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2008年12月1日
「GFP」は日本の科学の光になるかも・・・

先日、会社から帰ってテレビをつけたら、もう1人ノーベル賞を日本人が受賞したというニュースが聞こえてきました。ノーベル物理学賞を日本人3人が受賞したばかりだったので、「今年はすごいな」と思いながら、耳をすましていると『GFP』(緑色 蛍光タンパク質、Green Fluorescent Protein)という聞きなれた ・・・・・言葉が聞こえてきました。「あれ、緑色の蛍光タンパクのことよね……???」とびっくりして、思わずテレビにひきつけられました。 仕事で大学の先生方にお会いする機会が多く、生物学系・医学系・創薬などの研究で広くGFP がツールとして利用されており、調査に行ったときは、ほぼ毎回のように耳にする色素の名前でした。 「GFP」を日本人が「くらげ」から発見したことは知っていたのですが、こんなに前に発見されていたとは知らず(1961年の発見で1962年の論文発表)、このような基礎研究が応用に繋がるにはやはり非常に時間がかかると実感しました。GFPを発見された下村脩教授ご自身も「このような応用については全く考えていなかった」とおっしゃっており、今回一緒にノーベル賞を授賞された他の2名の研究 者の手によって30年近くの時を経て1994年に、応用に繋がったようです。 ノーベル賞の受賞論文は Shimomura, O., Johnson, F.H. and Saiga, Y.,"Extraction, Purification and Properties of Aequorin, a Bioluminescent Protein from the Luminous Hydromedusan, Aequorea"., Journal of Cellular and Comparative Physiology. 59(3)(1962) pp. 223-239. この論文が発表から現在までに被引用されている数は550件(Web of Science で検索)と、この分野としては非常に多く、また、発表当初よりも、ここ数年の被引用件数が多くなってきていることから、近年、注目が高まってきていることが分かります。また、この論文自体は生理学の論文に分類されていますが、分野を超えて広く被引用されていることから、多くの分野で注目を集めていることが分かり、その影響が広く波及していることを読み取ることができます。これは1つの例に過ぎませんが、基礎研究が応用に繋がるには時間がかかることがあるということが大事な気がします。 昨今の日本は少し世知辛く、研究も出口思考が強くなっています。また、競争的資金についても、どちらかというと応用的な研究に傾いているように感じることがあり、少し寂しい気がしていました。このノーベル賞をきっかけに、基礎的な研究が応用に繋がるには30年、50年単位の時間を要することや発見・発明した研究者本人ではなく他の研究者が応用を発見することがあることが広く理解され、(応用はもちろん工業の発展に重要ですが)未来のためには基礎的研究も重要だということも再認識されて、少し国の方針が変更されたら、もしかしたら(期待もダイブ含まれていますが)、今問題になっている理科離れではなくて理科の大好きな子供も多くなって、明るい未来がくるかもしれないかも……と思った出来事でした。