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2015年4月1日
経営センサー4月号 2015 No.171

■今月のピックアップちゃーと

豊富な資源があるのに活用されていない日本 ~木質バイオマス発電の推進で地方創生へ~

■経済・産業

中国のエネルギー爆食による価格高騰シナリオは崩壊したのか ―逆オイルショック後の原油市場の展望―

産業経済調査部門 シニアエコノミスト 福田 佳之

【要点】
(1)
2014年後半から15年3月現在に至るまで原油価格は大幅に下落した。この「逆オイルショック」の要因として、①シェールオイルの増産、②欧州や中国などの景気低迷、③米国の量的緩和の終了、等が挙げられる。
(2)
短期的には、原油価格は供給が需要を上回るため、低迷するものと見られる。また原油の需給が均衡し、油価上昇局面になったとしても上昇力は鈍く、中東やシェールオイルの増産能力から原油価格の上値は80ドル程度までに限られよう。
(3)
2020年までの原油等のエネルギー価格の展開について、米中のエネルギー消費動向がカギを握る。米国は油価低下による経済の活性化でエネルギー消費は増加に転じると見られ、シェール資源の供給余力は低下する。
(4)
今後、中国のエネルギー消費の拡大は鈍化するものの、2020年時点でもその消費の規模は圧倒的であり、需要先として世界のエネルギー市場に依然として影響を及ぼす。一方、エネルギー供給は油価低迷とロシアへの経済制裁で生産能力の増強が進まないため、2020年にかけて需給ひっ迫から原油などエネルギー価格が上昇する新興国の爆食シナリオ復活の可能性がある。

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■アジア・新興国

メキシコ経済の現状と展望 ―注目される諸改革の進展と自動車産業の拡大―

公益財団法人 国際金融情報センター 中南米部長 桑原 小百合

【要点】
(1)
米国の景気回復とペニャ・ニエト政権が進める諸改革の恩恵を受け、メキシコ経済の展望は、中南米諸国の中でも比較的明るい。
(2)
エネルギー改革は歴史的改革。石油・ガス部門は上流部門から下流部門まで全て民間に開放されることになり、開発コストが低いメキシコ湾浅海鉱区の入札が開始された。
(3)
メキシコは北米における小型自動車の生産輸出拠点としての地位を確立しつつある。これには近年の日本企業の投資拡大が寄与している。
(4)
インフラ整備や治安改善を通じたビジネス環境の改善、地場サプライヤー・素材産業の育成が課題。

■産業技術

「新常態」中国経済をビジネスチャンスに

株式会社旭リサーチセンター 主席研究員 遼寧中旭智業有限公司 副総経理  長谷川 雅史

【要点】
(1)
中国の経済成長率目標は7%に引き下げられた。労働年齢人口の減少、第三次産業比率の上昇から、雇用確保のために必要な成長率のハードルは下がっている。
(2)
中国は経済のサービス化、消費主導の経済成長への転換期にあり、成長減速はソフトランディングへのシナリオ通りの展開である。
(3)
労働コストの上昇から、工場としての中国の有望度は低下しているが、市場としては有望で、成長率、市場規模を考え合わせると中国市場は巨大である。
(4)
高度成長からの転換期には、地域の均衡のとれた発展が志向される。中国の成長市場の重心は東南部沿海部から内陸部へと移動している。
(5)
高度成長からの転換期は、環境汚染から環境保護への転換期でもある。自動車市場の拡大や高齢化の進展も、日本と約30年の時差で同じような軌跡をたどっている。

■視点・論点

三つの未来 ―クロスモーダル―

一般財団法人 日本経済研究所 チーフエコノミスト 鍋山 徹

東レ(株)と(株)ユニクロが共同開発した、発熱・保温・吸汗速乾などの機能に優れた冬の機能性ウエア「ヒートテック(HEATTECH)®」*。化学業界の新素材の商品開発で成功した事例として、よく紹介されるが、この「ヒートテック®」が中東アラブやアセアンなど、熱帯や亜熱帯の地域で売れている。意外に思われるかもしれないが、これらの地域では、オフィスビルや商業ビルの冷房がガンガンに効いている。そのため、「ヒートテック®」は、屋内勤務が多い女性にとっては救いの神なのだ。話は変わるが、化学業界のフォーラムにパネラーとして出席したとき、「BtoBとBtoCをどう捉えていますか」と私が質問すると、「私のところはBtoBですから…」と答えたので、「えっ…でも、これからはBtoSですよね?」と聞き返したことがある。“BtoS”の“S”は、Social(社会)の頭文字のこと。「ヒートテック®」がそうであるように、社会的価値を生み出すビジネスのことだ。  *「ヒートテック®」は(株)ファーストリテイリングの商標です。

■マネジメント

職場に論理思考を定着させるために上司がすべきこと

株式会社プロセス・ラボ/有限会社ウィルミッツ 代表パートナー 松浦 剛志

【要点】
(1)
ビジネスではさまざまな場面で論理的であることを求められる。
(2)
職場(部下)を論理的にするためには3つのステップが必要である。
(1)自分がどのレベルか知らせる(気づく)。
(2)論理思考が何かを理解させる(分かる)。
(3)論理思考を継続実践し習得させる(できる)。
(3)
「気づく」には、客観的かつ定量的なテストが有効である。
(4)
「分かる」には、ゼミスタイルの勉強会が有効である。
(5)
「できる」には、継続的なピラミッド・ストラクチャー作成トレーニングが有効である。

■人材

人材育成の視点 女性が本音で語り合う研修 ―なぜそれが可能になったか―

人材開発部長 小西 明子

【要点】
(1)
ディスカッションを伴う研修において、そこで本音の議論を交わし合えるかどうかが成果を大きく左右する。
(2)
グループの女性管理・専門職が集まる研修において、本音で語り合う場をつくれたことが成功の大きな要因となった事例を紹介する。

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■経済用語解説

ちょっと教えて!現代のキーワード 

産業経済調査部門

「AEC(ASEAN経済共同体)」 「クラウドファンディング」

■お薦め名著

『リーダーの本当の仕事とは何か』 「厳しさ」と「優しさ」を兼ね備えたリーダー

ダグラス・コナン/メッテ・ノルガード 著 有賀 裕子 訳

■ズーム・アイ

今日の常識は明日の非常識

産業経済調査部門 増田 貴司

「常識を疑え」―傑出したイノベーター(革新者)が口をそろえて語る言葉です。大きな仕事をしようと思えば、常識を疑うことから始めよというわけですが、これは凡人には難しいことです。