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2017年3月1日
今、求められる"イントラパーソナル ダイバーシティ"とは
コンサルタント
永池 明日香

働き方改革の一つとして、副業が話題となっています。サイボウズ株式会社では、2012年から副業を可能としています。また、副業・兼業を積極的に認める大手企業も出てきており、2016年からロート製薬でも他社やNPO 等で働ける「社外チャレンジワーク制度」を導入しました。視野の広い人材を育成するのが狙いとのことです。    近年、労働人口不足解消のための人材活用、グローバル化・多様化する顧客ニーズに対応するためのイノベーション創出等を目的にダイバーシティを進める企業が増えています。私たちの部署は、まさにそのダイバーシティ推進を企業に働きかける仕事をしています。    そんな中、日経産業新聞フォーラム「人を活かす会社」会議の中で、早稲田大学ビジネススクール准教授の入山章栄氏が話をされていた"イントラパーソナル ダイバーシティ"という言葉は非常に印象的でした。組織のダイバーシティでなく、"個人内の価値観を多様化すること"です。組織のダイバーシティはもちろん重要ですが、ひとりの人が多様な知識や経験を持つことも同じくらい重要であり、本業とは異なる価値観を持った異質な場に積極的に出て行くことで、自分自身の中に養われる多様性だそうです。イノベーション創出のためにはこのような「知の探索」が不可欠であるとのことでした。    それは多くの日本人にとって、欠けているところかもしれません。日本企業の多くは、新卒で大卒人材を採用し、社内でさまざまな部署を経験させながら育成し、終身雇用を当たり前としてきました。そこが日本の強さの源泉でもありましたが、社内でのみ活かせる知識や経験も多く、労働市場の流動化も課題とされています。    入山氏によると、「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2017」(『日経WOMAN』が毎年各界で活躍する働く女性に贈るもの)に選ばれた女性の多くはマルチキャリアの持ち主だそうで、多様なキャリアが現業に活かされています。    政府はイノベーション創出による経済の活性化のため、副業・兼業を推進する方向で動いています。副業・兼業は"イントラパーソナル ダイバーシティ"推進の施策の一つになるでしょう。多くの人と出会い、多様な経験をすることが新たな発想を生み出すことにつながりますし、人脈も広がります。    一方で、人間の仕事の多くが人工知能(AI)に取って代わられると言われている昨今、さらに副業・兼業も認めるとなると人材ごとの格差が広がり、優秀な人ほど多忙になるような懸念もあります。国として、就業規則を見直すときに必要な仕組みなどを盛り込んだガイドラインを策定するようですが、長時間労働の是正のため時間管理のルールを明確にする等対応も必要となります。    また、人材育成や企業コンサルティングを担う部門にとっては、「AIではなく人間だからこそできる能力とは何か」「その能力をどう育成するか」「多様な経験を積むことができるような仕組み…」等、今後はより広い視野からのアイデアや企画が求められます。私自身も「知の探索」に努め、"イントラパーソナル ダイバーシティ"を意識し精進しなければと、あらためて思うところです。