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2009年5月1日
経営センサー5月号 2009 No.112

■特別レポート

北陸繊維産業シンポジウム講演抄録 企業改革とリーダーシップ -壁を壊す~組織改革-

DOWAホールディングス株式会社 代表取締役会長・CEO 吉川 廣和

 去る3月6日に、金沢市のANA クラウンプラザホテル金沢において、東レ株式会社と株式会社東レ経営研究所の共催で、繊維産業シンポジウム『北陸産地の復権を目指して』を開催しました。当日は、DOWAホールディングス株式会社吉川廣和代表取締役会長・CEO、一橋大学イノベーション研究センター米倉誠一郎センター長・教授、東レ株式会社中川秀勝取締役の3人の講師にご講演いただきました。そのうち、本号では吉川廣和代表取締役会長の講演内容を、6月号では米倉教授の講演内容を別途ご紹介いたします。なお、中川秀勝取締役のご講演については、弊社の繊維情報誌『繊維トレンド』5・6月号にて、ご紹介しております。

■経済・産業

中国の不動産不況 -リスクとチャンス-

大和総研 北京駐在 主任研究員 齋藤 尚登

【要点(Point)】
(1)昨年来の株価急落の逆資産効果は富裕層を直撃しており、住宅でも特に高級物件では調整が長期化する可能性は否定できない。
(2)一方、今回の不動産不況は高嶺の花となった住宅を一般市民の手に取り戻す好機でもある。
(3)居住目的の適切な価格というニーズに合った物件の投入増加が市場の健全化を促し、不動産開発投資の回復を後押ししよう。

危機を「和諧社会(調和が取れた社会)」実現のチャンスと見る中国

株式会社三井物産戦略研究所 国際情報部 中国経済センター 主任研究員 井上 和子

【要点(Point)】
(1)中国が国家目標として掲げる「和諧社会」実現は、急速な経済発展の陰で深刻化した多くの矛盾を解決することに主眼を置いている。経済の持続的発展や社会の安定を図るために、成長の矛盾を解決することは不可欠である。
(2)現在、中国経済も世界金融危機の影響を強く受けており、政府は積極的な財政と適度な金融緩和で本年度8%程度の経済成長を目指している。一方、中長期的には中国でも高齢化と出生率の低下が進み、総人口は2030年頃には減少に転じると見られ、社会構造の転換期まで残された時間は少ない。
(3)このような状況下、政府は景気刺激策の発動を単に経済成長の維持するためだけでなく、「和諧社会」実現へのチャンスであり、今が正念場と見ている。

コンビニ業界の現状と課題 ― 巣ごもり消費もプラスの影響? 過当競争・少子高齢化に対応できるか ―

永井 知美 産業経済調査部 産業アナリスト

【要点(Point)】
(1)景気の急速な悪化を背景に百貨店、スーパーの売上不振が続く一方、コンビニが販売額を伸ばしている。
(2)コンビニの好調は、タスポ効果によるものと考えられがちだが、要因はそれだけではない。単品管理により絶えず「売れ筋」と「死に筋」を選別、顧客のニーズに応じた商品を開発していること、世帯人数の減少により、小分け・適量販売のコンビニ商品への需要が増加していることも背景にある。
(3)ただ、足元好調のコンビニも国内過当競争、少子高齢化への対応といった課題を抱えている。大手各社はオリジナル商品・PB商品の強化、店舗フォーマットの多角化、中高年層の取り込み、海外進出、低価格商品の導入等で変化に対応しようとしている。

PDF : 詳細(PDF:1,179KB)

■視点・論点

「コトバの力」の劣化が日本のソフトパワーを衰えさせている

元内閣府市場開放問題苦情処理推進会議 専門委員 宮智 宗七

《“例外的”な政治報道の背後に何があるか》   今年4月15日付け朝日新聞朝刊(東京版)の政治面が、珍奇というか、深刻というか、様々な見方のできる記事を掲載した。衆院外務委員長の河野太郎氏(自民党)が「国会でのあいまいな政府答弁」に怒り、もっとまともな答弁をしろ、と警告したというのだ。政府側が「仮定の質問は答えない」とか「答弁を差し控える」、あるいは「こうだと申し上げることができない」などと、いい加減にはぐらかすことを「絶対認めない」と河野氏は言う。衆院外務委員会の論議ぶりに関する話で、いかにももっともである。

■マネジメント

インドの現状 ― ムンバイでの同時多発テロ(2008 年11 月26 日)を考える ―

インド・アジア開発有限会社 取締役 清 好延

 2008年11月26日、ムンバイで同時多発テロが起こった。その背景には、日本で報道されているものとは明らかに異なる様相があるので、そのポイントをレポートする。

中国移転価格税制の観点からの日本企業における対応

望月コンサルティング(上海)有限公司 公認会計士 望月 一央

【要点(Point)】
(1)中国においてはその経済発展を支える税徴収管理制度が整備されており、国際的移転価格税制も管理強化されることが予想されている。
(2)広義の移転価格税制には関連企業間取引税制だけでなく、コストシェアリング、CFC税制、過小資本税制、代理人PE税制、税関輸入申告価格調整が含まれる。
(3)国際取引の発展に伴い、移転価格税制を国際競争力獲得のためのツールとして捉えることが必要になってきている。

PDF : 詳細(PDF:1,074KB)

■人材

今どきの新入社員を受け入れる

川畑 由美 人材開発部 プランナー

【要点(Point)】
(1)新入社員は「上司・先輩からの指示を理解すること」、「人前でうまく話すこと」について仕事上で困っているが、入社後に十分な指導を受けていないと感じている。
(2)ここ数年の新入社員の印象は、概して真面目で与えられた課題に真剣に取り組んでいるように見える。課題解決の過程では、一つ一つの行動の意味や正解を求める傾向が見られる。
(3)新入社員を受け入れる職場は人が育ちにくい環境になりつつある。職場メンバー一人当たりの仕事量が増え、仕事が複雑化・属人化しているため、互いの進捗が見えづらい。更に、上司自身が人の育成に携わった経験が乏しくなっている。
(4)このような新入社員の特徴や職場の変化は、仕事場面においてある種のコミュニケーションギャップを生んでいるのではないか。職場の現状を踏まえ、このギャップを埋める働きかけが期待される。

PDF : 詳細(PDF:1,047KB)

■経済用語解説

ちょっと教えて!現代のキーワード 「ワークシェアリング」 「環境債務会計」

■お薦め名著

『オープンビジネスモデル』 -自前主義の限界と新たなビジネスモデル-

Henry Chesbrough著 栗原潔訳/諏訪暁彦解説

■ズーム・アイ

「幸福の値段」は、いくら?

常務理事 高橋 健治

■今月のピックアップちゃーと

世の中悪い方向に向かっているけど、科学技術には一筋の光明?

■TBRの広場

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