close

2019年1月17日
繊維トレンド2019年1・2月号 2019 No.134

■ファイバー/テキスタイル

中国繊維流行トレンド2018/2019(後編)

東レ株式会社 北京事務所長 寺師 啓

【要点(Point)】
(1)中国繊維産業における最新成果を表彰する「中国繊維流行トレンド2018/2019」後編では性能の向上を謳った「高弾性繊維」「差別化再生セルロース繊維」、イノベーション事例として高性能の「炭素繊維」「パラ系アラミド繊維」「超高分子量ポリエチレン繊維」「ポリイミド繊維」を紹介する。
(2)「中国製造2025」に代表される国家方針を中国の繊維産業界がどのように自身の戦略に落とし込み、推進しているかをウォッチするに当たり「中国繊維流行トレンド」は重要なマイルストーンとなる。

ファッションとテクノロジーを考える ミツフジ株式会社―銀メッキ繊維の可能性

株式会社フランドル 社長室 経営戦略・広報室 次長 篠原 航平

【要点(Point)】
(1)ミツフジ株式会社はウェアラブルIoT hamon®(ハモン)やその素材となる銀メッキ導電性繊維AGposs®(エージーポス)などの開発・製造・販売事業を行う企業である。
(2)ウェアラブルIoT hamon®の特徴はフルカスタマイズできる点、銀メッキ導電性繊維AGposs®の特徴は実用面における高い安定性である。
(3)銀メッキ繊維の開発における最大の課題は用途開発であった。
(4)前社長が自前の最終製品による市場を作ることができなかった最大の理由は、マーケティングができる人材がいなかったため。
(5)ウェアラブルIoT hamon® を開発した理由は、それが人間の可能性を大きく開くツールであるから。
(6)自社にリソースのない異分野の内製化において、最大の課題はhamon®に関わるチーム内の文化の融合であった。その解決はブランド・ステートメントを定めることによって解決した。
(7)日本の繊維産業が今後維持、発展していくためには、ブランド・ステートメントを熟考すること、物まねではないコア・コンピタンスを獲得することが重要である。

第57回ドルンビルン国際繊維会議 (GFC2018) 報告

技術ジャーナリスト 塩谷 隆

【要点(Point)】
(1)第57回ドルンビルン国際繊維会議(GFC2018)は2018年9月12日~14日に開催され、36カ国から約700 名が参加した。
(2)発表件数は計101 件で例年並み。日本からの発表件数は6 件(昨年と同数)であったが、ドイツ、オーストリアに次ぐ3 位であり、近年は常に上位に入っている。
(3)スマートテキスタイルに関するマイクロソフト社へのインタビュー、また、欧州、アジアの有力繊維企業CEO によるパネルディスカッションなどもあり、会議の新たな方向性も見られた。
(4)全体を通して目立ったテーマは、「バイオベース繊維、材料」「リサイクル」「自動車用繊維、材料」「エネルギー対応」「スマートテキスタイルへの展開」であった。

欧米の機能繊維を追求する技術革新の動向をスポーツとアウトドア分野に見る

株式会社インテグレード 代表取締役社長 欧州繊維専門月刊誌『Twist』在日特派員 永松 道晴

【要点(Point)】
(1)機能性素材グラフェン(graphene)は最高の強度と最も薄くて伸縮性を持つ素材であるとともに、超軽量で優れた熱伝導性と導電性を持ち、スポーツ分野ではその特性が競技のルールにも影響すると注目されている。ヒトの目には見えない薄片にスライスされて髪の毛よりも細く鉄鋼より200倍も強いこの物質は、カーボンの単層分子基材でできていて、この物性の幅広さからグラフェンは世界で最も用途の広い新たな素材の一つとして注目されている。
(2)ドイツで開催されたアウトドア製品の小売り国際見本市OutDoor Friedrichshafen 2018において、新進の日本企業グリーンスレッズ(株)が、リサイクルしたストレッチナイロン66のシェル生地でアウトドア産業・資材革新賞(Materials Innovation Award)を受賞した。この生地は優れた摩耗抵抗力を備えた3 層シェル生地をリサイクルされたストレッチナイロン66で商業生産化した世界で最初の資材だといわれている。
(3)米国のココナ社が開発した吸水速乾繊維・37.5技術は、人間の理想的な体温である37.5度を常に維持する性質をもったハイテク繊維だ。それは廃棄されて放置されたヤシの実の殻や火山性鉱石を原料素材にした微多孔質活性粒子を練り込んだ繊維で、その活性粒子の孔は運動で体温が上昇して発生する赤外線の熱で暖められて、一般的な繊維に比べ約8 倍に拡大し汗を含んだ水蒸気を素早く蒸散させて、低い快適な温度を保つ仕組みとなっている。吸汗性、速乾性、それに含まれた炭の防臭効果と相まってエコロジカルで革新的な繊維だ。その製品の具体例として、ダウン用途に機能性中綿を供給している米国ダウンライト社が、37.5技術とのコラボで開発したClimaSMART という体温を調節するダウンを紹介する。

■縫製/アパレル

平成最後のリアル消費の実態 -なぜ止まらない。SCにおけるファッションブランド退店の背景-

株式会社リゾーム 専務取締役 SCトレンド研究所 所長 金藤 純子

【要点(Point)】
(1)郊外SCの開業ペースが急に失速している。家族世帯の減少によって、郊外の果たす役割が変化している。
(2)SC増えてもテナントは減少。ファッションの退店が目立つが、中核ともいえるレディスファッションがそのうちの94%を占める。
(3)SCにおいて、いまファッションは店舗の大型化や通販企業の進出が加速する可能性がある。
(4)「情報化」によって人々はより多忙と感じ、それが消費行動に変化を及ぼす。

■新市場/新商品/新技術動向

エシカル消費を考える

東京ファッションプランニング株式会社 デザイン・企画カンパニー 社長 山田 桂子

【要点(Point)】
(1)消費者庁の調査によると、「エコ」という言葉の認知度50.9%、「フェアトレード」は23.3%、「エシカル」は4.4%となっている。
(2)イケアのプラスチック製品全廃やH&Mのショッピングバッグの有料化などがメディアで話題となり「SDGs」も一般紙でも取り上げられるようになってきた。
(3)ファッション業界では、在庫処分が頭の痛い課題となっている。焼却処分に消費者の厳しい目が注がれる中、リサイクル、リユースへの取り組みが本格化しそうだ。
(4)エシカル消費の一端を担うのがネットのエシカルショップだ。フェアトレードを謳うショップ、オーガニックコットンを扱うショップ、ある特定の国や地域の活性化を掲げるショップなどがある。

■キーポイント

米中貿易摩擦と繊維産業への影響について

日本化学繊維協会 業務調査グループ 主幹  鍵山 博哉

 2018年に入り、米中間の貿易摩擦が深刻化している。米トランプ大統領が2016年の大統領選挙期間中に中国との貿易不均衡(2017年の貿易赤字は3,400 億ドル超)の解消を公約に掲げていたが、大統領就任後、中国との貿易不均衡是正をめざし、具体的に交渉を開始したことをきっかけに、表面化したものである。2018年年央以降は米中双方が追加関税賦課の応酬となり、2018年12月現在、米中間の貿易摩擦は沈静化するどころか、終結が見えず、さらなる深刻化の懸念も生まれている。

■統計・資料

Ⅰ.日本の合繊各社の主要海外繊維生産拠点リスト(2019年1月)

東レ/帝人/三菱ケミカル/旭化成/東洋紡/ユニチカ/セーレン/カネカ

Ⅱ.日本の紡績各社の主要海外繊維生産拠点リスト(2019年1月)

ダイワボウホールディングス/シキボウ/クラボウ/富士紡ホールティングス/日清紡/トーア紡コーポレーション/ニッケ