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2004年11月1日
繊維トレンド11・12月号 2004 No.49

■特別レポート

巨大市場中国への対応策 -日系企業の内販戦略とその課題

日中投資創研株式会社 代表取締役社長 浅香 哲男 

東レ経営研究所では去る9月17日、東京両国のKFCHALLにて繊維産業シンポジウムを開催し、多くの方にご参加いただきました。 一時期、中国の台頭は「中国脅威論」と恐れられましたが、今後中国と競い合うだけではなく棲み分けることを狙い、とりわけ川中の中小繊維事業者の自立化を強調して、その支援事業が昨年、今年と実施されています。今回のシンポジウムでは中国事情に通じ、それぞれの分野で活躍されているコンサルタント、弁護士、経営者の3人の方々にご講演いただきましたので、ご紹介いたします。

中国ビジネスで成功するための条件 

中国ビジネス研究所 所長  中国弁護士 馬 英華 

いち早く中国進出を決断、開拓者として学んだこと 

株式会社マツオカコーポレーション 代表取締役社長 松岡 典之

■海外動向

シリーズ「何処へ行くか“世界の市場”化-中国」 第2回 第2フェーズ下の小売市場

日本繊維新聞社 編集委員 森下 敬一

【要点(Point)】
(1)2004年6月1日、流通業の新しいルールが施行。12月11日には外資100%の独資流通業が認められる。小売市場は超大型SCの建設計画が目白押し。
(2)2020年までにGDPを4倍にし、2010年までに国有経済の改組を完成させるという「10・5計画」の実現に向けた小売市場の水準は2007年6兆元、2010年8兆元が見込まれ、これを達成することで中国の小売市場の2、3社は世界小売業500強にランクされよう。
(3)繊維産業は2005年1月1日からWTOの繊維協定の撤廃、いわゆるクオータフリーとなる画期的局面に入る。これにより日本企業の中国内販、小売業進出、3国輸出が本格的に活発化しよう。

中国アパレルの現状と今後の方向性 -オカダヤの事例から-成功要因・失敗要因の分析提言

有限会社シナジープランニング 代表取締役 坂口 昌章

【要点(Point)】
(1)中国の流通業界は変化が激しい。日本では考えられない事態が次々と起きる。その変化にいかに迅速に対応し、柔軟に行動を修正するかが問われる。オカダヤの中国進出も実現までには紆余曲折があった。
(2)下着専門店は品揃え型からメーカー直営のSPAに中心が移っている。オカダヤは、NB(ナショナルブランド)とPB(プライベートブランド)のブランドミックスによるセレクトショップとしての存在意義を見出そうとしている。利益率の向上のために多店舗化が必要であり、海外出店もその戦略の一環である。
(3)中国出店では、現地で内装工事を行わなければならない。日本では当然のことでも、細かく指示しないと実現しない。しかし、コストメリットは大きく、オカダヤでは現地のショップ内装に留まらず、中国生産の什器を日本に輸入している。
(4)現地での販売員の募集から教育までは、現地に詳しいスタッフの協力が欠かせない。社会保険制度や福利厚生、販売員との契約など、日本側だけでは対応困難である。オカダヤは、デリケートなランジェリーを扱っているため、接客を重視し、毎月、日本から販売トレーナーを派遣して販売員教育を行っている。
(5)日本のアパレル企業はほとんどの商品を中国で生産しており、その製品が直接中国国内で販売できれば、加速度的な進出が進むだろう。現在は、ライセンス等の問題があり、それができない。しかし、先行して市場進出することで様々なビジネスチャンスが出てくるのも事実である。

アジア主要国の合繊需給シリーズ 第4回 ASEAN 全般好調 -繊維セクター:インドネシア 繊維衰退の懸念、  タイ 自動車用途の拡大強化進む、  マレーシア 東レグループ強い、PABは世界一のテキスタイルメーカー目指す

向川 利和 特別研究員 繊維産業アナリスト

【要点(Point)】
(1)ASEANの経済は全般に好調。今年、GDP実質成長率は5.7%に達する見込み。来年も5%以上の成長期待。リスク要因はテロの脅威。懸念材料として、日米・中国経済の減速。
(2)インドネシアの繊維産業は、電気代、燃料代、労務費のupなど、高コスト体質の定着で衰退の懸念がある。旭化成せんいは、INDACIを解散し、インドネシアから撤退することを決めた。インド系TEXMACOグループの去就も注目される。
(3)タイは自動車産業がリードして高成長を続けているが、繊維産業も03年前半の低迷を脱し、浮上、概ね好調。付加価値化と自動車用途へのシフト、拡大強化が功を奏している。
(4)マレーシアも輸出好調で順調。繊維産業は、中国や他のASEAN諸国に比べて、賃金水準が高く、周辺諸国からの外国人労働者に依存する構造が、ますます顕著になってきた。そんな中、事業統合したPENFABRIC(東レグループ)は、世界一のテキスタイルメーカーを目指すなど東レグループの健闘が目立つ。

イタリア繊維産地に関するビジネスセミナーから受講者が学んだもの -いしかわ繊維大学国際ビジネスセミナーから-

小林 元 特別研究員

シリーズ「ファッション・リテイリングの最新動向」 第2回 米国ファッション市場の動向

株式会社小島ファッションマーケティング 代表取締役 小島 健輔

米国市場の特質 米国のファッション市場を語るには日本市場との抜本的な違いを認識しておくべきで、主要なものだけでも以下の4点を挙げておきたい。

【要点(Point)】
(1)人口が2億8,800万人と日本の2.3倍を上回り、移民流入と出生率の高さで増加率も格段に高い(00年⇒03年間に日本は0.57%、米国は2.90%)。それがマーケットの拡大を支え、WASP系からヒスパニック系まで消費に多様性をもたらしている。
(2)時の政権にかかわらず三つ子の赤字(財政収支/経常収支/家計収支)を放置したインフレ政策を継続しており、国も国民も借金漬けの消費を謳歌している。行政は財政再建政策/国立銀行は過剰資金供給というデフレ・インフレ並行政策の日本ではデフレ圧力が強いが、米国では慢性的なインフレ圧力で消費が嵩上げされている。
(3)伝統的な競争社会に共和党政権の金持優遇税制が加わって貧富差が極端に拡がり、5%の家庭に95%の富が集中する一方、貧困から犯罪に手を染める人も5%を超えている(刑務所人口だけで960万人)。ゆえにラグジュアリーデパートからダラーストアまで、多層な小売業態が発展している。
(4)50年代に発して80年代でピークアウトしたSCエイジによって小売売上に占めるSCシェアが53.5%(03年度)に達し、フリースタンディングの大型業態も氾濫する米国ではNYやSF、シカゴなどを例外としてダウンタウン商業が壊滅。近年、急増したとは言えSCシェアが20.3%(同)に留まる日本とは競争環境の次元が異なる。

■国内動向

「シングル’40」の実態 - 有望な新しいライフステージが誕生している -

伊藤忠ファッションシステム株式会社 エディティングスタジオ 小原 直花

●現在の「シングル'40」はバブル育ちの消費の申し子。時間もお金も自分のために使える人たちであり、DINKSも視野に入れ有望なターゲットと考えられる。 ●モノを見る目は養われておりクオリティにはうるさいが、納得さえすれば多少高額であっても購入する人たちである。 ●年齢的な体型・体調の変化を余儀なくされている。今までとは違うものに目が行き始めている今だからこそ、彼らへのアプローチが必須なのだ。

中国アパレルの現状と今後の方向性 ブランド間競争の時代到来を想定、中国アパレルが日本人デザイナーを起用  -メンズブルゾン・ジャケットシェア中国No.1アパレル「七匹狼」集団がチーフディレクターとして畠山巧氏と契約- 

足立 敏樹 繊維調査部 シニア・リサーチャー

世界の繊維品貿易については、下表の通り、過去40年以上に亘り枠規制による輸入数量制限が行われてきたが、本年1月1日より、完全な自由貿易体制が実現した。

【要点(Point)】
(1)単なる生産基地の縫製工場から、自らブランドを持ち本格的なアパレル機能を持った中国企業が育ちつつあるが、そうした企業・ブランド間で競争激化の様相。
(2)その中の「七匹狼」(チーピーラン)は、外資を含めた中国アパレル市場におけるブランド間競争に生き残るため、先進的な日本のアパレル・マーチャンダイジング・ノウハウの導入を目的に、日本人デザイナーと契約。
(3)七匹狼集団(福建省石獅子市)は、2003年度総資産8億元、従業員3千人強、アパレル部門の年商20億元、中国国内に「七匹狼」など4ブランドのトータルで2,300店舗(内「七匹狼」だけで1,500店舗)を展開。
(4)畠山氏がチーフディレクターを務めるメインブランドの「七匹狼」は、中国国内の1,500店舗以外に、香港、台湾、韓国でも販売。「七匹狼」は、メンズブルゾン・ジャケットのシェアが中国NO.1のアパレル。
(5)中国アパレル産業の問題点と課題としては、企画生産面でマーチャンダイジング(MD)力、パターン力が不十分、加えて素材のレベルが不十分、既に備わっているのは、縫製力と販売力(中国アパレルが3,000軒に対して代理商が全国に4,000軒)。
(6)中国アパレル(「七匹狼」)における日本素材を含めた海外素材の扱いは、現時点で量的に2~3%、質的評価は、イタリア素材は商品の感性度、日本素材は商品の完成度。イタリア機屋は規模の大小に関わらず早くから中国にオフィスを構え進出、自ら営業活動実施。一方、多くの日本の機屋は現時点では補助金支援による展示会出品と実商売では大手商社頼み。

■新製品・新技術動向

ブラインドしないブラインドの開発 -商業空間を快適に演出-

東レ株式会社  産業資材事業部産業資材課 機能テキスタイルグループ  立石 洋三

■知りたかった繊維ビジネスのキーワード

インターンシップ -産学連携による人材育成- 

有限会社シナジープランニング 代表取締役  坂口 昌章

■統計・資料

主要商品市況 

1.原油    2.ナフサ   3.PTA  4.EG  5.カプロラクタム   6.アクリロニトリル  7.綿花・ポリエステルステープル  8. ナイロンフィラメント、同織物  9. ポリエステルフィラメント、同織物  10 . アクリルステープル、同紡績糸  11 . ポリエステル綿混(T/C)紡績糸及び織物