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2013年12月3日
業界の境界線が消えつつある ― 異業種間競争の時代に求められる経営課題  -
チーフエコノミスト
増田 貴司

・最近、異なる業種・業態の企業同士の競争が増えている。 ・異業種間競争の代表的な震源地はスマホである。スマホは1台の端末で複数の役割を果たすことができるため、別々の業界で発展をとげてきた多くの商品がスマホと競合し、市場縮小の危機に見舞われている。 ・コンビニも異業種間競争の主役の一人である。近年、コンビニがさまざまな領域に取り扱い商品を拡大して、他の業種・業態の顧客を奪って成長している事例が増えている。 ・異業種間競争が増えている理由としては、①国内市場の縮小・成熟化、②グローバル化と異質なビジネスモデルの流入、③模倣の容易化(アウトソーシングの普及、モジュール化、知識の「形式知」化)、④ITの進化、⑤新たな汎用技術の登場、が挙げられる。 ・あらゆる電子機器の機能がスマホやタブレットに集約され、それがインターネットによって世界中の人とつながる時代が到来した 。この結果、個人が直接、生産要素や市場にアクセスできるようになり、産業界にコスト構造とビジネスモデルの劇的な変化をもたらしている。 ・企業が異業種間競争の生き抜くには、①あらゆる業種の境界が揺らぎつつあることを認識し、危機感をもち、意識転換を図ること、②小さな失敗を恐れずリスクをとる風土を醸成すること、③顧客の立場になって、顧客が求める利益は何かを探求することが、戦略判断の拠り所としてこれまで以上に重要になること、④広い視野から世の中を観察し、他産業の動向にも目を向け、異業種の事例から学ぶこと、といった課題に取り組む必要がある。

【キーワード】

異業種間競争、業種の境界、スマホ、コンビニ、IT革命、新規参入のハードル、ユビキタス社会、ネット資本主義

PDF : TBR産業経済の論点 No.13-09(637KB)