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2013年5月1日
経営センサー5月号 2013 No.152

■今月のピックアップちゃーと

進むペーパーレス化? 紙の内需は7年連続減少の見通し

■北陸繊維産業シンポジウム講演抄録

北陸繊維産業シンポジウム講演抄録 ものづくり現場発の地域振興戦略とは?

東京大学大学院 経済学研究科 教授 東京大学ものづくり経営研究センター センター長 ハーバード大学ビジネススクール上級研究員 藤本 隆宏

2013年3月1日に開催した繊維産業シンポジウム「北陸産地の復活を目指して」(東レとの共催)における東京大学大 学院経済学研究科教授・東京大学ものづくり経営研究センターセンター長藤本隆宏氏のご講演をご紹介します。

■経済・産業

企業誘致と地域産業振興の新展開 ―地域活性化のために何をすべきか―

産業経済調査部長 チーフ・エコノミスト 増田 貴司

【要点(Point)】
(1)本稿では、最近の日本の企業立地の特徴、企業立地促進を図る地域の課題を整理した後、米国のジャーナリスト、 都市研究家のジェイコブズが約30年前の著作の中で指摘した「地域経済が自立、発展するための処方箋」を4つの論点にまとめ提示した。
(2)ジェイコブズの論点(①国単位でなく都市(地域)単位、②安い労働力を売りにした企業誘致の限界、③補助金頼 みの企業誘致の限界、④「漂流」の重要性)は、現在の日本の地域活性化策として、そのまま通用する。
(3)地域活性化のためには、企業誘致を地域の内発的発展につなげる必要がある。
(4)地域が外部との関係を強化しながら内発的発展を遂げるためには、企業がその地域に存在する必然性を構築し、アピールする必要がある。
(5)地域の強みを見極め、模倣困難な魅力を形成することが重要である。その方策として、産業集積の構築、地域のブランド力の確立を推進すべきである。
(6)これからの産業集積は、「効率よくものづくりを行う場」であるだけでなく、「環境変化に柔軟に対応できる場」でなければならない。
(7)国や自治体は、高度な産業集積を生み出すために、多様なネットワークの形成やクラスターの形成を支援すべきで ある。外資系企業の誘致はクラスター形成の起爆剤になりうる。

PDF : 詳細(PDF:1,835KB)

■業界展望

【シリーズ「シェール革命」と日本企業の戦略(1)】 シェールガスが米国エネルギー事情を一変

産業経済調査部 シニアエコノミスト 福田 佳之

【要点(Point)】
(1)米国では新たなエネルギー天然資源が開発されている。シェールガスとシェールオイルである。
(2)この結果、米国の天然ガス価格は、シェールガスの増産に伴い、上昇する原油価格とは対照的に低位安定している。
(3)シェールガスとは従来のガス田より深いところの頁岩に閉じ込められた天然ガスで、これまでコストの面で採掘が困難だった。
(4)しかし、2000 年代に入ると米国ベンチャー企業が水平掘削・水圧破砕など一連の工法を確立し、採掘コストの引き下げと事業化に成功した。その後、資源メジャーなどがこれらのベンチャー企業を買収して、シェールガスの生産を増大させている。

PDF : 詳細(PDF:1,616KB)

■産業技術

わが国造船業界の勝ち残りに向けて

株式会社みずほコーポレート銀行 産業調査部 調査役 大野 真紀子

【要点(Point)】
(1)歴史的な造船ブームが終焉し、その遺産としての需給ギャップを前にして、わが国造船業は勝ち残り戦略の策定を迫られている。
(2)日本の強みは生産技術力と海事クラスターの存在であるが、今後は国際競争力の強化を進める必要がある。
(3)今後強化される国際的な環境規制を追い風にした、日本造船産業の復権を期待したい。

■視点・論点

専門と専門外の組み合わせ ―Serendipity―

株式会社日本政策投資銀行 産業調査部 チーフエコノミスト 鍋山 徹

大競争の時代 「前門の虎、後門の狼」(趙弼「評史」)という中国の故事がある。虎を欧米企業、狼をアジア企業とすれば、虎はアップルやグーグルのように新たなビジネスモデルで、狼はサムスンのようにスピードと大胆さで攻めてくる。本来の意味は、「1つの災いを逃れても別の災いに遭う」という例えだが、日本企業は欧米企業とアジア企業の挟み撃ちに遭っている。産業(製品)ごとに、欧米・日本・アジアの三分割で企業数を比べると、競争の度合いがみえてくる。収益重視の欧米企業が足抜けして企業の数が減るなかで、アジア企業が台頭してくれば、日本企業はアジア企業と価格面で勝負することになる。欧米企業の数が少ない産業は、電機(GE(米)、シーメンス(欧))、半導体(インテル(米)、TI(米)、インフィニオン(欧))、鉄鋼(USスチール(米)、アルセロールミタル(欧))など。このうち、電機や半導体は、サムスン電子、LGエレクトロニクス、鴻海精密工業、メディアテックなど韓国・台湾のアジア企業が競争相手である。とはいえ、日本企業が手をこまねいているわけではない。アジア企業にマネされにくい“差異化”で、競争力を維持している産業(製品)も少なくない。自動車は、ハイブリッド車、低燃費のガソリン車、衝突回避システムなど、環境性能や安全性能で一歩先んじている。トナー(複写機・プリンター)、セラミック・コンデンサー、白色LED(発光ダイオード)、ベアリング、希土類磁石など、アナログの生産部材は日本企業の強みである。

■環境・エネルギー

ソーラーブームに黄信号 ―系統接続コストが原因―

立命館大学大学院 客員教授 村沢 義久

【要点(Point)】
(1)買い取り制度が2年目を迎えた。価格引き下げは必然であり大きな問題ではない。
(2)しかし、新たな問題が急浮上した。「法外な」系統接続コストである。このままでは、太陽光発電ブームに急ブレーキがかかってしまう。
(3)問題解決のためには、発送電分離など、電気事業法の抜本的な改革が必要。

■アジア・新興国

中国民営企業のコーポレートガバナンスの現状 ―独立取締役の役割と政府の関与―

嘉悦大学付属産業文化観光総合研究所 客員主任研究員 実践女子大学大学院 非常勤講師 NPO法人キャリアカウンセラー協会 理事 柏木 理佳

【要点(Point)】
(1)中国のコーポレートガバナンスは十分に機能していない。大株主である政府が株主総会の支配権を通して取締役を送り込んでいるため取締役会が機能していない。
(2)中国のコーポレートガバナンスの構造は、先進国の構造をとり入れ、執行役と取締役が明確に分離されていないため監査・監督機能が十分でない。
(3)法律上、民営企業内の党組織の関与は強化され、民営企業家の政府所属者数、民営企業内の政府組織者は増加傾向にあり、市場経済と逆行しているのが実態である。

■ワーク・ライフ・バランス

日本が世界に範を示す ―高齢者雇用はイノベーションの源泉―

法政大学経営大学院 イノベーションマネジメント研究科 教授 藤村 博之

【要点(Point)】
(1)ヨーロッパ諸国をはじめとしてアジア各国も人口構成の高齢化に直面しており、日本がこの問題にどう対処するかを注意深く見守っている。
(2)日本が高齢化した社会をうまく運営する仕組みをつくり出せば、それは世界中の国のお手本となる可能性を持っている。
(3)高齢者の問題は、高齢者自身が最も早く気がつく。高齢者と他の年齢層を組み合わせることによってイノベーションが生まれる。
(4)日本が再び世界から注目されるようになるには、高齢者雇用の分野で新しいモデルを生み出すことである。

■経済用語解説

ちょっと教えて!現代のキーワード 

「インドのビッグバン」 「米国版「決められない政治」」

■お薦め名著

『誰が世界を変えるのか』 ―大きな展望と小さな試行―

フランシス・ウェストリー/ブレンダ・ツインマーマン/マイケル・クイン・パットン 著 東出 顕子 訳

■ズーム・アイ

愛犬シェルとの朝時間

ダイバーシティ&ワーク・ライフ・バランス推進部長 宮原 淳二

ここ半年程度、毎朝6時に目が覚めます。私の体内時計が勝手に作動し目が覚めるのです。その訳は愛犬シェル(犬種シェルティーから取った愛称)と毎朝の散歩があるからです。シェルは昨年9月にわが家の一員となり、毎日2回の散歩が日課となっています。妻と分担し毎朝1時間程度の散歩が私の務めなのです。