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2004年5月1日
経営センサー5月号 2004 No.62

■経済・産業

都市と地方で明暗別れる日本の雇用情勢 -工場の「国内回帰」でも、地方の高失業率の解消はならず-

福田 佳之  産業経済調査部 エコノミスト 

1. 90年代以降の雇用の基調として、(1)若年層の高失業率の持続と中高年層の失業率の上昇、(2)製造業を中心とした就業者の減少傾向とサービス業の雇用創出、の2点が挙げられる。 2. 昨今の雇用情勢は緩やかに改善してきているが、90年代からの基調は変わっていないと言える。 3. また、雇用情勢について、地方で就業機会が減少する一方で、都市で新たなサービス業に対する就業機会が増大するという、対照的な動きが見られる。 4. 近頃、工場の「国内回帰」現象が話題となっているが、このような回帰が地方における雇用の大幅創出につながるとの見方は根拠に乏しく、中央・地方政府は地方での雇用創出に本腰を入れて取り組む必要がある。

わが国製造業の競争力は回復したか -工場の「国内回帰」が意味するもの-

増田 貴司  産業経済調査部長・チーフ エコノミスト

1. わが国製造業は「リストラによる増益」から「増収による増益」に転じ、国内での工場建設の動きが活発化している。これらを背景に、日本の製造業が国際競争力を取り戻したという見方が強まっている。 2. 企業の国際競争力は、貿易収支や貿易特化係数だけでは測れない。 3. 企業の国際協力の構成要素は、(1)生産の競争力、(2)新製品開発の競争力、に二分して考えることが出来る。 4. 日本企業の競争力に対する意識は、この10数年間で技術力だけでなく価格競争力を重視する方向に変わってきた。 5. マクロ経済指標や利益パフォーマンスは、必ずしも企業の競争力に直結しない。 6. 工場の「国内回帰」という流行りのキーワードは、景気回復の結果に過ぎない減少を日本の「モノづくり復権」や「空洞化克服」の表れと考える幻想を世間に与え易い言葉である。国内立地製造業は、みずからの実力を過大評価することなく、地道にモノづくり能力向上の努力を続けるべきだ。

化学業界の現状と課題 -旺盛なアジア需要で足元の生産は高水準、「2006年問題」を前に構造改革なるか-

永井 知美  産業経済調査部  産業アナリスト

【要点(Point)】
(1)石油化学業界は、アジア向け輸出好調や内需回復で数量的には堅調に推移しており、再編の動きも一段落しているが、小規模・設備過剰・低利益率といった構造問題は解決していない。
(2)関税引き下げにより大量の輸入品が流入、業界環境が悪化すると見られていた「2004年問題」は、旺盛な中国需要により深刻化が避けられる見通しである。
(3)しかし、今度は「2006年問題」が持ち上がっている。来るべき供給過剰時代へ向けて、石油化学業界は対応を迫られている。

「ちょっと教えて! 現代のキーワード」 

「産業クラスター」 「GDPデフレーター」

■視点・論点

女性の活用と活力ある社会をつくる

財団法人21世紀職業財団  理事長  太田 芳枝

【要点(Point)】
(1)女性労働者の働き方が抜本的に変化している。仕事を続ける人の割合が増加している。
(2)男女雇用機会均等法の施行は企業の人事管理を変えてきたが、制度上の均等はともかく、事実上の平等・公正が確保されているとは言えない。
(3)男性も含めたワーク/ライフ・バランスを考慮した人事管理は、優秀な人材を企業に定着させることとなる。
(4)今後のあるべき社会システム構築の議論をきたいする。

■マネジメント

CSR(企業の社会的責任)の推進 -松下電器産業(株)の実践-   

松下電器産業株式会社 CSR担当室 チームリーダー  西貝 宏伸

【要点(Point)】
(1)松下電器にとってCSRは決して新しい概念ではない。「企業は社会の公器」という考えを基軸におく不変の経営理念に基づいてCSRに取り組む。
(2)CSRの推進には、TOPDOWN(経営トップの明確な方針)、BOTTOMUP(社員の自主性)、CROSSFUNCTION(職能横断の取組み)が必要。
(3)男CSRは経営そのもの。リスク管理や社会貢献にとどまらず、企業価値そのものの向上につながる。

■人材

元気の出るMBO(目標管理) 

人事教育コンサルタント  中嶋 哲夫

【要点(Point)】
(1)目標管理は、単なる「人事評価手続き」ではない。仕事の理解を深め、知恵を生み出す仕組みをして機能させることが大切である。
(2)ミーティングを活用し、相互の役割を学びあうことによって、個々の担当者が仕事の理解を深める。
(3)リーダーが部下の学習を促進するファシリテーターの立場をとることによって、目標管理の効果が高まる。

■ズーム・アイ

「やろうと思えばできる」でいいのか?

今津 裕樹

■今月のピックアップちゃーと

「住めば都」  -でもやっぱり「住むなら都心」?!  -東京圏住宅地価は都心に近いほど下げ止まりが鮮明-

■TBRの広場

[ご案内] TBR 技術戦略研究会 特別シンポジウム