close

2013年8月12日
懸念されるシェール開発への環境規制の強化 
「シェールガス革命」と日本企業の戦略(4)
シニアエコノミスト
福田 佳之

・本号は「シェール革命」の3つのリスクと国外への波及について解説する。 ・シェールガスの埋蔵量を疑問視する声もあるが、埋蔵量の豊かさについて疑問の余地はない。13年時点での埋蔵量調査でも大きく減少する兆しもない。ただし、シェールガスの埋蔵は、従来のガス井のように貯留しているわけでなく、頁岩層に広く分布している。そのため、一つのガス井から長年にわたって採掘することは難しく、次々にガス井を掘り続ける必要がある。 ・環境問題については、流動的な部分もあるものの、開発業者と州政府が持続可能な開発のあり方で妥協点を探っている段階である。州政府にとって雇用創出と税収増加などメリットがあるため、世論を動かすような環境汚染事故が発生しない限り、シェールを開発する方向で両者は折り合う可能性が高い。 ・天然ガス価格の行方については、マクロ経済など外的環境の変化をさておくと、シェールの採掘コストが上昇するため、価格も徐々に上昇すると見られる。それでも石油に対しては価格競争力を持つが、石炭に対しては競争力を失い、将来において燃料の石炭シフトも考えられる。ただし、将来的にエネルギーに対する環境規制が強化されると考えられるため、クリーンエネルギーである天然ガスの競争力が維持される可能性もある。 ・米国外へのシェール開発の波及については、海外は米国と違って採掘インフラが不足している上に、開発に関する法制度が未熟でかつ厳しい環境規制もある。そのため、米国外でシェール開発が本格化するのは早くて2020年以降であろう。

【キーワード】

シェールガス、シェールオイル、技術的可採埋蔵量、水圧破砕、フラッキング水、CSSD(持続可能なシェール開発センター)、Henry Hub、ニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)、採掘インフラ、リース

PDF : TBR産業経済の論点 No.13-06(504KB)