や機能などを解析して、そこに潜む原理を解明し、新たな工学技術を生み出す取り組みであるバイオミメティクスへの注目が高まっている。
(2)
バイオミメティクスは、分子系、機械系、材料系の3つに大別される。近年の新潮流としては、材料系を中核に、これまで個別に展開してきた分子系と機械系の研究を統合した総合的なバイオミメティクス研究が進展している。
(3)
バイオミメティクスで他国に先行しているのはドイツである。国を挙げた産業展開策が講じられ、産学官連携や生物技術と機械工学の融合研究が進んでいる。国際標準化でもドイツが主導権を握っている。
(4)
バイオミメティクスに対するわが国の産業界や国の動きはドイツと比べると周回遅れだが、最近政策面で進展が見られる。
(5)
現在、生物データベースに含まれる大量の画像データからものづくりのイノベーティブな発想を導き出すのを支援するデータベースの構築プロジェクトが進んでいる。これは日本発、世界初の試みで、異分野連携によるイノベーション創出を促すための武器になると期待される。
(6)
バイオミメティクスの応用範囲は広く、多様な分野でイノベーション創出のエンジンになることが期待される。だが、その実現には生物学と工学や医学など異分野の連携が必要不可欠である。

PDF : 詳細(1322KB)

■視点・論点

昨今の組織開発/人材開発事情

ジョイ・アンド・バリュー株式会社 代表取締役 大江 功次

これからの話は基本的にフィクションですが、共に働くコンサルタントやファシリテーター、また私自身の経験から、お客様から昨今よくご相談いただく内容をつなぎ合わせたものです。

■マネジメント

コーポレートブランディングとCSV(Creating Shared Value:共有価値の創造) ―社会からも顧客からも従業員からも株主からも愛される会社のつくり方― 

横田アソシエイツ代表取締役 慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科特任教授 横田 浩一

【要点】
(1)
地域貢献などCSV(Creating Shared Value:共有価値の創造)の取り組みは、コーポレートブランドを向上させ、顧客やパートナーから選ばれる。
(2)
ヤマトホールディングスでは、CSVの中核として地域貢献のため、自治体と提携して社会課題解決に取り組むプロジェクトGを推進している。
(3)
社会課題解決を目的としたサスティナブルな新しいビジネスが企業と顧客の間に生まれ、イノベーションが起きている。

■環境・エネルギー

21世紀の金融行動原則: 環境・社会への配慮なくして金融行動なし 

京都大学 名誉教授 地球環境戦略研究機関(IGES)シニアフェロー 松下 和夫

【要点】
(1)
COP21では、危険な気候変動の影響を防ぐ新しい温暖化対策につき、全ての国が参加する公平かつ実効的な国際的枠組みの合意が求められている。
(2)
今後低炭素社会に向け資金と投資の流れの変革が不可欠であり、金融が大きな役割を担う。
(3)
責任ある投資家の行動規範としての「日本版スチュワードシップ・コード」および「21世紀金融行動原則」に基づき、すでに優良な取り組み事例がある。これらの取り組みは、リスクへ対応・社会貢献としてだけではなく、新たなビジネスの展開にもつながる。

■ワーク・ライフ・バランス

女性が活躍できる社会づくりの実現に向けて

ダイバーシティ&ワークライフバランス推進部長 宮原 淳二

【要点】
(1)
女性の大学進学率の向上に伴い、社会進出が進み、男女雇用機会均等法(1986年)、育児休業法(1991年)、次世代育成支援対策推進法(2003年)等経て、働く女性の環境整備は進んでいるものの、高学歴女性の能力が活かされていない現状が懸念される。
(2)
出産、育児というライフイベントが働く女性の障害となっていた側面もあるが、それ以前に職場(とりわけ上司)の理解不足が原因で能力発揮が阻害されている面もある。
(3)
企業だけでなく社会全体で、男女が共に仕事と家事や育児を分担する新しい社会に向けて価値転換を図っていかなければ女性が活躍できる社会の実現は困難である。
(4)
社会全体で「男性は外で働き、女性は家を守る」という従前の社会規範を見直し、男女が共に働き、子育てを担う新しい時代をつくっていく必要がある。

PDF : 詳細(1265KB)

■人材

人材育成の視点 グループビジョン浸透に向けた(株)NTTデータの取り組み ―「Values Week 2015」参加報告― 

人材開発部長 小西 明子

【要点】
(1)
(株)NTTデータでは2013年に発表した新しいグループビジョンの浸透のため、継続的・組織的に活動を行っている。
(2)
世界41カ国・地域、76,000人のグローバルスタッフ(2015年3月現在)を抱えるNTTデータグループにとって、確固たるビジョンを共有することが重要であった。
(3)
そのため、新グループビジョン発表の翌年から、創立記念日の5月23日の週を「ValuesWeek」とし、世界中の約20カ国、40都市以上で「Values」について語り合うワークショップを100回以上開催している。
(4)
ワークショップの一部は顧客や関係先も招いて行われており、今回参加の機会を得たので報告する。

PDF : 詳細(1131KB)

■経済用語解説

ちょっと教えて!現代のキーワード 

産業経済調査部門

「格安スマホ」「パテントトロール」

■お薦め名著

『科学の科学』 ―利害に超然とした科学者の自律性― 

ピエール・ブルデュー 著 加藤 晴久 訳

■ズーム・アイ

夫婦のすれ違いは思い込みから?

ダイバーシティ&ワークライフバランス推進部 塚越 学

「私が家事で忙しいとき子どもが泣いていても夫はスマホに夢中」「山のような洗濯物や食器があっても夫はソファでゴロン」「子どもが夜中にぐずっていても夫は爆睡」