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2001年8月1日
経営センサー7・8月号合併号 2001 No.32

■経済・産業

膠着状態続く円・ドル市場 -今後、円売り・ドル買い圧力が強まる可能性も-

高橋 健治  産業経済調査部長チーフ・エコノミスト 

 円・ドル市場は、膠着状態にある。しかし、今後、わが国が構造改革を進めるにつれ、円安・ドル高に進む可能性がある。アメリカはドル高維持を政策の基本としており、135円程度までの円安は容認しよう。しかし、アメリカの輸出競争力は低下しており、いずれドル安へと政策転換する可能性もある。ユーロは、基本的にユーロ安・ドル高となっているが、金融緩和などにより欧州経済が立ち直り、次第に安定に向かうとみられる。

中国のWTO加盟と産業界への影響 -本格的な日本のビジネス・チャンスの到来-

在中国日本国大使館 経済部 専門調査員  黒岩 達也 

 中国のWTO加盟は、日本をはじめとする外国企業にとっては千載一遇のビジネスチャンスの到来を意味する。WTO加盟以降の貿易自由化は日中双方にとってメリットが大きく、日中貿易は相互補完性をさらに増幅させながら拡大へ向かう可能性が強い。サービス分野においても、日本企業が中国において「質の良いサービスの提供」を実現できれば十分な勝機がある。今後は中国の生産資源と活力を日本の産業界にうまく取り込んで、日本経済の再生に活用すべきである。

個人消費は本当に不振なのか -消費者の低価格志向が進展、GDPの個人消費は過小推計?-

高橋 健治 産業経済調査部長チーフ・エコノミスト

 個人消費は、需要統計でみると不振が続いているものの 、供給統計では意外に堅調である。どちらが実態なのか。需要統計の家計調査をみると、消費支出金額の減少が続いている。これは、消費者の低価格志向が進展し、購入価格が低下している面もある。一方、購入数量は、価格と比べて減少が緩やかで、中には増加に転じているものもある。また、購入価格と消費者物価をみると、消費者物価は、同一商品の価格の推移であり、購入価格と比べてあまり下がっていない。この結果、消費者物価を使って実質化されたGDPの個人消費は、過小推計となっている可能性がある。

2001年度はゼロ成長、底入れ後「実感なき微弱な回復」へ -2001年度・2002年度の日本経済見通し-

増田貴司  産業経済調査部主任研究員シニアエコノミスト

 当社では、2001年度・2002年度の日本経済見通し(年央改訂見通し)を作成した。 景気は既に後退局面入りしており、2001年度の実質経済成長率は0.0%とゼロ成長になると予測している。また、今回の後退局面は比較的短期間で終わり(2002年1~3月に景気底打ち)、2002年度の実質成長率は0.9%になると見ている。ただし、景気底打ち後も、民需の回復力が微弱なため、企業や家計にとって回復の実感は得られない。 なお、他の予測機関の見通しをみると、大幅マイナス成長や不況の長期化を予測するところも多い。しかし、足元の経済指標の全体としての悪さにとらわれて、景気を実態以上に悲観視してはならない。財別・業種別の動向や、産業の現場の景況を注意深く観察すれば、「後退局面の短期終了」のサインが見い出せる。本稿後半では、今回不況の長期化が避けられそうな理由について述べてみたい。 

日本の主要10業種収益動向 -全産業の2001年3月期連結決算は4年ぶりの増収増益、 今期の連結経常利益はほぼ横ばいの予想- 

永井 知美 産業経済調査部 産業アナリスト

 回復基調をたどってきた企業業績が、踊り場を迎えている。2001年3月期連結決算は、合理化効果や上期のIT関連需要拡大を背景に4年ぶりの増収増益となったが、下期には米景気減速、IT関連需要変調により収益の伸びが鈍化した。2002年3月期の連結決算は、円安による輸出環境改善、合理化効果等のプラス材料はあるものの、日米景気の減速、IT関連需要の落ち込み、製品価格下落圧力などにより、連結経常利益はほぼ横ばいにとどまる見通しである。

国家的戦略を鮮明にした第2期科学技術基本計画 -今後5年間で24兆円の国家予算を投入-

綾 敏彦 産業経済調査部 主幹

 今では何となく日本は科学技術創造立国を目指して行くのだということが常識になっているが、その発端は案外最近のことで、1995年の「科学技術基本法」の制定にある。この法律に基づいて、5年ごとに「科学技術基本計画」を策定することが定められたが、今年4月から、21世紀に向けたわが国の科学技術政策の基本指針となる第2期の「科学技術基本計画」が動き出した。第2期基本計画は、第1期基本計画になかった科学技術に関する国家的戦略性を明確化して「目標無き科学技術大国」といわれてきた汚名を返上し、向こう5年間で24兆円の国家予算を投入することを謳っている。

■マネジメント

ISO9001:2000最重要原則 -顧客重視(Customer focus)と顧客満足(Customer satisfaction)-

山下 重二 客員研究員  ISO9000 JQA/JRCA/IRCA登録主任審査員 ISO14000 JQA/CEAR登録審査員

 ISO9000:2000ファミリー(9000、9001、9004)においては最重要の原則として、"顧客重視"と"顧客満足"が取り上げられています。本報においては、その意義と、組織としてやらなければならないことを取り上げました。

中間法人法の成立

弁護士 柴田眞宏

■人材

教育助成金活用による能力開発の促進

内藤陽子 人材開発部

能力開発は、企業責任から社員自らの自己責任へ   確定拠出年金(日本版401k)を解禁する法律が、2001年6月22日に成立した。運用方法を加入者が自分で指定するこの年金制度は、これまでの企業年金に比べて、企業の責任範囲は縮小され、運用リスクは加入者が負うことになる。   電話会社を自分で選ぶマイラインなど、世の中は、自分のことは自己の意志と責任において選ぶという自分の裁量幅の拡大と共に、責任も自分で負うということが多くなりつつある。 現在、企業教育の場でも、同じことがおきていると言えるのではないだろうか。つまり、能力向上についての責任を、社員自らが負うということである。   企業は、社会の急激な変化に対応しうる能力を社員に求めている。社会状勢に合わせて、これまでのOJTやOffJTを主体にした一律の社員育成だけではなく、個々に対応した教育の必要性が生じ、社員も自らが今後の必要な能力は何かを把握し、その知識の確保に努力する必要がある。

ディベートで言葉と論理能力を磨く

酒巻 洋行 人材開発部長

断定表現を避ける日本語   ゲーテの悲劇「ファウスト」は、悪魔メフィストフェレスに魂を売って悲惨な最期を遂げるファウストの遍歴の旅を描いたものであるが、現代人もまた身のまわりに便利な道具を手に入れたために、「悪魔との取引」により多くの大切なものを失いつつある。中でも人間が最も人間らしい振る舞いをするための手段であることばの領域でその影響が現れ、ことばを粗雑に扱うことによる人と人のコミュニケーション、信頼関係がどんどん希薄化しているように思われる。   新方言とも言われる若者言葉は、新表現を増殖しながら絶えず変化を続けており、そのことが一方では日本語としての新陳代謝に必要な刺激を与えている。中でも断定を避ける曖昧語の「ぼかし表現」(例えば、「~とか」「~みたいな」「じゃないですか」「なんか~」「~って感じ」)は、自分の立場を守りながらも相手の反応を伺う姿勢、相手との適度の距離を置こうとするなど、若者の行動、思考姿勢を表しており、人間関係の希薄化を進めている。

閉塞感の打破に、縦軸日本文化のルネッサンス

飯田 汎

■統計

日本の経済成長率/国内主要産業動向(鉱工業生産/卸売物価/消費者物価/貿易/原油/為替/百貨店/量販店/自動車/VTR/カラーTV/パソコン/半導体/住宅着工/機械受注/公共工事着工) 完全失業率(全体、性別)/完全失業率(年齢別)/有効求人倍率/完全失業率(求職理由別)

■TBRの広場

特別講演会/経営シミュレーション研修