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2006年4月1日
経営センサー4月号 2006 No.81

■経済・産業

人びとの意識はどのように変わったのか -「世界価値観調査2005~マルチ・スタンダードな社会ビジョンを」より- 

株式会社電通総研 主任研究員 山崎 聖子

【要点(Point)】
(1)このたびの調査結果から「中流の崩壊が」起こっていることが観測されたが、人びとの幸福感、生活満足感はともに高い状態にある。
(2)仕事をめぐる意識は「仕事優先」「家庭優先」「両立派」に3等分され、それぞれにワーク・ライフ・バランスが模索されている。
(3)格差志向と競争志向は定着しつつあるが、その一方で、行政サービスや規制を通じた安全や安定に対する期待も高い。

貿易構造から見た日本製造業の国際競争力を探る

福田佳之 産業経済調査部 シニアエコノミスト

【要点(Point)】
(1)005年の日本の貿易収支は8.7兆円の黒字と、原油などの資源価格高による輸入増もあって前年(12兆円)より落ち込んだ。
(2)輸出は前年に比べて増加しており、地域別に見るとアジア向けには化学製品や原料別製品、米国向けには一般機械や輸送用機器、中東やロシア向けには原料別製品や輸送用機器の増加が見られる。
(3)2005年の輸出入を価格数量別に分析すると、輸出入ともに価格ベースでの伸びが著しい。
(4)日本の貿易は一般機械、電気機器、輸送用機器の機械3業種が貿易黒字を稼ぐ構造である点は従来と変わらないが、このところ、鉄鋼や化学製品の貿易黒字シェアが徐々に伸びてきている。
(5)輸出企業はこの10年間に世界的な戦略拠点の再編を実施しており、アジア全域における国際分業体制の構築と輸出品の高付加価値化を進めている。
(6)今後の日本の輸出は世界経済の再浮揚もあって堅調に推移すると見られる。原油高は日本の貿易にとってプラスの影響を与える可能性を見逃せない。

PDF : 詳細(PDF:1,183KB)

食物アレルギー研究の最前線 -食物からのアプローチの動向-

独立行政法人科学技術振興機構 島田 純子

【要点(Point)】
(1)食物アレルギー研究は早急に対応すべき課題であり、克服のための根本的な解決策が求められている。
(2)食物アレルギー克服のために取り組まれている研究開発のうち、低アレルゲン化とアレルギー制御食品という食物側からのアプローチについて紹介する。
(3)食物アレルギー研究の課題としては、食物アレルゲンの特徴の解明、アレルゲン性の評価系の確立、食物アレルギー発症機構の解明、食物アレルギーと環境との関連といった個々の研究課題の解決が重要であるが、開発された食品の有効性と安全性の審査や疾患への適用をどのように進めていくか検討していくことがさらに大きな課題である。

■視点・論点

しなやかな産業革命

江戸川大学 客員教授 エクステンションセンター所長 餌取 章男

 いま、産総研(独立行政法人産業技術総合研究所)の広報活動の一環として、テレビ番組の制作を行っている。  産総研が独法化して、その存在や活動、研究成果などを一般の人たちに広く知らせることが要望されるようになって、昨年7月から広報部が発足した。それまでは「成果普及部門」ということで、報告書をまとめたり、アカデミックなシンポジウムを開催したりすることが主な役割であった。それでは、産総研の知名度を高め、研究の成果が社会の中でどのように役立っているかを多くの人々に知ってもらうには不十分ではないかということから、いわゆる広報活動が重視されるようになったのである。

■マネジメント

中国における企業の合併買収にかかわる税務上の取扱い

望月コンサルティング(上海)有限公司 董事長 公認会計士 望月 一央

【要点(Point)】
(1)中国においては企業の合併買収にかかわる歴史は浅いものの急速に合併買収が広がってきている。
(2)中国の企業制度には、公有制・非公有性、内資・外資の区分等があり、外商投資企業についても複雑な法制度となっている。
(3)中国における合併買収にかかわる税務上の取扱いについては、それぞれの手続き毎に個別に定められている。

■人材

もう一つの成果主義 -承認による動機づけ-

同志社大学 政策学部 教授 太田 肇

本論は、中国最大の家電メーカー海爾(ハイアール)グループ、2番目に大きい家電メーカーTCLグループ、国産携帯電話の最大企業波導(バード)企業の国際マーケティングについて3回に分けて考察する、第2回目である。  中国企業が国際マーケティングを展開した動機、海外市場選択の方法と、戦略、またそれらに見られる特徴について明らかにしたい。  前回は、中国企業の国際マーケティング展開の背景と動機に加え、国際マーケティング展開自体の重要性を解明したが、続く今号では、中国企業の国際市場選択と進入戦略について、3社を事例にそれぞれの特徴を分析したい。また、次号第3回では、中国企業の国際マーケティング戦略について、3社の具体的事例を見ながら3つの特徴にまとめる。

【要点(Point)】
(1)成果主義に対する不満や不安の背景には、「経済人仮説」への過信がある。金銭の背後にある承認欲求に注目する必要がある。
(2)日本人の承認欲求は表面化しにくい。突出する「表の承認」より、周囲の嫉妬や非難を避けて「裏の承認」を得ようとする思いが強い。
(3)褒めることや個人名を出すことは承認による動機づけの手段だが、逆効果になる場合もある。裏方の仕事では、プロセスをガラス張りにすることが有効である。

■経済用語解説

ちょっと教えて!現代のキーワード ・垂直統合 ・ソーシャル・キャピタル

■お薦め名著

『コーポレート・コミュニケーションの時代』  -「売る企業」から「愛される企業」へ-

ポール・アージェンティ/ジャニス・フォーマン共著 矢野充彦監訳

■ズーム・アイ

おとなの学習

福田 貴一

 このごろ「おとなの・・・」というフレーズを見かけます。「おとなの絵本」「おとなの勉強法」「おとなのドリル」「おとなの休日」などなど。  そのそれぞれに、「おとなの」と ことばを添える意図を感じます。  私は、仕事柄「おとなの学習」という場面に立ち会います。それは、学校教育で慣れた学習の仕方とは違った、「おとなの学習者」としての心構えや意識の働かせ方、取り組み方が大切になる場面です。  さて、「おとなの学習」とは、いったいどういうものでしょうか?

■今月のピックアップちゃーと

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■TBRの広場

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