close

2006年8月25日
「企業行動の変化がもたらした長寿景気 ~ バブル再燃懸念は時期尚早 ~」
チーフエコノミスト
増田 貴司

・日本企業は設備、雇用、債務の「三つの過剰」の解消にめどをつけ、攻めの経営に転じている。 ・景気循環局面から言えば、楽観見通しと好業績を背景に、設備投資や雇用が過大に積み上がることを警戒しなければならない時期だが、現時点ではその心配はない。なぜなら、日本企業の行動はバブル期とは変質しており、自社の強みを構築するための選別投資、選別雇用が行われるようになっているからである。 ・こうした企業行動の変化ゆえに今回の景気は過熱しにくく、このことが戦後最長のいざなぎ景気を上回る持続力をもたらしている。 ・業績好調下でも選別的・重点的な投資行動が維持されている理由としては、(1)バブル期の失敗の教訓、(2)中国経済の台頭とグローバル競争の激化、が挙げられる。 ・「いざなぎ超え」論議には、企業や家計に「楽観の錯誤」を生じさせる弊害がある。一方、景気の懸念材料と考えられている諸要因(世界的な株価低迷、原油価格高騰、米国経済の減速)は、「いざなぎ超え」に伴って浮かれた「楽観の錯誤」が生じるのを抑制し、日本の景気回復を一段と長寿化させる働きをする可能性がある。

【キーワード】

三つの過剰、攻めの経営、期待形成メカニズム、選別投資、過剰投資、バブル期の教訓、バブル再燃懸念、「失われた15年」、長寿景気、「いざなぎ超え」、楽観の錯誤

PDF : TBR産業経済の論点 No.06-10(104KB)