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2011年10月1日
繊維トレンド9・10月号 2011 No.90

■特別レポート

日本繊維産業連盟・常任委員会の開催について

繊維調査部

1.はじめに  2011年7月26日、平成23年7月度日本繊維産業連盟(以下「繊産連」)の常任委員会が霞ヶ関ビルで開催された。常任委員会ではこの半年間に開催された各団体の総会で新しく会長・理事長に就任した新常任委員を含め、10名の常任委員と1名の顧問が出席した。経済産業省からは、鈴木製造産業局長(現・中小企業庁長官)、田川繊維課長をはじめ幹部が出席し、下村会長の挨拶を皮切りに、鈴木局長の挨拶や官民それぞれから活発な意見交換が行われた。

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■ファイバー/テキスタイル

東レ合繊クラスターの活動について

繊維調査部

 東レ合繊クラスターは、2004年に民間ベースの実務的な運営母体として設立された繊維産業クラスターで、会員企業数は設立当初の67社から、99社(2011年6月現在、賛助会員含む)へと規模を拡大している。ここでは、設立から7年目を迎えている東レ合繊クラスターの現状と、今後の展望について、2011年6月29日に開催されたUI ゼンセン同盟繊維産業シンポジウムにおける、東レ合繊クラスター荒井由泰副会長講演『繊維産地の活性化に向けて:東レ合繊クラスターの活動とこれから』の内容を基に紹介する。

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株式会社ミツヤ 西山和夫代表取締役会長兼社長 インタビュー 「日本一」の技術を武器に、人材の育成と組織化を目指す

繊維調査部

 リーマンショック後の景況悪化の影響もあり、多くの企業が統廃合を余儀なくされたことで大きく構造変化した福井の染色加工業界は、最盛期から大きく縮小したスペースではあるものの、ここにきて非常にタイトな生産状況が続いてきた。本稿では、名門産元商社ニシヤマグループを傘下とし、織・編から染色加工までの一貫メーカー、株式会社ミツヤのトップであり、福井県繊維産元共同組合の理事長も務める西山和夫氏に、同社の状況を中心として、福井繊維産地の現状と今後の課題について聞いた。

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世界の先進的繊維技術開発の特徴と日本の方向性

日本化学繊維協会 技術グループ 主席部員 大松沢 明宏

【要点(Point)】
(1)近年、中国を始めとする新興国の存在感が急速に増大する中、日本の化繊産業はコモディティ分野での価格競 争を避け、高機能・高付加価値化に活路を求めてきた。高性能繊維をベースにした高強力部材や複合材料、ナノテクノロジーやバイオテクノロジーなどの先端技術を駆使した高機能繊維製品や環境関連製品、感性豊かなファッション素材などにおいて、日本は世界トップレベルの技術力を有している。
(2)グローバル化の進展で、国際競争は今後ますます激しさを増すことが予想されるが、世界をリードする技術力によって革新的な製品を提供し続けることが日本の化繊産業を未来志向の成長産業として永続的に発展させる道である。
(3)日本化学繊維協会・技術委員会では、2009 年度に「世界の高性能・高機能繊維の研究開発動向調査」、2010年度には「欧米における繊維素材分野の異業種連携での技術開発・用途開発等に係る取組(先行事例)の調査」を実施し、日本と並んで高い技術力を有する欧米、ここ数年で急速に技術レベルを上げてきている中国における高性能・高機能繊維の研究開発状況を把握することに合わせて、欧米が先行する異業種連携による出口志向の技術開発・用途開発の現状ならびにその仕組み等を調査した。
(4)さらに、日本が目指すべき方向性について検討した。

ヨーロッパ2012年春夏向け素材展とそこから見えてくるもの

株式会社インテグレード 代表取締役社長 繊維月刊誌『Twist』(World Textile Publication Ltd. 発行) 在日特派員 永松 道晴

【要点(Point)】
(1)2012年春夏向けの糸と生地の素材展のあらましを、ミラノ・フィレンツェ・パリを経て2011年3月北京での展示会まで、横断的にそれぞれ順を追って共通点や異なる点を含めてまとめてみた。2011年秋冬のトレンドである英国調カントリースタイルの延長で、色調はブルーを中心とするくすんだパステルの上にラメ糸などの控え目な輝きを乗せ、素材はウールや麻に柔らかい光沢を与えるシルクやレーヨンなどとのブレンドが主として提案されていた。
(2)展示会ごとに新たに開発された機能性のある素材が発表されており、ここではルーレックス、PPポリコロン、リヨセル、テンセルCを取り上げた。
(3)天然・合繊ファイバーが総じて大幅な価格上昇局面にあり、天然高級素材については化合繊をブレンドすることで値上げを回避する動きがある一方、マージンカットでカバーできない分は値上げと原産地のブランドとしての強みで乗り切る構えで臨んだメーカーもあった。
(4)中国・インドなど拡大するアジア消費市場に積極的に進出、あるいは同じ文化基盤を持つロシアと南米市場の開拓に向かうなど、欧州企業としてその目指す市場は様々だ。一方、文化基盤の異なるトルコが「サロンヨーロッパ」の一員として北京の展示会に参加した。西と東のはざ間に位置するトルコの今後の動きは注目に値する。
(5)2012年春夏向け展示会では中国の存在と影が目立った。英国やイタリアの繊維メーカーを買収して生産と販売に乗り出したり、今後更に本場ヨーロッパのファッションビジネスに参画することが予想される。これらの動きに対して欧州繊維産業各セクターのリーダーがどのように対応していくか、日本にとっても非常に興味のあるところだ。

2012/13 秋冬物ニット素材展 PITTI FILATI

デザイナー 小川 健一

  私はデザイナーですから、本質的に物作りが大好きな人間であります。特にニットは自分でも編み機を4 台持っていて、手編み(棒針編み、かぎ針編み)もできます。編み物の本を出版したこともあります。魅力的な糸を見ると、どのように料理して魅力的な服や作品を作ろうかとワクワクしてしまいます。普段暮らしているミラノから電車に乗ってPITTI FILATI の開催地FIRENZE に向かう時は、トスカーナ料理を食べられるからでなくとも心が躍ります。今シーズンは、7月5日~7日に開催され、私は6日、7日と2日間行ってきました。今回そのPITTI FILATI を見て私が感じたことを書きます。

■縫製/アパレル

ミャンマー縫製産業の現状と課題 ―日本向け輸出を中心に―

日本貿易振興機構 アジア経済研究所 地域研究センター  東南アジアⅡ研究グループ 研究グループ長 工藤 年博

【要点(Point)】
(1)2003年に米国の経済制裁で最大市場を失ったミャンマー縫製産業は、2006年以降、日本向け輸出を中心に再び成長軌道に復帰。現在、ミャンマー製衣料品の最大仕向地は日本(衣料品の輸出総額の約4割)。
(2)他方、日本の輸入衣料品総額に占めるミャンマー製のシェアは1% 以下で、拡大余地が大きい。
(3)ミャンマー製衣料の日本向け輸出の拡大のためには、人材育成、技術移転、インフラ(特に電力)整備、輸出税の削減などが必要。
(4)近年の急速な現地通貨(チャット)高は、ミャンマー縫製産業の競争力をそぐ懸念材料。ミャンマー政府にはチャット高対策が求められる。

シリーズ 日本ファッションアパレルの課題と今後の展開 第16回 クチュールメゾンのテキスタイル選択過程と繊維メーカーの販売促進 

杉野服飾大学 服飾学部 教授 矢野 海児 信州大学 名誉教授 繊維学部 特任教授 大谷 毅

【要点(Point)】
(1)メゾンのテキスタイル担当はアシスタントデザイナーとペアでテキスタイル選択過程に関わる。テキスタイル担当からアシスタントデザイナーの紹介を受け、情報授受できる関係を構築しておきたい。
(2)メゾンとの取引は定番の営業が基本である。定番素材はメゾンの基準からみて高品質である。定番の商権は保守的で、むしろ番外素材が新規取引に結び付くかもしれない。
(3)メゾンの製品設計は段階的に進み、ある段階で、2 次製品設計図と素材見本の組み合わせが行われる。繊維メーカーとして自社素材が採用されるためには、このときメゾンのstudio に自社のハンガーラックがあって、そこに自社のハンガーサンプルが架かっていなければならない。
(4)メゾン独特の管理機構を理解し、次期シーズン展開が予測できるほどに、メゾン研究すれば攻略方法も見えてくる。新シーズンの作業始めに情報を収集し、特に設計主務者の着地点を本人に先回りして推定し、果敢に素材を提案する必要がある。

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中国のスポーツアパレル 

株式会社フランドル 上海事務所 所長 篠原 航平

【要点(Point)】
(1)中国のスポーツアパレル市場は巨大な市場である。
(2)市場特性として、売上上位ブランドの寡占と各社特定のスポーツ種目への注力、が挙げられる。中でも最近注目すべきは以下の2 点。
(3)1 点目は、スポーツアパレル分野のボーダーレス化。エクササイズウエアとワンマイルウエアの分野は注目。
(4)2 点目は、アウトドア用品市場の隆盛。中でも登山・トレッキング分野の成長が著しい。

■小売/消費市場

米国スポーツアパレル市場の現状

英字ファッション情報誌「NY Street Fashion: Multicultural Fashion & Lifestyle Magazine」 シニアエディター マヤ・カワムラ

【要点(Point)】
(1)アメフトを筆頭にスポーツの人気は、米国アパレル業界に大きく影響し、スポーツアパレル部門は300 億ドルの巨大産業に成長。
(2)VF コーポレーション社、クイックシルバー社、アンダーアーマー社の3 社は、米スポーツ関係のアパレルメーカーとしてますますの発展が予想される。
(3)スポーツ専門小売チェーンは、スポーツオーソリティー、モデルズ、フット・ロッカーが代表的。

シリーズ 高コスト先進国における企業生き残りのKey Factor 第15 回 世界の衣料品小売流通の30 年 Ⅰ

青山学院大学 経営学部 マーケティング学科 准教授 香港城市大学 商學院 客員准教授  東 伸一

【要点(Point)】
(1)「工業型小売業者」とイタリアで呼称される垂直統合型の衣料品専門店チェーンの躍進は、わが国だけでなく世界的な小売流通現象となっている。
(2)その背景には、小売業者による経路パワーの獲得だけでなく、小売業者が商品調達過程を戦略的にとらえ、サプライヤーとのネットワークを通じた効果的・効率的な取り組みに着手していることが指摘される。
(3)小売業における革新はサービス・イノベーションとしての性格が強く、小売フォーマット革新においても非常に漸進的で連続的な側面が顕著になっている。
(4)小売フォーマットの成功事例の多くは、戦略市場計画を経て生まれてきたものである場合よりも、小売業者が日々の試行錯誤を通じて漸進的・連続的な革新を発生させた結果であったり、偶然の思いつきの産物であったりすることが実際には数多く認められている。

ファッション・マーケティングの定義を見直す マーケティングポイント⑤~⑩

主要国の合繊主要4品種の需給動向

日本/韓国/台湾/アメリカ/中国/インドネシア/タイ/インド

東京ファッションプランニング株式会社 デザイン・企画カンパニー 社長 山田 桂子

【要点(Point)】
(1)この5 年間で、ギャルマーケットも大きく変化している。今後も注意深く観察していく必要あり。
(2)「ギャル」という限定したマーケットではなく、ヤング全般に対応するガールズマーケットが活性化している。新たなトレンドリーダー「おしゃP」に注目。
(3)今後の人口減少社会を見越して、エージフリーへのアプローチやグローバルMD の必要性がますます高まる。
(4)90年代からリーマンショックまで、日本市場で拡大を続けてきたラグジュアリーブランドは縮小路線への転換が必須。代わりに、ファストファッションが拡大路線に入っている。

■知りたかった繊維ビジネスのキーポイント

空洞化懸念さらに強まる

日本化学繊維協会 理事 杉原 克

震災を受け、国内産業全般で懸念が深刻化  日本の製造業の空洞化懸念が深刻化している。  日本経済団体連合会(経団連)は7月11日、震災等への政府の対応が余りに遅いことに業を煮やし、日本経済再生のための緊急アピールを発表した。この中で、国内の事業環境は、円高の継続、高い法人税、行き過ぎた温暖化対策、出遅れた通商政策、電力供給制約など「六重苦」とも言える一段と厳しい状況に直面していることを指摘。一方で、震災以前からの課題である、社会保障と税・財政の一体改革、TPP等の経済連携協定、新成長戦略などが何ら実行されていない。加えて電力の安定供給に関する道筋も示されていない。このままでは産業の空洞化が一層進み、国内の雇用機会が失われかねないとして、政府はスピード感をもって必要な対策を迅速に実行すべきだとアピールした。

■統計・資料

主要合繊別・国別・メーカー別設備能力(現状及び増設計画)

合繊原料編  ・カプロラクタム ・テレフタル酸 ・DMT ・エチレングリコール ・アクリロニトリル 主要合繊編   ・ナイロンフィラメント ・ポリエステルフィラメント ・ポリエステルステープル ・アクリルステープル   ・レーヨンステープル ・スパンデックス ・スーパー繊維