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2018年4月2日
繊維トレンド3・4月号 2018 No.129

■特別レポート

日本繊維産業連盟 総会について

日本繊維産業連盟事務局

日本繊維産業連盟は、2018年1月16日、東京プリンスホテルにて日本繊維産業連盟総会を開催した。ここでは、当日の鎌原会長あいさつと、平成30年活動方針を紹介する。

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■ファイバー/テキスタイル

合繊原料市況動向 -2017年振り返りと今後の動き-

東レ株式会社 原料部 原料第1課 課長 久田 崇

本稿では、原油、ナフサに加えPTA、EG、カプロラクタム、AN、PP等の合繊原料について、2017年の動向と今後の見通しについて紹介する。

【要点】
(1)
原油、ナフサ
原油:需給ギャップ解消期待で価格レンジは年前半の50ドル前後から60ドルへ上昇
ナフサ:天然ガス価格上昇に引っ張られ大幅価格上昇も2018年2月以降は軟化
(2)
合繊原料は中国を中心に需要は総じて好調、需給バランスはタイト化、価格は上昇
PTA:年後半にかけて需給ギャップ解消が進行、大供給過剰時代も終焉か
EG:好調な需要を背景にタイト化が進行、歴史的高スプレッドを記録
カプロラクタム:2016年末から高騰継続、中国環境規制による粗原料生産減の影響大
AN:米国ハリケーンによる供給減で急上昇、好調な需要に支えられ高値維持
PP:世界的にはウェルバランスも国内は供給ショート顕在化で超タイト化

 

2017年の世界の化繊生産動向

日本化学繊維協会 業務調査グループ 主席部員 戸円 真弓

【要点】
(1)
2017年の世界の主要繊維生産(推定)は前年比5.6%増の9,371万トンとなった。
(2)
このうち化学繊維は前年比4.0%増の6,694万トンと9年連続で増加し過去最高となった。内訳は合繊(オレフィン繊維を除く)が4.1%増の6,158万トン、セルロース繊維(アセテートトウを除く)が2.5%増の536万トンとなった。
(3)
主要国・地域別に化学繊維生産をみると、最大の中国の増加幅が前年の3.8%から5.4%に拡大したほか、2010年以降、横ばいまたは微増傾向であった西欧がポリエステルの好調により4.6%増となった。一方で、台湾が9.0%減と大幅に減少した。

 

サステナビリティ重視に大きく舵を切る欧米繊維産業のトレンド

株式会社インテグレード 代表取締役社長 欧州繊維専門月刊誌『Twist』 在日特派員 永松 道晴

【要点】
(1)
欧米の繊維産業では綿・羊毛や木材などの再生可能な自然素材を使って環境汚染を抑え、かつ省エネを推進して、生産工程を閉じた円環(loop)システムに組み直す循環型経済(circular economy)を進める改革が年々加速している。
(2)
以下のプロジェクトは製造企業が地元自治体や政府、大学と連携して進めている。環境問題は国家レベルで取り組むべき課題で、その解決に向けて衣料の最終消費者の意識を変革するプログラムが重要な戦略目標として組み込まれている。
・羊毛紡績産地クラスターでの取り組み イタリア・プラトー地区
・テキスタイル廃棄物のリサイクルの取り組み ニュージーランドの企業
・古くなった衣料を再利用する機械 アメリカの大学が開発
・混紡テキスタイルを素材ごとに分別回収 日本の大学も協力している香港の産学共同開発
・地中海の投棄プラスチックゴミ回収と再生プロジェクト スペインの企業コンソーシアム
・サステナブルな対応を率先して実行 イタリアのニッター

欧州のテクニカル・テキスタイル最前線(その5) -ドイツ北西部テキスタイル研究センター(DTNW)-

東レ株式会社 繊維加工技術部 塩谷 隆

【要点】
(1)
ライン川が流れるドイツ最大の経済州・ノルトライン・ヴェストファーレン州の工業都市クレーフェルトにある「ドイツ北西部テキスタイル研究センター(DTNW)」を紹介する。
(2)
DTNWの前身の組織は、1924年に、クレーフェルト繊維産業協会によってテキスタイル研究所として設立された。その後、1978年にクレーフェルト・テキスタイル研究所(TFA)、クレーフェルト洗濯研究センター(WFK)、メンヒェングラートバッハ・テキスタイル検査技術研究所(ITM)が合併し、DTNWとなった。
(3)
現在のDTNWは、研究部門とサービス部門で構成されている。研究部門は、(1)超高分子化学&表面の機能化、(2)物理工学&光工学的加工、(3)環境技術&触媒化学、(4)グリーンケミストリー&ナノテクノロジー、の4つのクループから成る。
(4)
高次加工に主眼が置かれ、仕上げ加工、コーティング関連加工の先端的な技術の研究が特に目立つ。総人員が45名と小規模ながら、地域の拠点として存在感を保っている点に、ドイツ繊維研究機関の裾野の広さを見た。

■新市場/新商品/新技術動向

ファッションとテクノロジーを考える 新しいモノづくりの形を広げるサービス「HappyPrinters」と「nutte」

株式会社フランドル 経営本部 経営統括室 経営戦略部 次長 篠原 航平

【要点】
(1)
近年のハンドメイド市場の成長の要因は、スマホアプリによってハンドメイドマーケットが身近になった影響が大きいが、ファブラボやクラウドソーシングによってモノづくり自体のハードルが下がったことも一因と考えられる。
(2)
「HappyPrinters」とはファブラボに類する工房の1つで、株式会社Open Factoryが運営する個人向けのデジタルプリントに特化したモノづくり施設である。
(3)
株式会社OpenFactoryの堀江氏は、デジタルプリントを用いた多品種小ロットの生地を企画・生産、そして売買も可能なWEBサービス「HappyFabric」に注力し、来るべきデジタル時代のテキスタイル市場への対応を現在進めている。
(4)
「nutte」とはクラウドソーシングの手法を用い、ユーザーのオリジナルアイテムを1点から作ることができるオンライン縫製マッチングサービスである。
(5)
株式会社ステイト・オブ・マインドの伊藤氏と佐藤氏は、nutteを核としたサービスにより、下請けのため発注者に対して力関係の弱い職人らにも仕事を選ぶ立場を与え、日本の縫製業界の維持、発展に努めたいと考える。

睡眠を科学するパジャマ -ワコール「睡眠科学」-

フリージャーナリスト 土井 弘美

【要点】
(1)
「睡眠科学」はワコールが開発・販売しているパジャマのブランド。ワコール人間科学研究所のデータによってつくられたもの。
(2)
「動きのここちよさ」「温度のここちよさ」「肌へのここちよさ」が3つの柱となっている。ひとつのポイントは季節によってさまざまに変化する素材。
(3)
肌触りのいい「ふわごころR」という別ラインも登場。また、シルク100%のパジャマも脚光を浴びている。
(4)
百貨店を中心に、全国約100店舗で販売。「ナイトアップブラ」などインナーと組み合わせて訴求している。

ミレニアル世代に向けたアプローチを考える

東京ファッションプランニング株式会社 デザイン・企画カンパニー 社長 山田 桂子

【要点】
(1)
ミレニアル世代は、1980年代から2000年代初頭に生まれた世代を指す。ジェネレーションY、ジェネレーションZの世代区分と重なり、また日本のゆとり世代とも重なる。
(2)
ミレニアル世代は、「デジタルネイティブ世代」だ。幼少期から、インターネットやパソコンなどがあるデジタル化された生活に慣れ親しんでいるのが、大きな特徴だ。
(3)
2017年の流行語「インスタ映え」は、ミレニアル世代が牽引したトレンドだ。インスタグラムを駆使するインスタグラマーは、インフルエンサー(世間に与える影響が大きい人)でもある。
(4)
ミレニアル世代のインフルエンサーを活用することは、高い効果を得る手法の一つといえる。

■キーポイント

盛り上がるスポーツ市場を支える高機能素材群 -快適とファッションそしてインテリジェンス-

ダイセン株式会社 「繊維ニュース」記者 桃井 直人

2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催を控え、日を追うごとにスポーツへの関心が高まっている。スポーツアパレルには絶好の機会が訪れていると言え、ウエアをはじめとするギアの開発にも熱が入る。その盛り上がりを支える存在となるのが、合繊メーカーが展開する素材群だ。各社は時代の要請や顧客の要望に応じた開発を進め、現在では発汗に対応する吸汗速乾や消臭、クーリング、防水透湿、発熱・保温、エコロジー対応などさまざまな高機能素材がスポーツ市場に彩りを添えるに至っている。消費者のニーズが多様化し、素材に求められるものも日々変化しているが、その要求に応えるのが合繊メーカーの役割の一つ。素材開発はこれまで以上に活発化の様相を呈するが、その中で「快適」や「ファッション性」というキーワードが浮かび上がっている。