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2022年5月2日
【TBRカナリアレポート】No,22-04
今年度の日本経済はコロナ禍からの回復が続くものの、
ウクライナ情勢の深刻化に注意
民間調査機関の2022年度日本経済予測
部長(産業経済調査部)
 チーフエコノミスト
福田 佳之

 2022年2月24日、ロシアがウクライナに侵攻し、国際政治情勢が緊迫化していますが、エコノミストやシンクタンクによる日本経済の見通しについても、そのトーンに変化がみられます。  これまでエコノミストやシンクタンクは、2022年度の日本経済についてコロナ禍からの回復が続くとしており、懸念材料として変異株など新型コロナウイルスの感染再拡大による経済活動の制限などを挙げていました。しかし、3月9日の2021年10~12月期GDP成長率(二次速報)を受けて、民間調査機関11社が発表した2022年度日本経済成長率見通しは、平均すると前年比2.6%と2月に発表した同見通しを0.3ポイント下方修正しています(表)。ちなみに21年度の同見通しは2.3%で、こちらも2月見通しから0.2ポイント下方修正することとなりました。  2022年度経済成長率見通し上位3社の平均は3.2%と21年度見通し平均の2.5%から加速するとしているのに対して、同下位3社の平均は2.1%と上位3社に比べて1.1ポイントの差があるだけでなく、21年度の見通し平均(2.2%)から低下します。下位3社の見通しでは、設備投資と輸出の伸びが前年比1%程度にとどまるとしています。  2022年度の日本経済の成長率見通しについて、エコノミストやシンクタンクは3月現在でも景気回復は持続するというこれまでのメインシナリオに変わりはありません。しかし、今回下方修正を行った理由について、彼らの考え方は以下の3つに整理されます。まず、①2021年度の日本経済成長率見通し、とりわけ22年1~3月期の同見通しを引き下げた影響で、2022年度の成長率も引き下げざるを得なかったことがあります。次に、②ロシアのウクライナ侵攻を契機として原油や食料など資源価格が高騰・高止まりが景気回復に影響を与えるというものです。資源価格の上昇は、輸入物価の上昇となって交易利得が減少します。その結果、消費者の購買力の低下や企業の収益低下などが生じるのです。そして、③ロシアのウクライナ侵攻と西側の制裁の長期化が先行き不透明感の増大となって世界経済の減速につながり、日本の外需が低迷するという考え方があります。  彼らの多数派の見通しは、①に加えて②を一定程度織り込んでいますが、③までは織り込んでいません。ただし、ウクライナ情勢は予断を許さないものとなっており、両国の武力紛争と西側からの制裁が長期化するだけでなく、エスカレートすることで世界経済の回復が大きく減速する、もしくは腰折れする可能性は否定できません。その場合、日本経済もその影響を免れることはできないため、今後のウクライナ情勢の展開を注視する必要があるでしょう。

「TBRカナリアレポート」では、東レ経営研究所の研究員が時事的なトピック等について解説します。
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PDF : TBRカナリアレポート No.22-04(550KB)