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2018年10月19日
経営センサー10月号 2018 No.206

■今月のピックアップちゃーと

日本のリカレント教育の普及はOECD加盟国中最下位 ~費用、時間の不足、処遇改善などが課題~

産業経済調査チーム

■産業経済

EVシフトが世界の石油需要にもたらす影響について(下) ―需要ピーク後の減退ペースは緩やか―

産業経済調査部 シニアエコノミスト 福田 佳之

Point
(1)自動車メーカーの電気自動車やプラグインハイブリッド車の増産の動き(EVシフト)が急ピッチで進展している。その背景には大気汚染の悪化を背景とした環境規制の強化、エネルギー貿易収支の改善、EVによる産業立国、等がある。
(2)今後、車載電池の価格低下等による車両価格の低下に伴ってEVが普及していく。IEAのメインシナリオによると、2030年のEV販売台数は2,150万台、累計台数は1.3億台に達するとしている。地域別にみると、補助金が充実していたこともあって中国においてEV普及が顕著である。ただ2019年からのNEV規制導入で中国のEV販売が影響を受ける恐れがある。
(3)EVの課題として、リチウムイオン電池のエネルギー密度制約とコスト高、原料の大量調達、充電設備の拡充と充電時間の短縮、電池のリサイクル、電力インフラへの負荷増、自動車税収の不足、等がある。同電池のエネルギー密度向上について中期的には全固体電池など次世代電池の開発がカギを握る。
(4)「クルマ」を売るのではなく「移動サービス」を提供するモビリティサービスが台頭している。同事業についてIT企業だけでなく、自動車メーカーも参入している。
(5)自動車産業の構造変化は交通・社会インフラや自動車関連企業のビジネスモデルに影響を与えるが、石油需要の低下についてはかなり長期に及ぶために今後10年から20年程度は限定的とみる。石油需要に影響を及ぼすものは各国の燃費規制であり、現行の規制が存続する限り、2050年時点の米国でも2017年の8割前後の石油需要が残されることから需要ピーク後の減退ぺースについて過度に悲観する必要はないだろう。

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■世界情勢

内憂外患に晒されるロシア ―成長に立ちはだかる新たな懸念―

公立小松大学 国際文化交流学部 准教授 一ノ渡 忠之

Point
(1)ロシア経済は2年連続のマイナス成長を脱し、2018年も緩やかな回復を続けている。18年第2四半期の実質GDP成長率(前年同期比)は+1.9と前期(+1.3%)を上回っており、今後も民間消費の伸びが成長を下支えするであろう。
(2)足もとの成長は、原油価格の上昇と為替相場の安定による輸入品および食料品価格の下落のほか、6~7月に開催されたサッカー・ワールドカップによる消費拡大も寄与した。
(3)今後は、①付加価値税(VAT)の税率引き上げ、年金受給開始年齢の引き上げによる内政不安、②米国との関係悪化と制裁の強化による景気への影響に対処しなければならない。

■技術・業界展望

経営視点からの人工知能の捉え方と可能性

メディアスケッチ株式会社 代表取締役 伊本 貴士

Point
(1)人工知能があらゆる業界を再定義し、その結果ビジネスを取り巻く環境が激変する。
(2)人工知能の活用には、その仕組みを理解することが不可欠である。
(3)企業の最も優先すべき解決課題は、価値創造と人材育成である。

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■視点・論点

異文化対応3.0

リロ・パナソニックエクセルインターナショナル株式会社 顧問 中村 好伸

はじめに 米国のジャーナリスト、トーマス・フリードマンは、著書『フラット化する世界』(日本経済新聞出版社)のなかで、グローバリゼーションを3つの時代に分けた。国家がグローバル化していったコロンブスの時代から19世紀初めまでをグローバリゼーション1.0、企業が多国籍化した19世紀から20世紀末をグローバリゼーション2.0とした。そして「個人」がグローバルに力をあわせ、またグローバルに競争を繰り広げるという時代であり、これを可能にしたのが、「フラットな世界のプラットホーム」であり、世界中の人々が、個人としてグローバル化する絶大な力を持つ21世紀をグローバリゼーション3.0と紹介している。それに遅れること10年、楽天やファーストリテイリングが英語を社内公用語とし、外国人の新卒採用が増え、リーマンショックを乗り越えて、外国人観光客が増加に転じた2010年以降が日本のグローバリゼーション3.0、つまりグローバル化がまさに個人に迫ってきたと思う。まさか上司や社長が猫や犬になることはないでしょうが、会社に行ったら、上司が外国人ということが普通に起こる時代が来たと思う。こうした、グローバリゼーションの状況で問題になるのが「異文化対応」ではないだろうか? これまでは企業の海外関連の社員だけが経験してきた、異なったバックグラウンドを持つ人との関係が、まさに自分のものになる時代となっている。

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■マネジメント

ジョブ理論概説

EQパートナーズ株式会社 シニアコンサルタント・講師 株式会社ビズ・ナビ&カンパニー 代表取締役社長 早嶋 聡史

Point
(1)ジョブ理論とは、顧客が商品(製品・サービス)を購入する理由を明らかにして、それにまつわる解決策を提供する一連の考え方だ。
(2)ジョブ理論では、ジョブの定義を、「特定の状況で顧客が成し遂げたい進歩」とする。
(3)ジョブ理論では、「成し遂げたい進歩」に近づくことを「片づける」、商品を購入して片づける場合「雇用する」という表現を使う。顧客の特定の状況から成し遂げたい進歩を見つけ、それらを解決する(片づける)商品を提供することができれば、顧客はその商品を購入(雇用)するという考え方だ。

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■ヒューマン・ディベロップメント

育休トランジション支援の必要性 ―人材不足社会に向けての提言―

静岡県立大学 経営情報学部 准教授 国保 祥子

Point
(1)女性の学習意欲や昇進意欲は、職場環境が理由で低下する。
(2)人材不足の時代では、ワーキングマザーをはじめ働き方に制約のある社員が活躍できる職場への転換がカギとなる。
(3)解決策は、①時間制約のある社員を活かせる職場への転換、②制約とやりがいを両立させる管理方法の確立、③制約の中で成果を出すための意識変革である。
(4)無制約の働き方から制約のある働き方へ移行する育児休業中のトランジション支援は、復職後の不安を軽減する可能性がある。

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■ヒューマン・ディベロップメント

日本版ホワイトカラー・エグゼンプションに向けて ―創設された高プロ制度とこれからの裁量労働制―

関西学院大学大学院 社会学研究科 教授 野瀬 正治

Point
(1)「働き方改革」が社会的テーマとなっている。7月には「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」が公布された。改革の柱は、長時間労働是正、同一労働同一賃金、そして、「高プロ制度」の3本である。
(2)「高プロ制度」は、新時代で求められる創造的・専門的成果を生む裁量労働のためのホワイトカラー・エグゼンプションの先駆けであるが、社会で広く成果を上げるには、現行の「裁量労働制」のスクラップ&ビルド(抜本改革)が不可欠である。
(3)労働者保護を損なうことなく、創造的・専門的成果を生む働き方(裁量労働)の促進(そのための時間管理からの解放)を実践できる「日本版ホワイトカラー・エグゼンプション」の確立が求められる。

■経済用語解説

ちょっと教えて!現代のキーワード

「マテリアルズ・インフォマティクス」 「マイクロプラスチック」

■お薦め名著

『FUTURE INTELLIGENCE』 ─これからの時代に求められる「クリエイティブ思考」が身につく10の習慣─

スコット・バリー・カウフマン 著 キャロリン・グレゴワール 著 野中 香方子 訳

■ズーム・アイ

PREP、傾聴、コミュニケーション

三島研修部 宗石 譲

私は単身赴任をしています。週末、自宅に帰った際、腰を下ろした途端に妻から声が飛んでくることがあります。「月曜日に○○があって、私が△△したら……、」などなど、いろいろなことを聞かされる× 聞かせて頂く? 聞くことになります。