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2001年6月1日
経営センサー6月号 2001 No.31

■経済・産業

21世紀の中国発展戦略・西部大開発  -時代が要請する巨大開発計画が始動-

在中国日本国大使館 経済部 専門調査員 黒岩 達也 

 西部大開発戦略は、これまでの沿海地域の発展を基礎として中国が新たな成長ステージへ向かうために欠かせない戦略である。その最大の目的は東西間の経済格差縮小による政治・社会の安定にあるが、同時に中国が直面する環境問題、エネルギー問題、経済デフレ圧力、WTO加盟問題を解決するカギとなる。当面はインフラ建設、自然環境保護を全面的に推進する方針だが、開発ビジョンの明確化、資金調達問題など残された課題も多い。

米国景気の先行きをどう見るか  -今後の消費の減速度合いが最大の焦点- 

増田貴司 産業経済調査部主任研究員シニアエコノミスト

 長期好況から一転して、不況に突入した米国経済。その先行きは、今後の事業環境や投資環境を考えるうえで、最大の注目点といってよい。   昨年末に比べれば、減速ペースがやや緩やかになったとはいえ、企業部門を中心に米国景気の減速傾向が続いていることは明白だ。一方、良好な雇用環境を背景に、家計部門の消費は、現状それほど悪くなく、比較的堅調といえる。個人消費が深刻な景気後退入りを防ぐ最後のとりでとなっているわけだ。しかし、最近では雇用環境に悪化の兆しが出ており、今後の消費には黄信号が灯っている。  今後のチェックポイントとしては、(1)株価下落、雇用環境悪化という逆風下で、今後消費が持ちこたえるか、底割れするか、(2)企業の在庫調整がいつ終わり、設備投資の抑制スタンスがいつ解除されるか、の2点を見極めることが重要だ。この2点の帰結次第で、米国経済が年内に回復するか、長期不況に陥るかが決まるからである。また、かりに年内回復が実現したとしても、それは「見せかけの回復」となる可能性がある。

「構造改革」をいかに進めるか  -不良債権処理は、需要対策を優先して実施- 

高橋 健治 産業経済調査部長チーフ・エコノミスト

 小泉新政権が誕生し、国民の構造改革に対する期待が高まっている。問題は、構造改革の進め方である。国民は改革の「痛み」を十分理解しているとはいえない。このため、「不必要な痛み」はできるだけ小さくすることが肝要である。また、97年の財政改革で金融危機が発生し、景気が急速に悪化したことも改革を進める上で教訓にしたい。不良債権処理など、構造改革を進めるにあたっては、景気が弱含みとなっている現在、消費優遇税制、設備投資優遇税制など、需要対策を優先して実施すべきである。

造船業界の動向と経営戦略 

三井造船株式会社 船舶・艦艇事業本部 管理部 部長 藤本 学

 新造商船の国際市場における供給力過剰、円に対するウォン安等、日本造船業を取巻く事業環境は厳しさを増していると言われている。20世紀最後の年である2000年、日本は1956年(昭和31年)以来守り続けてきた、建造量世界一の座を韓国に明け渡した。何やら21世紀の日本造船業を暗示しているかのようである。  現在、日本造船業界では業務提携、分社化、統合といった再編の動きが活発になっている。成熟産業と称せられる日本造船業の真価が問われている時期であるが、造船業界の最近の動向と経営戦略について拙文ではあるが述べてみたい。

知っていますか?「実効為替レート」  -ある通過の主要な外国通貨に対する全般的な変動を表す指標―

軽印刷業界の秩序を劇的に変革するプリントオンデマンド -急速に進歩しているデジタル印刷機- 

綾 敏彦 産業経済調査部 主幹

 IT技術の急速な進展につれて、オフィスプリンティングと商業印刷を隔てていた壁が急速に崩壊し、プリントオンデマンド(POD、オンデマンド印刷)と呼ばれる新しい市場が本格的に立ち上がり始めた。PODとは、デジタル・ネット時代の新しい無版印刷方式で、15世紀に印刷機を完成したグーテンベルグ以来の印刷革命といわれる。プリント出力物を販売するプリントサービス業界には、カラープリンタの高速化、自動化、スキルレス化の波にのって、従来の印刷業関係者だけでなく、新しいプリント文化を創出しようとするニューカマーが異業種から続々と参入し始めており、第2期PODブームが到来しようとしている。すそ野の広い全国チェーン店展開も活発化しており、今後5年間で、国内の軽印刷業者の4割前後が淘汰される可能性も指摘されている。

■マネジメント

グローバリゼーションと企業経営 -コーポレート・ガバナンスをいかに進めるか-

東京大学大学院経済学研究科 教授  ミシガン大学三井生命金融研究所 所長 若杉 敬明

 資本主義社会においては、企業は、ヒト(労働)とカネ(資本)との協力によって価値を生産すると考える。しかし、株式会社は、資本の出し手である株主が所有者としてガバナンス(支配権)を持ち、株主が事業に伴うビジネス・リスクを負担しながら責任を持って企業を経営する仕組みである。 日本は、従来、これはたてまえとされ別の経営が行われてきた。グローバリゼーションのもと、透明性を確保するため、制度に忠実な経営が求められている。  ここで問題になるのは、株主が分散している上場会社で、いかにしたら株主のガバナンスが実効あるものになるかである。それを解決するための工夫が、社外取締役を中心とした取締役会が、株主の立場から企業の経営者である執行役員を監督するという「ガバナンスとマネジメントの分離」である。

中高年者の再就職促進  -再就職促進関連一括法のポイント-

弁護士 松崎 昇

日本企業における人材育成のこれから  -ASTDの動きから人材育成の流れを読む-

フランクリン・コヴィー・ジャパン株式会社  クライアントパートナー ASTD研究会コーディネーター 井上 秀明

 米国ASTDの動きから、日本企業の人材育成を考えてみたい。  米国での人材育成は、日本に比べて数年から5年早いといわれています。流れを先読みすることで日本での人材育成をこれからどの方向に持っていくべきかが見えてくる。その中でもASTDの動きは注目に値する。毎年提示されるテーマは、企業の教育トレンドに影響を与えるほどである。  今回は、ASTDの10大トレンド、毎年の世界大会のテーマ、優良企業(スマートカンパニー)の条件に分けて、日本企業に必要な個人と組織の自立、結果を出していく組織のあるべき姿を考えてみたい。

「コーチング」で個人の可能性を引き出す 

黒田 薫 人材開発部主任部員

 従来は「ビジネスリーダー」が育つのを待つことが多かった日本企業も、最近はビジネススクールへの派遣、自社内での選抜型研修の実施など「ビジネスリーダー」の育成に積極的に動き出している。今回は、GEをはじめとする欧米有力企業ではすでに取り入れられており、従業員一人一人を"リ-ダーシップを備えた有能な人材に自己変革させる有効な手段"として日本でも注目されはじめた「コ-チング」の一部について紹介する。

QBハウスの経済学

手島 幹雄

■統計

国内主要産業動向(鉱工業生産/卸売物価/消費者物価/貿易/原油/為替/百貨店/量販店/自動車/VTR/カラーTV/パソコン/半導体/住宅着工/機械受注/公共工事着工) 完全失業率(全体、性別)/完全失業率(年齢別)/有効求人倍率/完全失業率(国別)

■TBRの広場

参加者募集「TBR電子情報材料ビジネス戦略委員会」