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2013年12月1日
繊維トレンド11・12月号 2013 No.103

■ファイバー/テキスタイル

北陸座談会  -石川産地の景況実態と2013 年度下期に向けた見通し-

出席者: 一村産業株式会社 代表取締役社長 石井 銀二郎 氏 カジレーネ株式会社 代表取締役社長 梶 政隆 氏 創和テキスタイル株式会社 代表取締役社長 藤井 寛三 氏 蝶理株式会社北陸支店 支店長 水野 日吉 氏 丸井織物株式会社 代表取締役社長 宮本 徹 氏 司会:東レ経営研究所 代表取締役社長兼繊維調査部長 大谷 裕

 北陸のテキスタイル産地、特に石川県の織物業界では、長引く円高基調などから、それまで産地を支えてきた軽量高密度織物が失速して、2012年春以降生産量減少が続いた。2012年7、8月頃を底に、2013年に入ってからは、アベノミクス、円安の効果等で、スポーツ向けに米国、韓国などから中肉タフタの引き合いが出るなど、新しい動きが出始めている。各企業や取り扱いの製品によって、業容はまだら模様があるものの、輸出企業を中心に薄日が差す状況となり、ピークアウトといわれた軽量高密度織物も円安の影響で一部回復している。  一方、国内衣料品市況は依然として最終商品安、デフレ傾向が続いており、円安による原燃料の価格高騰が問題化している。生産調整を乗り越えて稼働率が回復しても、各工程における生産コスト上昇分の最終製品への転嫁が十分に進まず、小規模な産地企業を中心に疲弊する状況が続いている。今回の座談会では、こうした困難の中、各社がとった戦略やその成果、縮小する産地が取り組んでいくべき方向などについて、石川産地のキーマンの方々に論じていただいた。

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フランス繊維クラスターと日仏繊維協力の方向性

日本化学繊維協会 技術グループ 主席部員 大松沢 明宏

【要点(Point)】
(1)フランスの繊維産業は、機能性や性能を重視したテクニカルテキスタイルの開発を軸として、繊維製品の高付加価値化を推し進めている。
(2)同国を代表するテクニカルテキスタイルのクラスターであるTechtera(テクテラ)やUp-Tex(アップテックス)は、2005年の設立以降現在までに異業種産業やアカデミアと連携した100件以上もの共同プロジェクトを推進し、おのおののクラスターが拠点とする地域の繊維産業の技術力強化に寄与してきた。
(3)2012年12月に日仏両国政府によって繊維分野の協力を推進する日仏繊維協力WGの設置が合意され、今年3月にそのキックオフミーティングが開催された。
(4)同WGでは、まずは、テクニカルテキスタイル分野の取り組みから開始することとし、「日本の素材技術力とフランスの加工技術・用途開発力の連携によるグローバルな共同市場開拓」を目指して、共同プロジェクトやビジネスパートナーシップの強化など、協力策の検討を開始している。

第52 回Dornbirn 国際化合繊会議 (MFC2013)報告

東レ株式会社 繊維加工技術部 塩谷 隆

【要点(Point)】
(1)欧州を中心に世界各国から化合繊技術の第一線の研究者、技術者が集い発表、討議するドルンビルン国際化合繊会議の第52回が、2013年9月11日~13日に開催され、26カ国から675名が参加した(日本からは16名)。
(2)発表件数は計11件で昨年並みであった。日本からの発表件数は昨年同様8件であったが、ドイツに次ぐ2位であり、その先進的な内容も含め、存在感があった。
(3)発表内容では、特に「バイオ材料」と「仕上げ加工(環境対応、コストダウンプロセスなど)」が目立っており、昨年に続き、「サステナビリティ」と「革新プロセス」が基本コンセプトになっていた。また、軽量・立体構造物、E-テキスタイル、セルロース改質に関する発表も多かった。
(4)EUプロジェクトをはじめ、産官学連携、企業間連携のテーマは時代の流れを反映しているものが多く、連携の必要性は年々高まっている。

■縫製/アパレル

欧州発フィレンツェから2014/15 糸・生地素材トレンド ロンドンから素材のニセ表示解析新手法

株式会社インテグレード 代表取締役社長 欧州繊維専門月刊誌『Twist』在日特派員 永松 道晴

【要点(Point)】
(1)2014年春夏のメンズデザインは、裏地抜きのジャケットやブルゾン用に麻、シルク、綿ブレンドで軽めの織物が多く、リラックスした雰囲気のテーラードスタイルで極めて快活な感じである。反面メンズウエアの女性化傾向から花柄のスカーフやネクタイ、カラフルな履物や靴下とのマッチングが目立った。
(2)2014/15年秋冬の糸素材は、心地よくくつろいだ気分を誘うような手触りのエアリーな風合いが特徴で、これをメランジ、フラメ、ブークレなどで表現し、それに沿って生地の構造はエンボスやフロッキー、膨れ織りによる凹凸感が強調されている。
(3)2014/15年春夏秋冬に共通して言えることは、多様な使用素材や織り編み組織の革新的かつ機能的な組み合わせで生地のデザインを表現しようとする流れだ。そのトレンドのキーワードは、伝統遺産を土台にしながらも先を見る未来志向、様々なカテゴリーのクロスオーバー、そして革新技術と職人の技だ。
(4)カシミヤ100%と表示があってもウールが混入しているケースは枚挙にいとまがない。それがウール・麻・シルク・合繊など複雑なブレンドになると、その真偽を識別することは不可能に近い。このようなニセ表示に立ち向かう技術開発が進んでいる。イギリスの国立物理学研究所のチームが電磁波を使って分析する方法を開発した。検体の生地にマイクロウエーブと赤外線との間の電磁波を照射してその光エネルギーの遮断・減衰・吸収のパーンで、見て触ったのでは同じに見えるがブレンドが異なる生地をはっきりと区別することができる技術だ。膨大なデータベースの蓄積が必要で実用には時間がかかるが、繊維産業の将来にとっては欠かせないツールと期待されている。

■小売/消費市場

店頭で売上を上げるVMD 構造

事業開発研究所株式会社 代表取締役 島田 浩司

【要点(Point)】
(1)VMDは、必ずしもディスプレーではない
(2)ブランドと店頭表現の変化
(3)売れている商品と売りたい商品のみが、店頭にあるべき理由
(4)企画が、店頭の責任を持つこと

中国のアパレル代理商ビジネス

株式会社フランドル 上海事務所 所長 篠原 航平

【要点(Point)】
(1)中国におけるアパレルのサプライチェーンの中で、多店舗展開のカギとなり、欠かすことができない存在が代理商である。
(2)アパレル代理商の主な形式には、地区代理商/加盟商形式、聯営形式、フランチャイズ形式、委託(販売委託)形式の4つがある。
(3)アパレル企業が代理商と契約する理由は、費用対効果が高いからと言える。
(4)アパレル企業の収益構造は、契約する代理商の形式で大きく異なってくる。
(5)地区代理商/加盟商形式の代理商ATUSTYLEのケース。
(6)代理商を選択する時に最も大切なのは、提携に対する代理商の熱意。代理商はパートナーでもあるがライバルでもある。

■新市場/新製品/新技術動向

世界繊維産業の現状:NY における存在感

英字ファッション情報誌「NY Street Fashion: Multicultural Fashion & Lifestyle Magazine」 シニアエディター マヤ・カワムラ

【要点(Point)】
(1)オバマ政権貿易政策の柱である国家輸出戦略(National Export Initiative)は、発足以来3年間で37%増の成果を上げ、政府の役割も具体化され、好調な船出を印象づけた。海外からの投資の問い合わせも急増し、米国アパレル繊維産業の新たな時代の到来を思わせる。
(2)ファーストリテイリング社の「エアリズム」は、日本化合繊技術の結集(東レ)。デニム(クラボウ)、化繊ジャケット(三菱レイヨン)等、NYにおいても日本勢の活躍が見られる。
(3)韓国繊維展示会「コリアプリビュー・イン・NY」は今年で17回目。テックスワールド展にも70店舗を確保し、NYファッションウイークでも常連。韓流の米国上陸も含めその存在感は大きい。
(4)中国国際貿易振興会(CCPIP)はテックスワールド展の主要スポンサーとなり、350店のブースは中国繊維製造業社。深セン市は今年9月に初めて、NYファッションショーデビューを飾る。
(5)環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の話し合いが着実に各国間で行われている中で、昨年から実施された米コロンビア自由貿易協定をきっかけに、製造業を西半球に移そうという新しい動きもある。

■知りたかった繊維ビジネスのキーポイント

バングラデシュ縫製業 -ラナ・プラザ崩壊の影響と先進国アパレルの対応-

日本貿易振興機構アジア経済研究所 開発スクール事務局長・教授 山形 辰史

 バングラデシュの首都ダッカの西に位置する商工業地域シャバールで、2013年4月24日、8階建ての「ラナ・プラザ(Rana Plaza)」が崩壊した。これにより、少なくとも1,130人が犠牲になり、2,438人ががれきの下から救出された。今や世界第2位の縫製品輸出国となっているバングラデシュで大惨事が起きたことで、世界に震撼が走った。  このビルの上階には、輸出向け生産を行う5つの縫製工場が入居しており、下の階には商店や銀行が入っていた。このように商業ビルの上階で縫製工場が日夜生産を行うというのは、バングラデシュの首都ダッカで広く見られる光景である。

■統計・資料

主要商品市況

1. 原油  2. ナフサ  3.PTA 4.EG 5. カプロラクタム  6. アクリロニトリル 7. ナイロンフィラメント、同織物 8. ポリエステルフィラメント、同織物 9. ポリエステルステープル  10. アクリルステープル、同紡績糸 11. 綿花 12. ポリエステル綿混(T/C)紡績糸および織物