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2007年5月1日
経営センサー5月号 2007 No.92

高度経済成長期における格差問題と平等意識 -日中比較-

客員研究員 北京日本学研究センター 助教授 丁 紅衛

 北京外国語大学北京日本学研究センターの丁助教授は、日本の政策研究大学院大学客員研究員も兼任され日本への留学経験もあることから、専門の経済学の中でも日本について造詣が深く、今回は、その研究の中で日中比較を中心にまとめられたレポートをご紹介します。

■経済・産業

アメリカ経済の行方

大和証券SMBC株式会社 金融市場調査部 経済調査グループ チーフエコノミスト 永井 靖敏

【要点(Point)】
(1)アメリカ経済を見る上で、目先のポイントは住宅市場の減速度合いと個人消費への影響である。住宅市場は既に最悪期を脱しつつあるとみている。
(2)今回の景気拡大局面は雇用の回復力が弱いことが最大の特徴である。雇用のミスマッチが原因で、その分回復には持続性があると考えている。
(3)数年後には、生産性の伸び鈍化を受けて物価上昇圧力が高まり、金融が引き締められ、景気は減速しようが、当面景気の拡大基調は持続しよう。

シリーズ:製造業の現場は今(11)<最終回> 日本のものづくり競争力の源泉を考える -現場の改善力の特徴と今後の課題-

産業経済調査部長 チーフ・エコノミスト 増田 貴司

【要点(Point)】
(1)本誌に2005年4月以来、不定期で掲載してきた「シリーズ製造業の現場は今」では、ものづくりの現場の諸問題を様々な角度から取り上げ、分析してきた。
(2)シリーズ最終回の今回は、日本の製造業の競争力について、ものづくりの現場の改善力に焦点を当てて分析し、現場の強さを踏まえた戦略アプローチと競争力強化に向けた課題について考察する。
(3)日本のものづくり企業には次の6つの特性があり、これらを強みとして活かすことが競争優位に立つための基本戦略となる。
 《1》国内・企業内にある産業・技術・技能の深い蓄積、《2》作り手と使い手の一体化、《3》現場重視と現場の課題解決 能力、《4》多能工の重視、《5》チームワーク・組織の一体感・帰属意識の重視、《6》よりよいものを作ろうとする熱意
(4)日本のものづくり優良企業は、現場の力、日本型「改善」システムの長所を大事にした戦略をとっている点で共通している。
(5)最終章では、ものづくり企業の競争力強化に向けた課題として、(1)非正規雇用を取り込んだ現場力の強化、(2)品質問題への対応、(3)連携強化によるイノベーション促進、(4)高度部材産業強化に向けた課題、(5)過剰品質の問題克服、の5点を指摘した。

PDF : 詳細(PDF:650KB)

旅行業界の現状と課題 -足元の需要は堅調、主役は若年層から中高年層へ-

産業経済調査部 産業アナリスト 永井 知美

【要点(Point)】
(1)足元の旅行需要は、海外旅行の好調を背景に堅調に推移している。
(2)2007年の海外旅行者数、訪日外国人数は過去最高を更新するとみられる。その一方で、旅行取扱額は旅行会社を経由しない旅行の伸びなどから、海外・国内ともに前年比でほぼ横ばいにとどまる見込みである。
(3)旅行業界を取り巻く環境は、パッケージツアー価格が低水準で推移していること、旅行会社を通さない旅行の増加などから、先行き楽観できない。
(4)旅行会社にとって中高年市場は有望である。特徴ある商品を投入して、中高年層の需要を喚起することが求められる。

PDF : 詳細(PDF:487KB)

■視点・論点

「日米貿易摩擦」は死語になったか

元内閣府市場開放問題苦情処理推進会議 専門委員 宮智 宗七

《はじめに》  1980年代をピークとして、日本の政官界、経済界にとっての深刻な関心事のひとつは「日米経済摩擦」であった。筆者の「自分史」をふり返ってみても、日本経済新聞の記者としてこの問題を東京とニューヨークという“二都”からフォローした記憶には強烈なものがあった。当時の体験と知見がその後のジャーナリストとしての活動に大きな影響をもたらしている。  その延長線上では、日経の論説記者として、国内市場にまつわりつくさまざまな規制の排除と市場開放がきわめて重要なことをあらゆる機会を通じて読者にアピールしてきた。

■マネジメント

中国ビジネスにおける駐在員の役割

浦上アジア経営研究所 代表 浦上 清

-御社のビジネスは、Web 通信の高速、効率化、安全性の向上に資するためのソリューションの提供ということですが、かみくだいた説明をいただけませんか。 河田:今日、企業で仕事をする上で、インターネットは不可欠になりました。皆さん電子メールについては、セキュリティーとか、高速化ということに関心をもたれるのですが、ホームページについては、それ程でもないようです。しかし、インターネットは、ホームページと電子メール、2つを基幹として成り立っています。

【要点(Point)】
(1)中国の外資系企業で人材問題への対応が最も重要な経営課題のひとつになっている。
(2)中国の米系企業は、駐在員人材に対するニーズが強まるなかで、本国からの駐在員の派遣を減らし、アジア、欧米地域の人材の中国現地採用を増やしている。このように、多様な人材が「駐在員業務」を行う時代に入り、伝統的な駐在員の世界が変わりつつある。
(3)中国進出企業の駐在員は、新しい人材環境を視野に入れた人材戦略の構築と実行に力を入れる必要がある。特に、多様な人材ベースを前提にした経営の現地化においては、社員の企業価値の共有と業務の仕組みづくりの強化などが重要な課題になる。

PDF : 詳細(PDF:341KB)

キーワードはマイホームとマイカー -中国の消費をリードする『新中間層』のパワー- 

フリージャーナリスト 中島 恵

【要点(Point)】
(1)市場経済を導入した結果、中国の階層が増えて「中間層」が拡大した。
(2)中国では20代後半から40代前半までの「新中間層」という消費を牽引するジェネレーションが台頭してきた。これは日本の「団塊の世代」に非常に似通っている。
(3)「新中間層」は人口が多く、購買意欲が盛んである。彼らの最大の消費目的はマイホームとマイカーである。
(4)「新中間層」のライフスタイルと動向を熟知し、今後を予測していくことが中国をマーケットと捉える企業にとって重要である。

■人材

人材育成とチームパワー -チーム評価への試み-

東洋学園大学 現代経営学部 教授 田中 秀穂

【要点(Point)】
(1)わが国はチーム力を生かすという独自の経営理念を持ち、大きな発展を遂げたが、欧米の経営思想の影響を受け、「個の重視」「成果・業績重視」へと方向を転換してきた。
(2)これを一概に否定は出来ないが、今後企業間のグローバルな競争を念頭におくと、日本の勝負手が見えてこない。日本に生き続けてきた現場力、チームパワーというDNAを生かすことを再検討しなければならない。
(3)本稿では、社員をモチベートする仕組みとして、チームワーク、チームパワーに着目し、今後の人材育成、評価のあり方を検討した。

気付きから学びへ -東レ経営研究所 人材開発の現場から- 第八回 “US ルート66”から学ぶ人材管理

酒巻 洋行 特別研究員

 アメリカ大陸のイリノイ州のシカゴからカリフォルニア州サンタモニカまでの全長約4,000kmは、1926年に創設されたルート66で結ばれた。その後アメリカ社会の発展とともにこの道もさまざまな表情を見せてきた。現在はその多くの部分は高速道路に役割を譲り、一部がHistoric 66として残りアメリカ人の郷愁を集めている。今回、ずっと以前に走ったルート66の一部を改めて走ってみた。

■経済用語解説

ちょっと教えて!現代のキーワード ・「法人税の実効税率」 ・「医療制度改革」

■お薦め名著

『人間はどこまで耐えられるのか』

フランセス・アッシュクロフト著 矢羽野 薫訳

■ズーム・アイ

無表情の関係性

人材開発2部 内藤 陽子

 仕事がら、年に数回、人前に立って話す機会があります。  この時期は、その対象が新入社員である場合が多いのですが、年々強く感じてきていることがあります。  「無表情の人が多くなった」  不機嫌なのではなく、感情が顔に表われていないのです。  小心者の私は、人前に立って話すとき、まずは聴衆に味方を探します。  味方とは、好意的な表情の人や、話へのリアクションをしてくれる人です。  彼らに勇気をもらいながら、その反対、つまり話を聞くことに消極的な人たちへの働きかけを徐々にしていくのですが、困るのがこの無表情組です。

■今月のピックアップちゃーと

日本人はやっぱり細身!? ~各国の肥満度比較~