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2015年12月1日
経営センサー12月号 2015 No.178

経営センサー12月号 2015 No.178

和食ブームで農産物輸出が最高額 ~2020年までに輸出額1兆円を目指す~

■経済・産業

【日本の産業構造の変化と競争力に及ぼす影響①】 日本の貿易収支は黒字に復帰するのか 

産業経済調査部門 シニアエコノミスト 福田 佳之

【要点】
(1)
日本の貿易収支は2011年以来、4年連続で赤字が続いている。当初は、貿易赤字は一時的な現象としてみられていたが、赤字は縮小するどころか拡大しており、14年には12.8兆円にまで膨れ上がった。
(2)
その間、「アベノミクス」の発動等によって円安が進行し、対ドルで3割以上、下落した。しかし、輸出量が増える気配はない。
(3)
貿易収支が改善しない背景として、日本の製造業の海外展開に加えて、「地産地消」の重視、事業継続対応による輸入調達、一部産業での競争力低下がある。
(4)
一方、企業収益は改善しているが、円安によるかさ上げによるところが大きく、ドル建てで売上高を見た場合、日本企業の世界市場でのプレゼンス低下は続いている。
(5)
今後、貿易収支は、油価などの低下もあって改善する。黒字転換するかどうかは判断が分かれるところだが、仮に黒字転換したとしても、以前の高いレベルまで到達しないだろう。

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■アジア・新興国

中国株式市場の急騰・暴落の背景と政府主導の株価対策の評価、 中国経済、日本経済への影響について

株式会社大和総研 主席研究員 経済調査部担当部長 齋藤 尚登

【要点】
(1)
株式売買代金の8割を個人投資家が占めるなか、政府主導による株価コントロールは極めて困難である。
(2)
中国の家計金融資産に占める株式等の割合は10%程度であり、株価急騰・暴落の消費等への影響は限定的である。
(3)
株価暴落による爆買いへの悪影響が懸念されたが、円安効果で「良いものが安く買える」大枠が変わらない限り心配は不要である。

■業界展望

社会インフラ事業のグローバル化に内在する課題とリスク認識 ―日本企業はグローバル社会インフラ市場に活路を見いだせるか― 

長崎県立大学 経済学部 教授 江崎 康弘

【要点】
(1)
新興国では、今後都市化が加速するなかで、社会インフラ整備が急伸すると考えられ多大な投資が期待されている。
(2)
経済産業省は、インフラビジネスの海外展開はわが国の優れた技術を活用し、新興国のインフラ整備に貢献できると期待していた。
(3)
しかし、インフラ輸出実績で、日本企業は中国、韓国や欧米企業に比べて著しく後塵を拝しているのである。
(4)
この停滞は賃金格差や円高の影響でコスト競争力が低落したためであると日本経済新聞は論じていたが、果たしてこの理由だけであろうか。
(5)
新興国側はフルターンキーによる一括請負方式を契約企業に要求しているが、日本企業がその要求を満たすことができないのである。

■視点・論点

メディアトレーニングを経営トップの必須科目に ―企業価値に影響するメディア対応力・情報発信力― 

株式会社電通パブリックリレーションズ コミュニケーションデザイン局 アドバイザリー委員室 シニア・プロジェクト・マネージャー 大森 朝日

ここ数年、弊社をはじめ大手PR会社では、メディアトレーニングの需要が好調に推移している。その要因は、2013年の食品表示偽装、昨年の個人情報漏えい、食品の異物混入、今年に入ってからは免震ゴムデータ偽装、不適切会計、くい打ち工事データ偽装など目立った企業不祥事が相次ぎ、記者会見などメディア対応の重要性が改めて認識されてきたと考えられる。

PDF : 詳細(1027KB)

■マネジメント

コーポレートガバナンス・コードは何を目指すのか 

青山学院大学大学院 国際マネジメント研究科 教授 髙橋 文郎

【要点】
(1)
コーポレートガバナンス・コードは、日本企業の透明・公正な意思決定と中長期的な企業価値の向上を促進することを目標にして策定された。
(2)
コーポレートガバナンス・コードでは、株主をはじめとして顧客・従業員・地域社会等の利益を尊重する経営の重要性が強調されている。
(3)
各上場企業には、自社の業種の属性、経営理念や経営戦略などを踏まえた独自のコーポレートガバナンスの在り方が求められている。

 

ライフサイエンス・イノベーションへの道、日本は勝てるのか!! ―外資系理化学・バイオ企業を35年生き抜いて日本企業へエールを送る― 第1回 20世紀バイオで日本は本当に負け組だったのか

バイオディスカバリー株式会社 代表取締役 一般社団法人日本分析機器工業会(JAIMA) 先端診断イノベーション担当アドバイザー 岩瀬 壽

【要点】
(1)
1980年代、日本発の『生命を測る』提案は、本当に海外勢において制覇されたのか?
(2)
科学技術の進歩は私達人類の将来を変えるのか。今の変化と実態を経験則から覗いてみたい。
(3)
ライフサイエンスビジネスに参入するための隠されたヒントを掴もう。

■ワーク・ライフ・バランス

男女平等が進んでいる都道府県は? ―都道府県別の男女平等度―

調査・研究コンサルティング部門研究主幹 松井 滋樹

【要点】
(1)
男女平等度が進んでいるのは鳥取県である。鳥取県は県庁で以前から女性管理職登用を行い、県内全市町村が男女共同参画計画を策定するなどの積極的な取り組みを行っている。
(2)
女性議員が多いことから東京都も平等度は高い。
(3)
富山県、石川県、福井県の北陸3県は平等度で上位に位置している。
(4)
男女平等度が低いのは北海道、千葉県、群馬県である。これら平等度で下位に位置する都道府県は市町村における男女共同参画条例や男女共同参画計画の制定策定率が低い傾向にある。

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■経済用語解説

ちょっと教えて!現代のキーワード 

産業経済調査部門

「MICE」「リージョナルジェット」

■お薦め名著

『ビジョナリー・カンパニー④自分の意志で偉大になる』 ―「真に偉大な企業」と「経営が悪化する企業」はどこが違うのか― 

ジム・コリンズ 著 牧野 洋 訳

■ズーム・アイ

爆買いはどこから来たのか

産業経済調査部門 永井 知美

訪日観光が絶好調です。中でも話題に上るのが中国人の爆買い。筆者のオフィスのある秋葉原でも炊飯器を3、4台両手にぶら下げたおじさんをよく見かけましたが、最近、ターゲットが化粧品、医薬品等にも広がったようで、「免税」の看板がかかったドラッグストアのレジは長蛇の列。日本人がおいそれと近づける雰囲気ではありません。