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2004年9月27日
「『攻め』に転じた日本の産業政策」
チーフエコノミスト
増田 貴司

・経済産業省は、2004年5月、日本の産業が今後目指すべき方向を示したレポート「新産業創造戦略」を発表した。同戦略は、一般の注目度はあまり高くないが、1990年代の米国産業再生の基礎になった「ヤングレポート」の日本版を目指したもので、とりわけわが国製造業の活性化に向けての重要な方向性を示したものとして注目に値する。 ・新産業創造戦略は、(1)強い競争力を活かし世界で勝ち抜く先進産業群、(2)社会の変化に対応した市場ニーズに応える産業群、(3)地域再生を担う産業群、の3本柱について強みと課題を分析している。 その上で、今後の日本経済の発展を担うべき新産業分野として、(1)燃料電池、(2)情報家電、(3)ロボット、(4)コンテンツ、(5)健康・福祉・機器・サービス、(6)環境・エネルギー・機器・サービス、(7)ビジネス支援サービス、の戦略7分野を選定し、成長実現のためのアクションプログラムと重点政策が示された。 ・新産業創造戦略の中身については、(1)日本の産業政策が「攻め」に転じた、(2)イノベーション促進に照準が合わされた、(3)将来日本を牽引する新産業の具体的イメージを提示した、(4)「高度部材産業集積」を活かした「擦り合わせの連鎖」が日本のものづくりの真骨頂と明示した、など評価すべき点が含まれている。 ・一方、同戦略の弱みとしては、(1)サービス業と地域再生の戦略の迫力不足、(2)人づくり戦略の弱さ、が指摘できる。 ・新産業創造戦略の狙いを実現するためには、政府が一丸となって取り組む必要があるほか、政権が変わっても一貫して推進することが求められる。

PDF : TBR産業経済の論点 No.04-17(280KB)