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2009年8月1日
経営センサー7・8月号 2009 No.114

■特別レポート

常識なんてぶっ飛ばせ!イノベーションは辺境から

一橋大学イノベーション研究センター長・教授 米倉 誠一郎

 前号に続き、2009年3月6日に開催した繊維産業シンポジウム『北陸産地の復活を目指して』(東レ株式会社との共催)における一橋大学イノベーション研究センター米倉誠一郎センター長・教授の講演をご紹介します。 なお、当日はDOWAホールディングス株式会社吉川廣和代表取締役会長・CEO、一橋大学イノベーション研究センター米倉誠一郎センター長・教授、東レ株式会社中川秀勝取締役の3人の講師にご講演いただき、吉川廣和氏の講演内容を前号(『経営センサー』5月号)、中川秀勝氏の講演内容を『繊維トレンド』5・6月号にて、ご紹介しております。

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■経済・産業

住宅バブルの後遺症と米国経済

伊藤忠商事株式会社 調査情報部 チーフエコノミスト 北井 義久

【要点(Point)】
(1)米国経済は、ハイリスク貸出の急増を放置したことにより景気拡大が長期化したが、現在その反動に苦しめられている。
(2)急減していた住宅着工・自動車販売が底入れしつつあるものの、企業収益の悪化による設備投資減少が長期化すること、不良債権損失処理に手間取ることから、景気底入れは2010年前半に先ズレする。
(3)更に、膨大な民間債務削減と政府債務増加により、中期的な米国の潜在成長率は2.5%から2.0%に低下を余儀なくされる。

世界の増大するインフラ需要を考える 日本はものづくり技術で活路を見出せるのか

福田 佳之 産業経済調査部 シニアエコノミスト

【要点(Point)】
(1)欧米のインフラは老朽化しており、日常生活や企業活動に悪影響を与えている。そのため、それらを修繕するための投資が行われている。
(2)欧米では、IT技術を使ってリアルタイムでサービス供給を行う「インフラのスマート化」が進展しており、省エネや温暖化防止に役に立つと言われている。スマートメーターがその代表例である。日本でこれらの動向があまり注目されていないのが気がかりである。
(3)新興国のインフラ投資額は先進国のそれを上回っている。急速な経済成長と都市化の進展により水や電力不足から交通渋滞や廃棄物処理までさまざまな社会問題が発生しているためである。
(4)水処理事業は新興国での水需要の高まりを受けて注目されている。公的機関だけでなく、民間企業も同事業に参入しており、スエズ社、ヴェオリア社など「水メジャー」が有名である。最近では、GE社、シーメンス社、シンガポール政府の支援を受けたハイフラックス社が台頭している。
(5)ろ過膜など機器・素材市場は日本企業の独壇場であるが、水処理事業の市場全体の1%程度に過ぎない。水処理事業の9割を占める水道事業の運転管理・維持について日本企業の実績は無い。
(6)新興国インフラ需要を取り込むには、低価格商品の開発と日本勢の弱点を補う現地企業との提携がカギを握る。

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シリーズ:わが国デジタル家電産業のグローバル展開の現状 第1回日系電機メーカーの中国市場への能動的アプローチ

財団法人機械振興協会経済研究所 研究員 近藤 信一

【要点(Point)】
(1)世界的金融危機の影響により大きな打撃を受けているデジタル家電市場の中でも、日系電機メーカー内で期待とプレゼンスを上げているのが中国市場である。
(2)ヒアリングでは、日系メーカーが競合の激化と価格下落、集中する商戦、家電量販店という流通構造など非常に厳しい状況に置かれながらも、各社それぞれのやり方で中国市場を攻略中であることがひしひしと感じられた。
(3)沿海部の新富裕層(NEW RICH層)を中心に消費者が既に成熟化しており、ニーズが多様化している。マスマーケットを攻略することも重要だが、これからは多様化する市場ニーズを的確に捉えて、市場ニーズに対応した製品開発、更に潜在成長力のある内陸部の需要開拓のために多様な販売チャンネルの構築を行うことが必要であると言える。

バイオプラスチック開発の現状と今後の展望

独立行政法人理化学研究所 理事 土肥 義治

【要点(Point)】
(1)21世紀は、エネルギー・資源として太陽エネルギーとバイオマスを利用する社会(産業)システムに転換する必要がある。
(2)バイオプラスチックの生産が日米欧に加えて中国で本格的に始まった。
(3)バイオプラスチック関連技術の特許出願件数が上位にある5社を選び、これらの企業の研究開発動向を分析した。
(4)今後は、生産されているバイオプラスチックの利用拡大とともに、新規のバイオプラスチックの開発を推進する必要がある。

■視点・論点

働かざるもの食うべからず - 企業も、個人も働く喜びを創り出す努力を-

ジェイ・ボンド東短証券株式会社 代表取締役 斎藤 聖美

■マネジメント

経済減速下の中国ビジネスとどう取り組むか - 中国市場における販売への重心の移動を中心に-

浦上アジア経営研究所代表 浦上 清

【要点(Point)】
(1)中国経済はこれまで経験したことのない景気後退の局面にある。中国政府は大型の財政支出を含む内需喚起策を実施中であり、既にいくつかの分野で効果が現れつつある。
(2)中国経済に占める第三次産業の比率が着実に上がっている。中国で事業を行う日本企業は、これからのビジネス成長のために、中国市場での販売に事業活動の重心を移す必要がある。このために、中国現地組織の強化を図ることが重要である。
(3)販売・サービス分野における人材不足状況への対応のため香港や台湾などを視野に入れた人材戦略を構築し、実行に移すことが大切である。また、この時期、業務の仕組みづくりに力を入れておきたい。

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ASEAN、中国との比較におけるインドビジネスの捉え方

甲南大学経営学部 教授 安積敏政

【要点(Point)】
(1)戦後は一貫してアジアの国が世界から成長市場、新興市場として脚光を浴びた。その流れは日本、ASEAN、アジアNIEs、中国、インドの順である。
(2)注目市場にはビジネスチャンスと同時に各国特有のビジネスリスクがある。インド特有のリスクには撤退規制など4点がある。
(3)ビジネスリスクとは投資先の経済発展、産業・外資政策の変化、投資企業の事業習熟度などで大きく変化するので静態的・固定的に見るべきではない。
(4)現地の経営現場での実践的なリスク対応の知恵こそがビジネスリスクを最小限に抑えると同時にビジネスチャンスを最大限に広げる。

■人材

現場力を向上するよいチームのつくり方 -対話の設計とそれを促進するリーダーが現場力を上げる-

株式会社ラーニングデザインセンター 代表取締役 NPO法人日本アクションラーニング協会 代表 清宮 普美代

【要点(Point)】
(1)企業におけるチームは業績の要である。
(2)現場力とは、チーム単位での思考力と実行力であり、その基盤に働く人の活力がある。
(3)現場力を向上する鍵は、「チーム脳」を生み出すことである。
(4)「チーム脳」の特徴は、(1)協働思考 (2)協働実行 (3)役割・貢献意識 (4)主体的自律的(5)楽しい成功、である。
(5)チーム育成の鍵になるのは、対話型コミュニケーションとリーダーシップである。

■経済用語解説

ちょっと教えて!現代のキーワード 「量的緩和」 「クラウド・コンピューティング」

■お薦め名著

『失格社員』 -ビジネスマンが守るべき「モーゼの十戒」-

江上 剛 著

■ズーム・アイ

休日にこそディスカウントプライスを

産業技術調査部長 鶴見 徹

■今月のピックアップちゃーと

日本が誇る太陽電池の技術 「技術力では世界一」は今後も安泰なの?

■TBRの広場

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