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2017年12月20日
衝撃的な張り紙と注意事項が増えるワケ
上席シニアコンサルタント
塚越 学

先日、小学校の子どもイベント開催を前に、PTA 執行部とおやじの会で懇親会を行うことになりました。大人だけでなく参加する子どもも多く、お店で大きな部屋を借りる予算もなかったため、地域のコミュニティセンターで行うことになりました。その大広間は低い長机と座布団が置いてあるような畳の座敷でした。早速子どもたちは楽しく遊び始め、親たちは乾杯して懇親会がスタート。その直後、私たちの話題をさらったのは大広間に貼ってある次のような張り紙です。  『お菓子等のやり取りはおやめください』  この地域のコミュニティセンターは日ごろ、地域の高齢者の憩いの場として活用されていることが多く、子育て世代の私たちが立ち入る機会は少ない場所です。つまりこの張り紙は子どもたちへの注意書きではなく、日ごろ使っている高齢者の方々への注意書きということになります。すぐ近くには次の記載です。  『お茶を持っての移動にはお互いに十分ご注意願います』  お菓子のやり取りでトラブルになったり、席の移動時に熱いお茶をこぼして軽いやけどなんてこともあるのでしょうか。  さらに、『当センターは、座席指定ではありません。どなたでも、どこの席でも自由に座れます』という記載も。  このあたりからだんだんとここで行われている日頃の様子が浮かびます。どうやらこの大広間は、多くの高齢者の方々が集う場所で、常連の方にとっては自分の席があって、「そこは私の席だ」とか「そこは○○さんが座る席よ」という席取り合戦が行われているようです。そして、衝撃的なのはこの張り紙でした。『飲み物(インスタントコーヒー)の無理強いの件で苦情が来ています。「無理強いをしない、させない」をお願いいたします』高齢者同士で「私のいれたコーヒーよ、飲みなさい!」とか、コーヒーの苦手な人に一気飲みを強要するとかあるのではないか。お酒の酔いも手伝って私たちの妄想は止まらなくなりました。  最近、子どもたちが遊ぶ公園では注意事項が増えています。ボール遊びをしない、自転車に乗らない、大声を出さないなど、一体、公園でどう遊べというのかと首をかしげたくなるような注意事項もあります。その原因を行政に聞くと、公園周辺の住民たちの苦情が増えると注意事項が増えるようです。迷惑行為を感じたらその場で当事者を注意するのではなく、行政にクレームをします。行政としては苦肉の策で注意書きを増やす対応をするというのです。すると迷惑行為をしない一般の公園利用者までその注意事項に拘束されるようになります。子どもにとっての公園、高齢者にとってのコミュニティセンターで注意事項が増えていく。それでトラブルが減るならいいですが、日頃私はさまざまな組織の働き方改革を進める立場なので、本来当事者同士で解決すべきものを行政がいちいち対応していたら、行政の仕事も増えるばかりで、行政の働き方改革も進まないことさえ危惧します。お互いが心地のいい場所を地域でどう作っていったらいいのか、行政にクレームをする前に、地域住民一人ひとりがいったん冷静になって考え、行動したいものです。