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2011年10月1日
経営センサー10月号 2011 No.136

■経済・産業

高インフレ下の中国経済の動向と見通し -ハードランディングは回避されるが、中長期的に課題は山積み-

信金中央金庫総合研究所 上席主任研究員 黒岩 達也

【要点(Point)】
(1)中国経済は、11年後半、輸出の鈍化、物価高騰の悪影響などから減速するとみられるが、12年には徐々に回復テンポを速めてこよう。
(2)インフレ率は11年夏場にピークアウトする可能性が高いが、所得の向上による消費需要の持続的拡大もあって、今後もある程度、高止まりする可能性が強い。
(3)中長期的には、経済の質的向上を目指すことにより、国民生活の不安を着実に軽減させていく必要がある。国民の高まる不満を吸収するためには民主化をいかに推進するかも重要である。

 

変化しつつある韓国不動産マーケットと韓国の都市輸出戦略

三井不動産株式会社SE 総合研究所 主任研究員 大竹 喜久

【要点(Point)】
(1)韓国の不動産マーケットも「不動産神話」が崩壊しつつあり、住宅投資に熱心な国民のバランスシートに影響を及ぼそうとしている。建設会社もプロジェクトファイナンスの新規停止により新たな不動産開発が困難となっている。
(2)上場不動産投資信託(K-REIT)市場は、現時点では世界のREIT 市場全体の0.02%と極めて小さいマーケットであるが、2011年7月の制度改正と規制緩和により活性化が図られ、多様な資金源を不動産に導入し始めた。
(3)国内マーケットでは成長が見込めない韓国建設業界は、東南アジア・中東・アフリカなどの新興国への都市輸出に力を入れている。近年は韓国土地住宅公社を活用し、官民一体となった営業戦略を実施している。
(4)わが国の都市開発(技術)の海外輸出については、官民連携と官民のリスク分担・ファイナンス面でのバックアップなどに加えて、日本の都市文化・ライフスタイルを新興国へ発信するソフト戦略も重要課題である。

■産業技術

地熱発電は安全な“天然の原発”

東京大学 総長室アドバイザー 村沢 義久

【要点(Point)】
(1)原子力は大量破壊兵器として開発された。その後、平和利用が始まったが、まだ人類が完全にコントロールできるまでには至っていない。
(2)地熱発電は、地中の放射性元素の崩壊熱を主なエネルギー源としているので、“天然の原発”と見ることができる。
(3)日本はこれから、恵まれた地熱資源を最大限に活用していくべきである。

PDF : 詳細(PDF:1,398KB)

 

東日本大震災後の中小企業BCP を考える -「技術力」「コスト競争力」に加えて「事業継続力」が問われる時代へ-

岩谷 俊之 産業技術調査部

【要点(Point)】
(1)BCP(事業継続計画)の策定は大企業の間では震災前から進んでいたが、中小企業への浸透率は低く、中小企業の事業継続対応アップが求められていた。
(2)しかし東日本大震災によって、例えば放射能被害や電力不足などのように「企業では対処しようのないリスク」の存在に気付かされたのも事実であり、BCP策定に対する無力感が高まってもおかしくない状況が生じた。
(3)これまで中小企業が目指してきた「自社技術でしか作れない製品を提供」という考え方は、これからは逆にユーザーから調達リスクと見なされる。技術力やコスト競争力とともに「事業継続力」が問われる時代が始まろうとしている。
(4)そういった状況にあって、中小企業に求められるのは中小企業同士が連携して最悪の事態に際して代替製造の体制を準備しておく“ものづくりバックアップ”など、中小企業だからこそ進められる取り組みであろう。

■視点・論点

右手に論語、左手に算盤

財団法人 日中韓経済貿易促進協会 理事長 チャイニーズドラゴン新聞 編集主幹 孔 健

「日本と論語とビジネスとは三位一体の関係にある…」 こう書き出せば、多くの若いサラリーマンは首をかしげたり、あるいは落語の三題噺(ばなし)を連想してしまうかもしれない。 この三位一体の関係のなかでも、「日本と論語」、「日本とビジネス」の関連についてはあまり抵抗はないだろう。『論語』は老若男女を問わず日本人になじみが深いし、経済大国である日本とビジネスとは切っても切れない間なのだから。

■アジア・新興国

中国 研究者シリーズ(第2回) 中国と日本の差が生み出す相互補完・相互利益関係 -中日経済関係の現状と未来に関する卑見-

日中科学技術文化交流センター 北京事務所 主席代表 張 可喜

【要点(Point)】
(1)2006年に、二国間貿易総額で日中間は初めて日米間を超えた。
(2)日中間で経済実力に大きな溝があるため、経済関係に相互補完性が生じた。
(3)中国は、日本から省エネ・環境保護・産業のグレードアップなどの分野で、多くのことを学ぶべきである。

 

アジア新興国シリーズ(第1回) 平和を取り戻したスリランカの可能性 -スリランカの人的資源の可能性-

独立行政法人 日本貿易振興機構 アジア経済研究所 地域研究センター 南アジア研究グループ 研究員 荒井 悦代

【要点(Point)】
(1)スリランカでは1980 年代から続いていた民族紛争が2009 年5 月に終結し、経済発展の可能性が見え始めてきた。
(2)国民は親日的で、英語での意思疎通が容易である。
(3)識字率が高く、賃金労働者としては質が高い。しかしスリランカ政府は労働集約的産業からの脱却を目指している。労働者もより高い賃金を求めて離職率が高い。
(4)会計分野の専門家や高学歴女性らに注目してはどうか。

■ワーク・ライフ・バランス

ワーク・ライフ・バランスを推進すれば少子化対策となりうるか? -出生率を向上させるために望まれる施策-

松井 滋樹 市場調査部長

【要点(Point)】
(1)働き方を見直し、「ワーク」と「ライフ」を充実させるだけでは合計特殊出生率は向上しない。
(2)3 歳未満児の保育所利用児童数の割合が高い国はおおむね合計特殊出生率も高い。
(3)ロシアは現金支給策で合計特殊出生率を向上させた。
(4)望まれる施策はワーク・ライフ・バランスの推進に加え、3歳未満児対象の保育所の量的拡大と効果的な経済的支援策を合わせて実行することだ。

PDF : 詳細(PDF:1,414KB)

■経済用語解説

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「部品の標準化」「エネファーム」

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