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2019年5月20日
「揺らぎ」を探して
コンサルタント
金子 真弓

 澄んだ空気に満天の星。パチパチと音を立てる炎の傍らでひとつ、あたたかいコーヒーでも。昨年の秋頃からそんな光景を求めて休日にキャンプに行くことが増えました。  寒い時期にキャンプ!? いいえ、私だけではありません。朝晩はマイナス気温になる冬期でも、人気のキャンプ場では週末の予約が取れないほど。一般財団法人日本オートキャンプ協会の調査分析「オートキャンプ白書2018」によれば、2017 年に1 回以上キャンプをした人の数(「キャンプ参加人口」)は約840 万人。2013 年以降5 年連続で増加し続けているのだとか。  キャンプ場では家族連れのほか、気の合う仲間同士での「グループキャンプ」、またはひとり気ままの「ソロキャンプ」など、多くの人がアウトドアを満喫しています。食事だって、鉄板や網で焼く料理の他、ダッチオーブンを使った調理、パンやピザなど、本格的な料理を楽しむ姿に目を見張ることも。また、区画に車で乗り入れられるオートサイト、風呂や温泉、電源などが利用できるキャンプ場、テント内にベッドや冷暖房などが備え付けられており、手ぶらで贅沢に過ごすことができる「グランピング」など、施設もさまざまなのです。イマドキのキャンプは、楽しめる人やスタイルが実に多様化していることが分かります。  初心者ながら、私がキャンプに最も魅力を感じるのは「焚き火」でしょうか。キャンプ上級者の方からすれば、何を今さら、と言われること請け合いですが、好きな飲み物を片手に炎を見ながらゆったりと過ごす、あるいは家族や仲間と焚き火を囲めば、自然とコミュニケーションが弾みます。そんな時間に最も充実感が得られるのです。  こうした焚き火の炎や、自然の中で感じる川のせせらぎ、木々が風に揺れる様などは、人間が心地よいと感じる「1/f(えふぶんのいち)ゆらぎ」の動きを持つといわれています。  また、近年になって発見された脳の機能に、「デフォルトモードネットワーク」がありますが、これは人が意識的な行動や思考をしていない、つまり「ぼーっと」している時も、実は脳は活発に動いており、過去に得た情報や体験を整理するはたらきをしているため、アイデアやひらめきが生まれやすい状態にあるそうです。  そんな効果があってのことか、キャンプから帰ると、心地よい疲労感に明日からまた頑張ろうという気持ちが湧き、同時に、何かに追われずに脱力し、「揺らぎ」を楽しむ時間をもつことがいかに大事かということに気付かされるのです。  今日、多くの人がPC に向かい、資料を作成しながら、打ち合わせや電話、メールの返信を、といった、極めてマルチタスクな状況に置かれています。移動中でさえもスマホ片手に、常に情報を仕入れ続ける毎日。  楽しみ方こそ万様なれど、キャンプ人気の高まりには、こうしたオーバーフローな日常への疲弊や倦厭が背景にあるような気がしてなりません。  インプットばかりの日々に疲れたら、脳や心のメンテナンスをしに、「揺らぎ」を探して出かけてみませんか? 非日常の中にある、「揺らぎ」があなたの頭をクリアにしてくれるかもしれません。