close

2009年7月1日
繊維トレンド7・8月号 2009 No.77

■海外動向

下期の市況を読む -縮む景気底入れへ試練続く 在庫調整進み10~12月に底入れ期待あるが、本格回復は来年後半以降-

向川 利和 特別研究員 繊維産業アナリスト

【要点(Point)】
(1)2008年9月のリーマン・ショックは想像を絶する速度と深度で世界の実体経済に波及。日米欧の景気後退局面は2年近くになるが、空前のマイナス成長は和らぐ兆しは見られるものの復元力はまだまだ弱い。
(2)在庫調整の進展や、各国の景気対策(財政出動)を背景に企業の生産に下げ止まりの兆しも出始めているが、世界的な経済危機の出口はいまだ見えず、世界輸出が本格的に回復するめどは立たない。
(3)10~12月に底入れ期待はあるものの、本格回復は10年後半以降。
(4)とはいえ、商品相場は一時の全面安から変化を見せており、相場的には底入れ観測もある。合繊原料、製品相場もメーカーの減産強化で需給が引き締まり始めており上昇に転じたものも多い。

PDF : 詳細(PDF:565KB)

TOKYO FIBER ’09 SENSEWAREについて

日本化学繊維協会 業務調査グループ 主任 戸円 真弓

【要点(Point)】
(1)2009年4月、TOKYO FIBER展実行委員会はイタリア・ミラノで展示会TOKYO FIBER ’09 SENSEWAREを開催。
(2)日本の化学繊維の優れた機能や特徴をクリエイターがビジュアライズした17作品を展示。同時に素材情報の発信にも工夫した。
(3)7日間で約3万8,000人が来場。展示会の様子は内外のメディアで取り上げられ、使用素材への問い合わせも多かった。

中国「80後市場」攻略のすすめ - 日本企業のターゲットは中国新中間層 -

坂口 昌章 客員研究員 有限会社シナジープランニング 代表取締役

【要点(Point)】
(1)「80後」とは中国の80年代生まれの人の意味で、それ以前の世代の人とは意識や価値観がまったく異なっていることから、新人類と呼ばれている。「80後」世代の性格を形成した要素として「一人っ子政策」「経済発展」「インターネット」が挙げられる。
(2)これまでの中国市場戦略は、「商品の安定供給体制の整備」「大量販売網の確立」「知名度向上のためのプロモーション戦略」だった。
(3)「80後」が結婚適齢期を迎え、中国ニューファミリーが形成されつつある。彼らはより国際的、より個性的、より賢く快適な生活を求めており、専門的な情報、サービスの提供が重要になる。
(4)「80後」は自分のセンスに自信を持っているので、ブランド商品で全身を固めることよりも、安くてハイセンスな商品を賢く着こなすことを好んでいる。コーディネートを考えた合理的な商品MD、専門的な情報を提供するサービス等が求められるだろう。
(5)「80後」世代への訴求には、インターネット媒体が欠かせない。今後、中国市場に進出する企業は、最低限、中国語のWEBを立ち上げなければならない。
(6)消費リーダーが「80後」に移行するに従い、消費スタイルも「軽やかで賢い」ものに変化するだろう。こうした変化は、日本企業にとっては、大きなビジネスチャンスにつながる。そのためには、戦略的に「80後市場」にアプローチすることが肝要である。

PDF : 詳細(PDF:366KB)

China News 変化の街、上海に魅せられて - 上海滞在16年、ヒキタミワさんインタビュー - 

横川 美都 研究員

2004年、筆者が上海に来たばかりの頃、上海生活が比較的長い数名の日本人から、「上海でファッション関係の仕事をするのなら、ぜひ、会っておくべき人」と言われた女性が、今回ご紹介するヒキタミワさん。その後も、いろいろな場所でお名前を聞いたり、ブログを拝見させていただいたりしていたのですが、なかなかご本人にお会いできずにいました。やっと昨年になって、共通の知人を通じてお会いすることができました。 今回は、上海滞在16年目になるヒキタさんへのインタビュー、ご本人が撮り続けてきた貴重な写真とともに、上海のファッションを中心としたカルチャーシーンの変化の歴史を紹介します。

PDF : 詳細(PDF:479KB)

ヨーロッパのファッション情報

デザイナー 小川 健一

世界的同時不況の影響は、イタリアの店頭にもおよび低価格の訴求が目立っている。今回は、世界的に進行するファッション商品のコモディティ化の中での消費者の意識の変化と、欧州市場における日本の伝統的モノづくりの可能性についてレポートいただく。

欧米高級ブランド品市場の現状と行方

ニューヨーク州立ファッション工科大学 准教授 川村 由仁夜

高級ブランド品市場は不況やデフレとは無縁という神話があったが、その神話が2008年9月のアメリカ大手証券会社リーマン・ブラザーズの破綻以降、崩れ始めた。世界の大富豪と呼ばれるマイクロソフト社会長のビル・ゲイツや、世界一の投資家ウォーレン・バフェットの個人資産も大幅に減少したと報じられている。6月5日にアメリカ労働省が発表した雇用統計によれば、5月の失業率が前月から0.5%上昇し、9.4%に達した。1982年以来の高水準だ。世界中どの国でも、個人消費者から大手有名企業まで、財布の紐は堅くなっている。人々が日常生活を維持するだけでも精一杯な時代に、高級ブランド品市場は生き残れるのか、あるいはこのまま不況と共に衰退していくのだろうか。

シリーズ テクニカル・テキスタイルの開発動向 第2回 テクニカル・テキスタイルの繊維素材

テキスタイルジャーナリスト 米長 粲

【要点(Point)】
(1)テクニカル・テキスタイル用の繊維素材は、ポリエステルやナイロン、ポリオレフィン系など汎用繊維素材の改質による用途の拡大と、高機能素材スーパー繊維による高性能テクニカル・テキスタイル開発が進んでいる。
(2)セラミック繊維や炭素繊維など無機繊維やアラミド、PBO、PPS 繊維などの有機系高機能繊維は、それぞれの性能に適した用途開発が防護衣料、輸送機資材、フィルター、工業資材分野で展開している。
(3)吸水・吸湿、温暖冷却調整、燃焼抑制、静電気抑制、導電性付与、紫外線遮蔽、殺菌、防臭など特定の機能性付与の繊維素材の開発も内外で活発に進んでいる。
(4)高機能性繊維の開発は市場の期待する水準にほぼ到達してきたが、時代の期待は環境や資源の維持など新しい視点からの繊維素材の開発が期待され、バイオマス素材としてPLA 繊維や、新しい次元のナノファイバーなど新技術をベースとした素材の登場が注目されている。

■国内動向

大底段階に近づいた北陸産地の不況の実態と当面の見通し -産地を取り巻く内外情勢の動向と今次不況の特質-

小山 英之 特別研究員

【要点(Point)】
(1)昨年下半期以降、直下型の大不況に見舞われた北陸産地は、4~ 6月期に入ってようやく景気後退が緩やかになり、いよいよ大底段階に近づきつつある。しかし、大底を打ってもその後は底這いの状態が長く続き、産地業界は長期不況を余儀なくされるであろう。
(2)今年上半期は、金融機関に対する政府の貸し渋り抑制指導、信用保証の無担保枠の拡大等によって、産地企業の倒産は散発で止まっているが、ここに来て多くの企業がキャッシュアウトによる体力の消耗が進んでおり、経営の危機が深刻化している。過去の不況では、不況の大底から回復に向かう時期に倒産が多発しており、来年上半期は資金繰りの悪化、グローバル競争及び産地内の企業間サバイバル競争の激化によって、厳しい構造調整が起こる可能性が高い。

PDF : 詳細(PDF:494KB)

環境低負荷型染色加工技術の着眼点III

森本技術士事務所 技術士(繊維) 森本 國宏

【要点(Point)】
(1)現在も多くの染色加工企業で使用されているシリンダー乾燥機は、一見何の変哲もない金属円筒の乾燥機である。産業革命以後開発された染色加工装置にあって、いまだ大きな変更もなく使用されているのは、多くの合理的要素を兼ね備えているからである。しかし、ややもするとその管理(保守・点検)に油断が見られる。外部からは見えないメカニズムを理解し、積極的な省エネ対策が求められる。
(2)ポリエステル素材や各種編物等の染色加工は、液流染色装置(海外ではJet-Dyeing M/C と称される)無くして染色加工は成り立たない。1980 年代以降、多くの機構の改善が図られ、今もその改善が続いている。染浴中でのバッチ染色のもつ欠点である資源多消費をいかに克服するかである。機械装置としての大きな改革の波はすでに峠を越えており更なる省エネはユーザーの創意工夫がカギである。

激変するアラ還マーケット

東京ファッションプランニング株式会社 デザイン・企画カンパニー 社長 山田 桂子

 

【要点(Point)】
(1)アラ還女性たちは、従来のシニア世代よりも数段ファッション感覚が高くなっている。
(2)アラ還のファッションタイプは7分類することができる。そこで明確となるのは、トレンド積極派とトレンド無頓着派に大別できることだ。
(3)アラフィー(アラウンド50)ほど多彩なファッション体験をしていないため、テーストの差があまり強く出ない。

環境問題に取り組むイオングループ - イオンレイクタウンに見るポリシーとパワー -

繊維調査部

 東レセハン株式会社から、不織布に関する今後の市場展開について、レポートをいただきましたので、ここでご紹介します。

【要点(Point)】
(1)イオングループは、国内外での幅広い植樹活動をはじめ、店舗への環境技術の導入、エコブランドの開発、リサイクル活動など多方面でエコロジー問題に取り組んでいる。
(2)昨年オープンしたイオンレイクタウンは、国内最大級のショッピングセンター(SC)であるとともに、環境・省エネ・省資源等の技術が結集した「エコストア」のモデルでもある。
(3)同ショッピングセンターは、地域とともに環境活動に取り組み、環境についての情報発信基地としての地位を確立しつつある。
(4)イオングループは、多くの環境技術を採用することによって環境ビジネスのプラットフォーム的役割を果たしており、グループのスケールからしても、その影響力は大きい。

■知りたかった繊維ビジネスのキーポイント

バイオベースプラスチック/バイオベース繊維の可能性

日本化学繊維協会 技術グループ 主任部員 大松沢明宏

■図表解説

トピックスチャート 伸びるゴルフウエア ―― 躍進する「新世代ゴルファー」

■統計・資料

主要商品市況 I.主要短繊維糸・織物の相手国別輸出入統計

1.綿織物輸出 2.純綿糸輸入統計 3.綿織物輸入 4.ポリエステル綿混織物(T/C)輸入

II.主要合繊糸・綿・織物の相手国別輸出入統計

1.ナイロンフィラメント(N-FY)の輸出 2.ポリエステルフィラメント(P-FY)の輸出 3.ポリエステルステープル(P-SF)の輸出 4.アクリルステープル(A-SF)の輸出 5.ポリエステル長繊維織物の輸出 6.ポリエステルフィラメント(P-FY)の輸入 7.ポリエステルステープル(P-SF)の輸入