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2016年10月3日
繊維トレンド9・10月号 2016 No.120

■ファイバー/テキスタイル

欧州に見る2017年春夏の糸および生地と2017/18年秋冬の糸のトレンドを概観

株式会社インテグレード 代表取締役社長 欧州繊維専門月刊誌『Twist』在日特派員 永松 道晴

【要点】
(1)
2017/2018年各シーズンを通観した欧州のテキスタイルファッションのトレンドは、昨年来続く陰鬱な社会の様相と裏腹に、明るく溌剌とした雰囲気だ。その共通因数は軽い目付けで肌心地の良い素材であり、ラグジュアリーな天然素材に蒸散性、撥水性等の機能性を付け、各種エコ認証を謳うことだ。最高級ブランドのDormeuilやLoro Pianaも確実にその方向に焦点を合わせている。
(2)
イタリアの伝統的な紡織産業をバックにしたミラノウニカはニューヨークと上海での成功を受けて、ヤング世代の消費者の選好傾向を的確に読んで革新的な糸の開発に邁進している。2017年夏向けにはブルーをベースにしてジーンズやカジュアルパンツとスーツ・ジャケットを組み合わせてオシャレを演出するトレンドが一層加速するだろう。
(3)
一方、アダルト層はファッショントレンドをリアルタイムで情報検索することにも長けており、単なるラグジュアリーだけではなく、それに着心地の良い機能性が備わっているかを見ており、これに対応することが課題となっている。
(4)
ミラノウニカの糸素材のトレンドを引き継いでパリPVの春夏生地では、軽量で色調はブライトでフレッシュ、花柄が目立つ。天然繊維と化合繊を巧みに組み合わせてスラブ、ノップ、強撚等でブークレや波のようにうねる風合いと視覚効果を持たせて、さらに冷涼効果、吸汗性などの機能性を持たせる品質にビジターの注目が集まっている。
(5)
引き続いて3月上旬ミラノでの2017/18年秋冬向け糸素材の展示会では織り編み両方に装飾的なファンシーヤーンを自在に使って風合い、表面効果、色彩と手触り効果を強調している。色使いはディープな冬の感覚で、ブルーや薄い緑やピンクの淡い氷のようなトーンがトレンドとなっている。ソフトで軽い素材が求められているのはスポーツ、ヨガ、運動用の肌に触れる衣料需要が国際的に伸びているからだ。

 

エコ・コンポジットの動向とトピックス

東レ株式会社 繊維加工技術部 塩谷 隆

【要点】
(1)
「エコ・コンポジット」という概念が注目されており、一般的には「二酸化炭素の排出を低減することにより、地球温暖化を阻止し、地球環境改善に寄与するコンポジット」をこのように呼んでいる。この「エコ・コンポジット」の動向とトピックスを紹介する。
(2)
当初、樹脂成分は石油系であっても、コンポジットの強化繊維として天然繊維を用いた材料を、「エコ・コンポジット」と呼んでいたようであるが、その後、その概念が発展し、繊維も樹脂も天然由来(非石油系)の材料へと進んだ。
(3)
炭素繊維複合材料(CFRP)は、製造に大量のエネルギーを使うということもあり、以前は、「エコ」という雰囲気は乏しかったが、近年、軽量化による燃費向上、それによる石油資源活用低減、そして、結果的に二酸化炭素排出低減効果が全世界の認めるところとなり、「最強のエコ・コンポジット」ともいえる存在となっている。
(4)
最近脚光を浴びている「セルロースナノファイバー(CNF)」は、森林資源の豊かな日本や北欧・北米を中心に、木材需要を喚起する素材として研究が進められており、本来の「エコ・コンポジット」の補強材料として、自動車部品や建築資材などへの利用が期待されている。

 

米国VF CORPORATION の経営戦略

牛田(上海)投資咨詢 有限公司 総経理 牛田 賢

【要点】
(1)
VFの経営手法は、日本の多くのアパレル企業とは大きく異なる。
(2)
ブランドは、自ら立ち上げるのではなく、買収して育てる方針である。
(3)
買収すべきブランドを厳選し、買収したブランドの売上を大きく拡大 (例えば、“VANS”の売上は買収後9年で4.5倍、“Timberland”の売上は買収後2年で2倍超)するため、経営基盤を強化し続けている。
(4)
経営基盤の中で特筆すべきは、「海外展開を支援するネッワークおよびそれを支援する組織」である。
(5)
戦略的でありつつ、地に足のついた経営を行う「経営力、マネジメント力」においても、アパレル業界の世界的なリーダー企業である。

 

外資系ファストファッションブランドの展開

東京ファッションプランニング株式会社 デザイン・企画カンパニー 社長 山田 桂子

【要点】
(1)
ファストファッションで日本に初上陸したのは1995年のGAP。それからおよそ20年が経過したが、GAP、インディテックス、H&M は、積極的に日本展開を続けている。
(2)
一方、上陸わずか4年で日本からの撤退を決定したオールドネイビーの例にもれず、閉店、撤退する企業、店舗数を拡大していない企業も複数ある。
(3)
今後のファストファッション企業の店舗展開は、適正店舗数を探りながら、新規出店は緩やかになりそうだ。

■新市場/新商品/新技術動向

ミレニアル世代の価値観にアパレル企業はどう対応すべきか

ライター・編集者 小山田 裕哉

【要点】
(1)
ミレニアル世代は「自分のライフスタイルに合うか」で購入を判断する
(2)
多少高くても、自分にとって意味があるモノにお金を払いたいという価値観が目立つ
(3)
アパレル企業はトレンドを押し付けるのではなく、共感を生むことが求められる

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■キーポイント

化学繊維ミル消費

日本化学繊維協会 常務理事 杉原 克

化繊ミル消費は、糸・わたメーカーの国内出荷から輸出量を除き、海外からの糸・わたの輸入量を加えたものである。国内化合繊メーカーの直接ユーザー(織編段階、産業資材など)の消費量を示す指標で、産資用を含む化繊関係の川中段階の姿を示すものとなる。

■統計・資料

主要合繊別・国別・メーカー別設備能力(現状および増設計画)

合繊原料編
・カプロラクタム
・テレフタル酸
・DMT
・エチレングリコール
・アクリロニトリル
主要合繊編
・ナイロンフィラメント
・ポリエステルフィラメント
・ポリエステルステープル
・アクリルステープル
・レーヨンステープル
・スパンデックス
・スーパー繊維