close

2022年5月12日
【論点シリーズ】No.22-05
2050年カーボンニュートラル達成における化学企業の役割とは
- ウクライナ情勢悪化の中で、化学企業は世界の脱炭素化と経済成長持続を支えることができるのか -
部長(産業経済調査部)
 チーフエコノミスト
福田 佳之

■ロシアのウクライナ侵攻は欧州等の安全保障の観点からカーボンニュートラルへの取り組みに影響を及ぼしている。そして世界の脱炭素化のカギを握るのは化学産業とその技術である。 ■化学産業は、熱源を化石燃料から非化石燃料に転換することで化学事業自体のカーボンニュートラルに舵を切るとともに、リサイクルなどの原料循環と、バイオ化やカーボンリサイクル(CR)といった原料転換で社会全体のカーボンニュートラルの達成に貢献できる。なお、化学技術は水素生成や二酸化炭素回収等でのコスト低減でも貢献できる。 ■熱源転換、原料循環、原料転換も実際のところは課題山積である。とりわけ原料循環は化学品全てを廃棄せずにリサイクルすることは難しく、少なくとも2050年の完全循環は想定されていない。カーボンニュートラルと経済成長を達成するには、バイオ化とCRによる材料供給に頼らざるを得ない。 ■バイオ化は市場として立ち上がっているものの原料制約があるため、将来需要の全てを賄うことはできず、残りはCR化学品の供給次第となる。CR化学品の製造はコストが高く、製造コストをいかに引き下げていくかが供給のカギを握る。CR化学品の価格が高ければ、材料供給が抑えられて成長のブレーキとなる恐れもある。 ■なお、世界のカーボンニュートラルの道筋は決まっておらず、化学企業は立地先や企業属性によって多種多様な選択肢をとることとなる。また、将来において現在の選択肢を変更せざるを得ないリスクも考慮する必要があろう。

【キーワード】

カーボンニュートラル、REPowerEU、CO2回収・貯留・利用(CCUS: Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage)、カーボンリサイクル(CR)、熱源転換、原料循環、原料転換、電熱分解炉、アンモニア、マテリアルリサイクル、ケミカルリサイクル、バイオ化、バイオプラスチック、バイオナフサ、マスバランスアプローチ、Eメタノール、メタノールエコノミ―、カーボンプライシング

PDF : TBR産業経済の論点 No.22-05(898KB)