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2018年9月14日
経営センサー9月号 2018 No.205

■今月のピックアップちゃーと

世界の風力・太陽光発電の担い手として中国とインドが台頭

■特別レポート

東レ経営研究所MOT研修シリーズ(第29回) 「T-MOTエグゼクティブフォーラム(宮木塾)」例会 朝鮮半島問題の展望と日米関係 など

元 大韓民国駐箚特命全権大使、東レ(株)顧問 重家 俊範 氏 講演抄録 企画・編集:(株)東レ経営研究所 MOTチーフディレクター 宮木 宏尚

(1)東アジアは、今世界で最もダイナミックな地域である。一方、政治的には最も遅れているあるいは複雑な地域である。冷戦時代を乗り越えられない朝鮮半島、日韓、日中の二国間関係を含め、この地域の国際関係は非常に未熟である。
(2)朝鮮半島問題解決の目標とされる「平和協定」の締結には、アメリカなどでは今の北朝鮮の体制下ではまだ早すぎるという意見が多くある。しかし、いずれ平和協定は結ばなくてはいけないものである。
(3)米朝交渉の最大の課題は「朝鮮半島の非核化」のやり方であり、双方の思惑が交錯している。これに中国、韓国の思惑も加わりより複雑化している。韓国は南北関係に前のめりであるが、日米韓が協調して解決に当たるべきである。
(4)非核化のシナリオには、①南アフリカ型②イラン型③イラク・シリア型④インド・パキスタン型の4つが考えられるが、アメリカには北の核戦力をゼロにするよりも当面のアメリカ本土にとっての危険度(大陸間弾道ミサイル(ICBM)等)を下げることが重要という意見も根強くある。これは日本にとっては大問題で、中短距離ミサイルの凍結を最小限確保するなど対応を考えておくべきである。

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■産業経済

フードテックが生み出すバイオエコノミーの新潮流

産業経済調査部 研究員 川野 茉莉子

(1)「食×テクノロジー」の融合で生まれる「フードテック」は、SDGs目標の一つでもある食糧危機を解決し、食の未来を変える可能性を秘めている。米欧を中心にフードテックのスタートアップ企業が次々と誕生し研究開発を進めており、投資家の関心を集めている。
(2)遺伝子組み換えや細胞培養などのバイオ技術を用いて、従来食用には用いられてこなかった動植物などを原料に、環境負荷が少なくクリーンで栄養価が高い、高付加価値食品を作り出す「フードテック」は、バイオマスやバイオテクノロジーを基盤に地球規模の課題を解決し、持続可能な社会を目指す「バイオエコノミー」の一つの潮流ともいえる。
(3)本稿では、農業・工業・健康と幅広い分野を包括する「バイオエコノミー」の中でも、特に農業、食糧分野に着目し、藻類タンパク質や昆虫食、植物肉、そして再生医療技術を応用した未来の農業「細胞農業」から生まれる培養肉などの研究開発に取り組むフードテック・スタートアップ企業の事例を紹介し、新たな成長産業としてのフードビジネスについて論じる。

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■世界情勢

「二正面作戦」を仕掛けたトランプ大統領 ―貿易戦争の影響と日本の対応―

株式会社ニッセイ基礎研究所 総合政策研究部 研究員 鈴木 智也

(1)今回の貿易戦争は、米国の行動を2つに分けると理解しやすい。2つとは、すなわち「中国の覇権を阻む戦い」と「米国の貿易赤字を削減するための戦い」である。
(2)米国は中国の長期的な産業政策「中国製造2025」を狙い撃ちした制裁措置を発動する一方、同盟国を含む国際社会を標的とした輸入制限措置も同時に打ち出している。
(3)貿易戦争の影響は、グローバルバリューチェーンを通じて世界に波及する。2つの戦いで当事国となる米中に影響が生じるのはもちろんであるが、日本も見た目以上に影響を受けるだろう。
(4)米国の通商戦略は、巨大な経済力を背景として各国個別に譲歩を迫ることにある。米国の自国中心主義的な政策に対抗するためには、各国が結束して貿易自由化の枠組みを堅持していくことが肝要である。日本には、年内合意を目指すRCEPや機能不全に陥っているWTO体制の再構築などで強い指導力を発揮していくことが期待される。

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■視点・論点

先を読む

ジェイ・ボンド東短証券株式会社 代表取締役社長 斎藤 聖美

■マネジメント

「オーナーシップ」による顧客価値の創造

青山学院大学大学院 国際マネジメント研究科 教授 黒岩 健一郎

(1)経済のサービス化に伴い、サービスを前提とした経営の考え方が重要になっている。そのカギが「オーナーシップ」である。
(2)「オーナーシップ」は、学術的には「組織アイデンティフィケーション」で、多くの研究蓄積がある。
(3)組織アイデンティフィケーションを高める要因の一つが、「パースペクティブ・テイキング」である。

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■ヒューマン・ディベロップメント

働き方改革の全容と企業が注意すべきポイント

安西法律事務所 弁護士 倉重 公太朗

(1)働き方改革の本質は、不断の「従業員価値を最大化するための施策」であって、単なる労働時間短縮ではない。
(2)働き方改革法案の重要項目は、①労働時間の上限規制、②有給休暇5日の時期指定義務(罰則あり)、③同一労働同一賃金。
(3)同一労働同一賃金の施行は平成32年以降であるが、現在も労働契約法20条による最高裁判決により「今」の対応が必要な部分があることに注意。
HRテクノロジーのもたらす人事の新たな価値創出アプローチ

デロイト トーマツ コンサルティング合同会社 マネジャー
酒井 雄平
(1)先端的なIT技術を駆使し、人材マネジメント業務の効率化や人材の価値の最大化を図るHRテクノロジーの活用は既に世界的な流れとなっている。
(2)HRテクノロジー関連のサービスが実現する機能は主に、①自動化、②いつでもどこでも化、③見える化、④モデル化 の4つに分類できる。
(3)人事業務効率化へのインパクトは大きく、人事の価値創出の在り方を大きく変えることが予想される。新たな価値創出のキーワードは、①命中率の高い施策立案と②一人ひとりの体験のデザイン である。
(4)HRテクノロジーを使って新たな価値を創出するため、人事組織や人事担当者には、①筋の良い仮説を立てる力、②小さなPDCAを素早く回す力 の2つが今後求められるようになる。
アジャイルな人事変革の必要性 ―ビジネスのイノベーションを加速するために―

エム・アイ・アソシエイツ株式会社 代表取締役社長 松丘 啓司
(1)日本企業のほとんどが採用しているウォーターフォール型の目標管理はイノベーションを阻害している。そのことに気づいた多くのアメリカ企業は、既にアジャイルなパフォーマンスマネジメントへの変革を実施している。
(2)人事部門自身がパフォーマンスマネジメント変革のストッパーとなる可能性が小さくない。人事はみずからの役割を「制度の番人」からビジネス部門の「支援者」へと変える必要がある。
(3)日本企業がアジャイルな人事変革を実行する際には、「特区」「一国二制度」のアプローチを採用することが効果的である。特区において新たなノウハウを蓄積することが、結果的には変革のスピードを短縮することになる。

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■経済用語解説

ちょっと教えて!現代のキーワード 「5G」 「LPWA」

■お薦め名著

『悪いヤツほど出世する』

ジェフリー・フェファー 著 村井 章子 訳

■ズーム・アイ

夏の課題図書

人材開発部 小西 明子

 お盆休みのこの季節、原爆記念日、終戦記念日と絡めて第二次世界大戦の戦禍を伝えるテレビ番組が目白押しです。今年は平成最後の終戦記念日ということもあり、見ごたえのあるプログラムが多かったように思います。昨年、インパール作戦の悲惨な顛末をレポートしたNHKスペシャルを視聴し、こうした話を直に伝える語り部がすでに齢90歳を超え、残された時間が少なくなっていることに愕然とし、今さらですが、できる限り再放送をチェックし、今年は録画してじっくり観るようにしました。