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2014年1月6日
財政ファイナンス

中央銀行による財政赤字の穴埋め、「異次元緩和」でリスク増大

 財政ファイナンスは、明確な定義はありませんが、政府が発行する国債等を中央銀行が 直接引き受けることなどにより、中央銀行が政府の財政赤字を補填する形で資金を出すこ とをいう場合が多いようです。  中央銀行が、いったん国債の引受などにより政府への直接の資金供与を始めてしまうと、 その国の政府の財政規律を失わせるとともに、通貨の増発に歯止めがかからなくなり、悪 性のインフレを引き起こす恐れがあります。そのため、先進各国では中央銀行による国債 引き受けを制度的に禁止しています。  日本においても、財政ファイナンスと見なされる恐れのある、日本銀行における国債引 き受けは、財政法第 5 条によって原則として禁止されています(ただし、金融調節の結果と して保有している国債のうち償還期限が到来したものについては、国会の議決を経た金額 の範囲内に限って、国による借換えに応じる規定があります)。  実は、日銀による国債購入が、通常の金融オペレーションなのか財政ファイナンスに当 たるのかを明示的に区別することは困難です。発行される国債には、建設国債、赤字国債、 借換債などがありますが、それらが実際に取引される時に赤字国債かどうかの区別はされ ず、したがって赤字国債だけを買わないようにすることができないためです。  日本では、2013 年 4 月、安倍政権の経済政策の一環として、黒田東彦日銀総裁の下で「異 次元緩和」が実施され、日銀が大量の長期国債の購入を続けています。このため、日銀が 財政ファイナンスをしていると市場で受け止められる危険性が高まっています。日銀が国 債を買ってくれるのをいいことに、政府が拡張財政を進めたり、増税を先送りしたりすれ ば、そのリスクはますます増大します。  日銀の異次元緩和は実質的な財政ファイナンスという評価が定着することのないよう、 政府は信頼に値する財政健全化策を早急に打ち出す必要があるでしょう。

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