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2006年12月1日
経営センサー12月号 2006 No.88

■経済・産業

今日の日本を支えるものは何か -週刊『人間国宝』の創刊について-

清華大学 歴史学部 助教授  劉 暁峰

【要点(Point)】
(1)日本の産業文化を支える「職人文化」
(2)その象徴としての「人間国宝(重要無形文化財保持者)」認定制度
(3)細部にまでこだわりつきつめる、全力を傾ける、無名性の中でも自らの仕事に人格的な名誉をかける責任感、などに象徴される「職人文化」は日本人全体の気質ともいえる。
(4)中国でもかつての「職人文化」を復活させることで中国の製造業も世界に誇れるブランドに

素人集団が起こしたイノベーション -「クオーツ腕時計」「コンビニ」の事例-

高橋 健治 常務理事 特別上席エコノミスト

【要点(Point)】
(1)機械式腕時計を製造していた諏訪精工舎は、アメリカでの音叉時計開発の報を聞き、危機感を持って新しい方式による腕時計の開発を模索していた。
(2)ある技術者が水晶(クオーツ)時計の開発を思いついた。社内に電子工学の専門家はいなかったが、若手技術者を中心にクオーツの小型化の研究を進めた結果、1969年、世界初のクオーツ腕時計を完成、それまでの機械式腕時計の世界を一変させた。
(3)70年代初め、鈴木敏文氏はアメリカに出張して高収益を上げているコンビニ店を見てわが国でも導入しようと考えた。しかし、小売店舗が多いわが国の実情から、経営陣からは反対された。それでも、何とかライセンス契約し、開業にこぎつけた。
(4)アメリカのマニュアルは、ほとんど役に立たなかった。しかし、コンビニの素人集団が小口配送、共同配送などにより店舗の生産性を上げ、また、消費者の目線に立った業務取り扱いを拡大して急成長、ライセンス契約先の経営危機を救済するまでに至った。

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2007年世界経済を読み解く10のキーワード -ブームの実態を見極めろ!-

福田 佳之 産業経済調査部 シニアエコノミスト

【要点(Point)】
(1)2007年の世界経済も本年に引き続き力強く拡大していくものと見られる。ただし、世界的な貯蓄・投資バランスの偏りには注意する必要があり、特にドル相場が急落する可能性に気をつけねばならない。
(2)また、BRICs経済、特に、ブラジル、ロシアは一次産品を中心とした輸出主導による経済成長となっており、一次産品輸出に過度に依存することで低成長に陥るオランダ病を発病する恐れがある。
(3)10のキーワードは以下のとおり。(1)ホームエクイティローン、(2)米国住宅ブームの終焉、(3)アジア地域の外貨準備高、(4)米国長期金利の謎、(5)アジア地域の過小投資、(6)グローバルインバランス、(7)バイオエタノール、(8)ロシアのWTO加盟、(9)オランダ病、(10)統治能力の向上

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日本紙パルプ産業の現状と展望 -求められる新たな成長戦略-

みずほコーポレート銀行 産業調査部(素材チーム) 調査役 清水 信光

【要点(Point)】
(1)世界の紙パルプ市場は、先進国市場が成熟化する一方で、中国を始めとする新興市場の需要拡大が著しい。
(2)欧米トップ企業は、1990年代後半からの大規模な合併・再編によって企業規模が拡大し、上位寡占化が進んでいる。
(3)欧州企業は、優れた地域戦略、サプライチェーンの最適化、少品種大ロット生産によりグローバル展開を推進している。
(4)日本企業は、内需に依存した成長戦略は描き難くなっており、グローバル化に対応した新たな事業戦略が求められている。

■視点・論点

企業経営と文化の効用 -日本人本来の文化にもとづく、企業の個性化戦略を!-

谷川ヒューマン・テクノ研究所 代表 谷川 孝博

《世界の文化の吹きだまり》  日本の地理上の位置は、その文化史の特異性と大いに関係があるといわれている。というのは、日本は巨大な偏西風の蛇行するユーラシア大陸から遠く離れた東端にあり、太平洋暖流の北上するアジアモンスーン地帯の北端に位置し、すべての文化の吹きだまりの地域にある。このことは、イギリス諸島がヨーロッパ大陸から孤立している以上に、日本は大陸から孤立した東端の袋小路であり、何千年にもわたってその国に流れ込んできた絶え間ない影響の波の終着点であった。今日までの日本文化はさまざまな地域と時代を通して発展してきた文化を抱き込んでいる。

■マネジメント

中国市場を見据えた事業戦略と組織の課題(2) -欧米企業のアプローチから学ぶこと-

浦上アジア経営研究所 代表 浦上 清

【要点(Point)】
(1)中国市場の開拓は、市場ニーズに事業を合わせる企業の努力から始まり、市場志向の事業戦略は、組織による活動を通して実現される。
(2)事業戦略の旗振り機能を持つ中国地域本社の意義は大きく、欧米企業は地域本社の組織を強化している。日本企業は中国地域本社の見直しと強化を行う必要がある。
(3)中国市場を見据えた事業戦略の推進にとって、現地人材の活用は極めて重要であり、香港人、台湾人などの中華圏人材の活用も含め、幅広い観点から対応すべきである。

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■人材

日本人の「働きがい」は今 -「働きがい」の喪失と再生-

渕野 康一 取締役 人材開発部門長

【要点(Point)】
(1)既存の文献調査から、今の日本人の「働きがい」周辺の実情を探る。
(2)「働きがいのある会社」とは何か「働きがい」を感じる共通要素を考える。
(3)日本人の「働きがい」の再生と向上に向けた課題と方策に言及する。

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気付きから学びへ -東レ経営研究所 人材開発の現場から- 第四回 虹のかなたに新しい自分発見

酒巻 洋行 特別研究員

 虹は人間と理想郷をつなぐ架け橋で、虹の橋の端が地面と接するところには宝物が埋まっているという言い伝えもあり、人は虹を見つめながら自分の夢を見る。TBRの研修プログラムに「RAINBOW」というきれいな名前の研修プログラムがある。一般社員から初級管理者を対象にしたもので、日頃の自分を見つめ直して、新しく羽ばたく自分を探す内容だ。日々の自分の身に雨を降らせ、虹を架ける。プログラムの中心は「ジョハリの心の4つの窓」の応用による自分像の分析である。自分が考えている人物像と上司に映っている人物像を比較して、一致する部分とズレのある部分を認識し、その上で自分も上司も気がついていない部分を発見していく「心の宝探し」だ。

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■経済用語解説

ちょっと教えて!現代のキーワード ・「デジタル素材」 ・「偽装請負」

■お薦め名著

『対話のレッスン』 -対話による新しい価値観の創出-

平田オリザ 著

■ズーム・アイ

“都民性”について考える

産業技術調査部 岩谷 俊之

 もう15年以上前の話ですが、福井市に出張に行った時に現地の人から北陸3県の県民性の違いについて面白い話を聞いたことがあります。それは「もし一文無しになったら?」という状況下での例え話で、こういうものでした。  もし一文無しになったら…   富山の人は強盗になる(越中強盗)   石川の人は乞食になる(加賀乞食)   福井の人は詐欺になる(越前詐欺)  ははぁ…とは思うものの、これを聞いただけではよく分かりません。しかし解説を聞くとこれがなかなか面白かったのです。

■今月のピックアップちゃーと

「読書離れ」って言うけれど・・・ ~昔の日本人は今より本を読んでいたの?~