close

2013年9月1日
経営センサー9月号 2013 No.155

■今月のピックアップちゃーと

縮小続くコンパクトデジタルカメラ市場 スマホの侵食受け苦戦、レンズ交換式に活路

■経済・産業

TPPと日本の通商戦略

亜細亜大学アジア研究所 教授 石川 幸一

【要点(Point)】
(1)2010年に開始され現在12カ国で交渉しているTPPは高いレベルの自由化を目指し、新たな分野を含め広範な分野を対象とする21世紀のFTAである。
(2)各国には聖域があり、米国も例外ではない。米国は繊維、乳製品、砂糖がセンシティブ品目である。
(3)TPPではルール創りを重視しており、知的財産権、競争政策、投資など多くの分野で新たなルールを含めルールの交渉が行われている。
(4)TPPによる日本のGDPの増加は3.2兆円と試算されており、市場アクセスの改善、知的財産権の保護、投資環境改善など産業界へのメリットは大きい。
(5)交渉では多くの分野で対立が続いているため2013年中の妥結は難しくなっており、日本の交渉参加の余地は大きく、戦略的かつしたたかな交渉が期待される。

■業界展望

【シリーズ「シェール革命」と日本企業の戦略(4)】 次世代自動車として天然ガス自動車(NGV)は台頭するか

産業経済調査部 シニアエコノミスト 福田 佳之

【要点(Point)】
(1)産業部門や電力部門において燃料として天然ガスの利用は進むものの、新規需要に限られよう。今後も石油や石炭が利用される見込みである。
(2)輸送部門ではガソリン需要は圧倒的である。ただし、この30年程度でガソリン需要はわずかではあるが、減少すると見られており、代わって天然ガス需要が増加する。
(3)天然ガス価格が低下したことで天然ガス自動車(NGV)の魅力が高まっている。燃費が劇的に改善したことで、主に大型車の分野でディーゼル車からNGVへの切り替えが進んでいる。今後、保有台数1,000万台といわれる大型車の分野でNGV需要が本格化しよう。
(4)一方、中小型NGVの普及は遅々として進まない。中小型NGVは普及に関する課題を二つ抱えており、一点目は高い車両価格であり、二点目は、貧弱なガススタンド網である。
(5)上記二つの課題を解決するための連邦及び州政府の支援が貧弱なこともあって、中小型NGVは次世代車として台頭するにはしばらく時間がかかるだろう。

PDF : 詳細(PDF:1,479KB)

■視点・論点

知らぬは我ばかり

ジェイ・ボンド東短証券株式会社 代表取締役社長 斎藤 聖美

自分を知ることは難しい どうも腰が痛いので、近所の整体院に行った。施術用ベッドに横たわると、先生の口から思いがけないことを聞かされた。「右足と左足の長さが2センチほど違いますね」

■マネジメント

【シリーズ企業と広報(3)】 100年先も健全な企業であり続けるために ―東レ広報30年の経験で学んだこと― “ネタ”がなければ、広報機能も持ち腐れ

東レ株式会社 顧問 斉藤 典彦

【要点(Point)】
(1)企業は社会との関わりを深めるため、その声を受け止めて実態を改善しつつ“成果”を発信し、社会の反応を見極める必要がある。
(2)広報担当部署に社内情報を集約する仕組みと仕掛けが必要であり、早期に情報把握することで初めて広報機能が最大限発揮し得る。
(3)パブリシティー活動には“計画性”が不可欠であり、用意周到に十分準備することで、“戦略広報”の実現を図ることが可能となる。

■環境・エネルギー

緑の贈与:世代間連帯での再生可能エネルギーの普及

京都大学 名誉教授 地球環境戦略研究機関(IGES)シニア・フェロー 松下 和夫 (公財)地球環境戦略研究機関(IGES) グリーン経済領域 日本気候リーダーズ・パートナーシップ事務局 マネージャー 松尾 雄介

【要点(Point)】
(1)高齢世代は国内金融資産(約1,400兆円)の太宗(7割)を保有している。高齢世代から現役世代への資産継承を促し、再生可能エネルギー市場を拡大し、国富流出を抑える仕組みとして「緑の贈与」が提唱されている。
(2)「緑の贈与」とは、子供や孫への資産の遺贈の際に、現金などに替えて、風力、地熱、太陽光、バイオマス、小水力などの再生可能エネルギーを対象とした投資証券や、太陽光パネルなどの設備を贈るというものである。
(3)緑の贈与は、資金面で世代間の橋渡しをし、同時に家計で眠っている金融資産を、再生可能エネルギーを通じて実体経済の活性化へ導く効果をもたらす。その促進の鍵は贈与税の減免などの税制改正である。

■アジア・新興国

ノルマとしての6%経済成長の達成 ―10年後の高所得国入りを目指すインドネシア―

日本貿易振興機構アジア経済研究所 地域研究センター 東南アジアⅠ研究グループ 研究員 東方 孝之

【要点(Point)】
(1)2005年以降、インドネシアは平均6%の経済成長を達成しているが、失業率の改善にとっては必要最低限の水準とされる。
(2)6%台の経済成長には堅調な民間消費増と天然資源の輸出増が大きく寄与している。
(3)今年6月、経常収支赤字の一因でもあった燃料補助金の削減にようやく着手し、経済面の短期的課題は物価上昇対策に焦点が移った。
(4)人口構成の変化を追い風に2025年の高所得国入りを目指して作成された開発計画にみられるように、長期的には投資の促進が大きな課題である。

■ワーク・ライフ・バランス

大介護時代の到来に向け、 企業・職場・個人は何をすべきか(2)

ダイバーシティ&ワーク・ライフ・バランス推進部 コンサルタント 松原 光代

【要点(Point)】
(1)自社の持つ仕事と介護の両立支援制度について適切な知識を持っている割合は2割弱であり、管理職も制度内容を認識していない傾向がある。
(2)介護が生じた際の継続就業の可能性を高める主な要因として、自社の介護支援制度に対する認知度を高めること、職場の上司や同僚に相談できる雰囲気を醸成すること、柔軟な業務遂行体制の構築を目指した、日常からの職場マネジメントの実施が指摘できる。

PDF : 詳細(PDF:1,669KB)

■人 材

人材育成の視点 上級MOT短期集中研修「戦略的技術マネジメント研修」について(第21回) MOT研修 全期合同同窓会設立準備会 特別講演 講演録 「今後のアジアと日本」

東レ(株)顧問、同志社大学法学部 客員教授、元 大韓民国駐箚特命全権大使 重家 俊範 (株)東レ経営研究所 特別研究員 MOTチーフディレクター 東京農工大学大学院 技術経営研究科 ゲスト講師 宮木 宏尚 フリーランス・ライター (株)東レ経営研究所 特別研究員 山崎 阿弥

【要点(Point)】
(1)韓国史上初の女性大統領パク・クネ政権は、①政権体制確立の遅れ ②経済の回復 ③北朝鮮問題という3つの課題を抱えてスタートした。
(2)北東アジアはいまだに冷戦の残滓を引きずり、外交面では世界で一番遅れている。お互いに成熟した国際関係の速やかな形成が急務である。
(3)日韓関係は、歴史認識の問題などもあり韓国にとってもセンシティブな状況に置かれている。日韓関係のリセットと友好化を進め、日米韓が協力を深め北東アジア情勢に対処してゆく必要がある。
(4)東レ経営研究所の上級MOT短期集中「戦略的技術マネジメント研修」は、2004年のスタート以来順調に成長を遂げ、現在第18期生の研修中であり、修了生は300名を超えた。今後さらなる発展が期待されている。

■経済用語解説

ちょっと教えて!現代のキーワード 

「メタンハイドレート」 「GNI(国民総所得)」

■お薦め名著

『スーパーセンス』 ―直感的思考と合理的思考―

ブルース・M・フード 著 小松 淳子 訳

■ズーム・アイ

絵本の世界はいかがですか?

産業技術調査部 黒澤 幸子

読書の秋という事で、私の大好きな絵本について書いてみようと思います。