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2009年10月1日
経営センサー10月号 2009 No.116

■経済・産業

“個性が輝く大学”を目指して…崖っぷちからの脱出大作戦(第1 回)

長岡大学 学長 原 陽一郎

【要点(Point)】
(1)大学進学率が上昇する一方で18 歳人口が減少している。これが大学間競争を激化させ、大学は倒産する時代に入った。
(2)大学の経営も一般の企業と基本は同じだが、マーケット(入学志願者)の動向が読みにくいなど難しいところも少なくない。
(3)その中で、学生の学費に依存する私大は、税金で支援される国公立と同じ条件で市場競争を闘わなければならない理不尽さに苦しんでいる。
(4)一方で、社会の変化に対応する大学改革の嵐が大学間競争を戦略と組織力が交錯するダイナミックな場にしている。

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民主党新政権の経済政策の焦点

増田 貴司 産業経済調査部長 チーフ・エコノミスト

【要点(Point)】
(1)民主党の経済政策のアキレス腱は、成長戦略が欠如していることである。マクロ政策運営の意識も薄いように見える。
(2)家計が豊かになることを目指すべきという民主党の考え方は正しいが、豊かな国民生活の実現のためには所得のパイを増やす成長戦略が必要不可欠である。企業活動が活性化しなければ、家計も豊かになれない。
(3)人口減少で国内市場のパイが増えない以上、日本企業はアジア新興国など海外市場の開拓に注力する必要がある。新政権がFTA ・EPA 交渉を迅速に進め、企業がグローバル戦略を展開しやすい環境を整備していくことを期待したい。
(4)農業、医療、教育など、潜在需要があるのに強い規制の下で非効率に運営されてきた分野では、抜本的な規制緩和により産業としての活性化を図る必要がある。
(5)環境関連分野には思い切った資源配分を行い、規制緩和を徹底して新規事業創出を促すことによってイノベーションを加速し、産業を活性化させるビジョンを示すことが望ましい。
(6)新政権が温暖化ガスの中期目標として1990 年対比25 %削減という意欲的な目標を掲げたことは、日本の産業の枠組みを変えるきっかけになる可能性がある。
(7)民主党は中小企業法人税の引き下げを表明しているが、企業活性化を図るには大企業にも目を向け、主要国の中で最も高い法人税を引き下げることが望まれる。
(8)官僚依存からの脱却のためには、新設の国家戦略局(現状、室)がマクロ的な戦略とビジョンを持つ必要がある。
(9)新政権はマニフェストの基本的な考え方を尊重しながらも、実際の政策はより合理的、整合的なものへと修正していく勇気を持つことが必要だろう。

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不動産業界の動向 ― マンションは既に底打ち。今後のリスクはオフィスビル賃貸事業の動向―

大和証券SMBC 金融市場調査部 クレジットアナリスト 谷 栄一郎

【要点(Point)】
(1)不動産業界は2008 年に未曾有の調整局面を経験した。なかでもリーマン・ショック後に発生したJ リートの倒産は不動産市場に大きな影響を与えた。
(2)急落を経験したマンションは既に底打ちしたものの、今まで安定していたオフィスはこれから本格調整を迎える見込みである。
(3)不動産市場の本格回復には国内景気の回復が必要。当面は守りの姿勢を堅持しつつ、景気回復のタイミングを見極める展開となろう。

■視点・論点

第二波、第三波に備えよ!新型インフルエンザ

特定非営利活動法人海外活動支援ネット 理事 危機管理アドバイザー 柴田 信之

【はじめに】  弱毒性の新型インフルエンザ・ウイルス(以下H1N1 型)による重症者、死亡者が8 月に入って国内でも相次ぎ、国民生活に不安を与えている。  そのH1N1 型は今年4 月、突然姿を現し世界を驚かせた。しかも、それは「いつ発生しても不思議ではない」と怖れられてきた鳥型インフルエンザではなく、予期に反して豚型である。

■マネジメント

クラウドコンピューティングと中国ビジネス

浦上アジア経営研究所代表 浦上 清

【要点(Point)】
(1)今、情報システムは大きな変化の時期を迎えている。情報システムにおける変化は「所有」から「利用」への流れである。クラウドコンピューティング(Cloud Computing)の登場で、企業はコンピューティングサービスの「利用」が可能になる時代を迎えつつある。
(2)近年、日本の対中国投資は減少傾向にある。大手企業の製造向け投資が一巡し、中小企業の投資は足踏み状態にある。今後、日本の中小企業が安心して中国に進出でき、そこで「中核業務」に専念できる環境づくりが大切だ。
(3)本稿では、クラウドコンピューティングが日本の中小企業にとって、情報処理の「駆け込み寺」になり得るのか、また、新しい情報サービスの「利用」により、中小企業は中国現地経営で強みを発揮しやすくなるのかなどについて論述したい。また、「業務の仕組みづくり」重視が情報システムの活用の基本であることにも言及したい。

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中国におけるインターネット関連業務にかかわる制度

望月コンサルティング(上海)有限公司 パートナー 公認会計士 望月 一央

【要点(Point)】
(1)中国においてはインターネット、モバイル関連業務が急速に発展しているが、複雑な制度規制が存在しており、外国資本による参入についての障壁にもなっている。
(2)中国インターネット関連法令には大きく分けて電信事業者関連法令とインターネット情報関連法令に区分される法令が多数存在している。
(3)中国インターネット関連ビジネスに日系企業が参画する場合には、一般に内資企業を利用したスキームが必要となり、この場合には資金回収方法に注意を払う必要がある。

中国のグローバリゼーションは日本にどのような影響をもたらすのか ― 中国人と一緒に仕事をすることによって日本の一国文化からの脱却を図ろう。中国人はグローバルだ―

スウィングバイ2020 株式会社 代表取締役社長 海野 恵一

【要点(Point)】
(1)今から2050 年に向けて、日本の労働人口は半減し、それを補充するために1,000 万人の移民が必要だ。しかし、それは間違いなく達成できない。
(2)日本は昔から侵略されたことがなく、世界にただ一つの一民族、一文化、一言語の国家である。そう言ってしまうと文明の鎖国に等しい。
(3)グローバルな中国と中国人の助けを借りることが必要だ。日本はもしかしたらこの停滞をブレークスルーできるかもしれない。
(4)その変革は企業から始めるしかない。まずは中国人の助けを借りた仕事のグローバルスタンダードからだ。それも10 年はかかるだろう。

■ダイバーシティ&ワークライフバランス

シリーズ:経営戦略としてのダイバーシティ&ワークライフバランス(第3回) 在宅勤務にどう取り組むか

ダイバーシティ&ワークライフバランス研究部長 渥美 由喜

【要点(Point)】
(1)新型インフルエンザに対する対応策は、入館時の手の消毒励行、マスクの配布など、対処療法にとどまりやすい。
(2)今後、誰でも、いつでも、どこでも働ける、あるいは代替できるような職場にしないと、企業はやっていけなくなってしまう。
(3)従業員が自宅で働くことができる「在宅勤務」制度の導入や、従業員が休んでも混乱しない職場の体制づくりは急務だ。

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■人材

新入社員が職場を救う?!

小西 明子 人材開発部長

【要点(Point)】
(1)2010 年に入社してくる大卒新入社員は、小学校入学と同時に「ゆとり教育」の中で育った「ゆとり社員」である。
(2)彼らの指導に悩む現場の声は多い。彼らの考え方や特色を踏まえた、従来以上のきめこまかい指導体制の確立が急がれる。
(3)不況期とはいえ、入社後に自分の成長イメージが描けないと仕事への意欲や自律的な取り組みが育たず、予期しない退職につながるリスクがある。
(4)職場全体で新人を指導する風土を育てること、また経験の少ない若手が意見や考えを言える仕掛けをつくることは、組織活性化の契機ともなり得る。

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■経済用語解説

ちょっと教えて!現代のキーワード 「国際会計基準」「室温超伝導」

■お薦め名著

『人材育成の戦略』

DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー編集部◎編・訳

『-矛盾する要請にリーダーはどう対峙するか-』

感知子

■ズーム・アイ

若者の出番来れり

常務理事 深津 孝男

 少子化が問題視(1989年の出生率1.57 ショック)され始めてだいぶ時間が経ちましたが、少子化を食い止めようとする動きに本腰が入っているようには思えません。年輩の人にとっては、少子化なんて知ったこっちゃないということなのでしょうか?  また、人口減少の危機と言われますが、明治維新直後の1872 年の人口が3,480 万人だったことを考えると、日本の適正人口は一体どれくらいが妥当なのか?

■今月のピックアップちゃーと

エネルギー・環境は企業の中長期的課題 ~取り組む理由の一つはCSR~