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2016年6月1日
東南アジアで英会話が急に上達?
主席研究員(市場調査担当)
岩谷 俊之

偉そうに言えることではないですが、私は英語が下手です。どのくらい下手かというと、切符を買うとか道を尋ねるといった、いわゆる「トラベル英会話」がどうにか…という程度ですから、外国人と英語を使って親密にコミュニケーションするなど、どだい無理な話です。  ところが、ここ数年東南アジアの旅を重ねるうちに、この認識が少し変わってきました。東南アジアでは不思議と現地の人と話がはずみ、打ち解け、仲良くなるケースが少なくないのです。海外に出かけて「現地で、現地人の友達ができる」などという経験、欧米では皆無なのに東南アジアではなぜか友人が増える。  トラベル英会話がやっとの私ですからタイ語やベトナム語など現地語での意思疎通など論外。使えるのはヘボ英語だけです。にもかかわらず、現地の人と会話を通じて仲良くなれる理由はただ一つ、それは「相手も英語が下手だから」に他なりません。  欧米人などがペラペラ話す英語を聞き取って理解することなど私には不可能ですが、乏しい語彙(ごい)単純な言い回し・怪しい発音に基づいて話される「東南アジア英語」であれば何とか聞き取れる。それに対し私もまた貧弱な語彙を駆使したヘボ英語で応じると、相手がまた単純な英語で返してきて…と、こんなやりとりを繰り返していると、それはそれでけっこう双方向的なコミュニケーションになってきます。  両者が同程度に英語が下手であるがゆえに成立する会話。スピーキングのレベルは場所によって変わらなくてもヒアリングのレベルが東南アジアでは相対的に“向上"することで生じる効果と言えるかもしれません。しょせん「英語が下手な者同士の英会話」ですから、かなりひどいものであるのは認めざるを得ませんが、そんな英会話でも現地の人との意思疎通手段としてはどうにか機能してくれるのです。  このご時世ですから、怪しい英語で仲良くなった現地の人とそのままネットでつきあいが続くケースも多い。私にとって初めての「海外Facebook 友達」であるベトナム・ハノイの土産物店の若き女性店主さん、現地で知り合った時は独身でしたがその後結婚し、今では一児の母です。ベトナムの友人の、そんなハッピーな出来事を日本にいながら知り、祝福メッセージを送ってあげられるのもハノイ滞在中にヘボ英会話を使って彼女と仲良くなれたおかげというもの。え? お祝いメッセージは何語で書くのか? もちろんヘボ英作文しかありません。それでも趣旨と気持ちは伝わりますし、それに対して先方から私とほぼ同レベルの(従って大変理解しやすい)英語で返信メッセージが届くというのも楽しいものです。  「自分は英語が下手だから海外に行って現地の人と仲良くなるなんて…」という方でも東南アジアで「実用ヘボ英会話」を試してみると希望が湧いてくるかもしれません。なにせ周りは中学英語の使い手だらけですから、ご自身の中学英語も立派に武器として通用するはずです。それでもまだ不安であれば、にこやかな笑顔と豊かなジェスチャーでさらに“コミュニケーション武装"を強化すれば、ほぼ完璧と言っていいのではないかと…。