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2014年11月1日
遊んで学ぶ財務
コンサルタント
森本 有紀

 「財務」「会計」(以下、財務という)などと聞くだけで、なんとなく嫌な気分になる人は多い。その手の学習からずっと逃げ続けている人、果敢に立ち向かったものの負けた人がそういう気分になるのだろう。当然、私もその1人であった。  しかし、そんな私も門前の小僧よろしく「この事業でキャッシュフローが改善…」などとお客様の前で唱えたこともないわけではない。思い出すと背筋が寒くなる。  ところがその小僧、最近、小坊主まで出世を果たし、初級の財務研修講師という大役を仰せつかっている。タイトルの「遊んで学ぶ財務」である。今回はこれを紹介したい。  「遊んで」のイメージは人生ゲームやモノポリーだ。受講者はモノを売り買いする会社を立ち上げる。最初は商いの規模が小さいので、即金・即入の商売である。オモチャのコインがお金の代わりで、サイコロの出た目に従い売買、そのビジネスを毎月記帳していく。そして期末を迎えると決算処理を行う、つまり決算書である「貸借対照表」「損益計算書」を作るのだ。  二期目になると事業が拡大していく。借金をし、人を雇い、広告をうつ。利息を払い、人件費を払い、広告費を払う。当然決算書に含まれる情報が増え、複雑になる。  三期目では信用取引を行うようになる。掛商売である。売買のタイミングとお金の出入りにズレが発生するのだが、このあたりから順調だった商売に暗雲がたちこめる。勘定合って、銭足らずというやつだ。さらに人件費(このゲームの社員は売上に一切関知しない)が重くのしかかる。一様だった受講者の決算書は、三期末にもなると多彩になってくる。在庫が膨れ上がるもの、人件費や利息支払いのために借金が増えるもの、在庫切れで機会損失するものである。  四期目では設備投資を実施する。固定資産や、減価償却費を学ぶのだ。この四期では大半が赤字決算になるように設計されている。  ラストは新設定で再ゲーム。資産、負債、資本を充実させて開始だ。随所に判断を要する場面も登場する。仕入・販売の個数から、業務提携、積極的な広告戦略等である。さらによからぬ出来事も仕組まれている。販売先の倒産、火災発生による商品消失、退職金の支払い等々。先々のイベントをボードで確認し、戦略を考え、サイコロに願をかける。そうやって自らの意思決定が決算書に与える影響を体感するのだ。  ゲーム後は事業活動を振り返る。成功、あるいは失敗した判断はどれか、どのようにすれば各々が考える良い数字になったのかを話し合う。勝ち負けをどのように考えるかも、勉強だ。売上なのか利益なのか、総資産なのか、自己資本なのか。もちろん、答えは一つではない。  一喜一憂しながら学んだ知識は、そうそう簡単には抜けない。左右が何かを覚えるよりも、決算書がずっと身近になるはずだ。  さて、財務のお勉強から逃げ続けている門前の小僧の皆様、小坊主への出世を目指しませんか?眠らずに楽しく学習できること、請け合いである。