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2020年7月22日
経営センサー7・8月号 2020 No.224

■今月のピックアップちゃーと

開催規模が限界に達した夏季五輪 ~巨大化は延期の議論が迷走した一因に~

産業経済調査チーム

■産業経済

コロナ後の新常態をどう捉えるか ―デジタル変革加速の原動力である「非接触」ニーズに注目―

取締役 エグゼクティブエコノミスト 増田 貴司

Point
(1)新型コロナウイルスのパンデミックは、経済・産業のパラダイムや社会システムが転換するきっかけになる。現在起きているのは単なる総需要の縮小ではなく、需要の中身の変質である。コロナ前とは市場が変わり、ビジネスの前提が変わることを認識する必要がある。
(2)新型コロナウイルスがもたらした大きな変化の一つに、デジタル変革の加速が挙げられる。ほぼ全ての分野で大規模なデジタルシフトが進み始めた。コロナ禍で導入が進んだテレワークなどは、コロナ後も定着する可能性が高い。
(3)コロナ禍は、デジタル化の遅れという日本の弱点を浮き彫りにした。
(4)コロナ禍でデジタル化が急加速した根本的な原因は、人(または人が触ったもの)との接触を避けたいというニーズ(「非接触」ニーズ)である。
(5)「非接触」がコロナ後の新常態となるため、景気回復後も従来よりも人の動きが鈍いまま経済活動が活発化していく展開になる。
(6)非接触ニーズの広がりは、多くの既存事業に負のインパクトをもたらすが、一方で人との接触を避ける技術やサービスが、新たな成長領域として立ち上がってくることに注目すべきだ。接触を回避しつつ業務を遂行することを可能にする技術やサービスがすでに多数登場している。
(7)コロナがもたらすインパクトとコロナ後の新常態の姿をしっかり見据えて、それに対する準備を先に整えた国や企業が、新時代の主導権を握ることになる。

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■世界情勢

ハイテク振興で強国化を推進 ―中国の産業支援策の実態―

日本総合研究所 調査部 主任研究員 佐野 淳也

Point
(1)中国の産業支援策は、①補助金、②税制上の優遇、③資金供給、の三つに大別できる。資金供給は予算以外の経路で企業に資金を融通することを意味する。
(2)上場企業への補助金は、2010年代に入り急増している。補助金や政府系ファンドの出資、国家開発銀行の融資はハイテク振興を重視している。
(3)産業支援策は半導体産業などの急成長を支える一因となった。一方、米国の警戒感を高めるという副作用も顕在化した。
(4)習近平政権は、産業支援策を成長持続のための新たなエンジンと位置付け、米国の批判に動じることなく、国力強化策として続ける可能性が高い。

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■視点・論点

2020年を「失われた30年」終焉の年にする ―コロナ改革でDXの波に乗る―

株式会社イー・ブランド21 代表取締役 敬愛大学経済学部 特別講師 一般財団法人アーネスト育成財団 専務理事 小平 和一朗

「令和2年」が始まるとともにビジネス界は、過去の経験が役立たない新型コロナウイルスの感染対策に取り組むことになった。「密閉」「密集」「密接」という「三密」を避けることが対策だという。サービス業に限らず、今までの人と人とが直接交流するビジネスのやり方ができなくなった。突然、テレワークで仕事をすることが強要された。大変なイノベーション課題が、業種業態を問わずそれぞれの仕事に与えられ、それぞれが工夫して対応することになった。

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変化の時代に足を引っ張るのは…実は「自分」 ―アフターコロナをイメージした真なる創業の記録と私の流儀―

株式会社ドリームチーム・ディレクター 代表取締役社長 中島 克也

今年の2月21日、私はあることを覚悟に決めていた。「今回のコロナは、かなり長期戦になる」

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■マネジメント

データで読み解く「少子化が進行する本当の理由」

株式会社ニッセイ基礎研究所 生活研究部人口動態シニアリサーチャー 天野 馨南子

少子化対策=「保育・待機児童問題」「不妊治療」「教育費・子育て支援」という誤解
令和元年(2019年)の合計特殊出生率は1.36と対前年比で0.6ポイント下落、過去10年間で最低の水準へと急落した。この結果は筆者にとっては予想通りであり、2016年から筆者が少子化対策において最重要であると主張していた要因に対する少子化政策がおざなりにされてきた結果であると断言する。このままでは人口学的にみて日本人消滅は免れない状況のため、筆者の研究発表に日頃より深いご理解をいただいている当誌発行元のご期待にこたえ、ここに「少子化が進行する本当の理由」をエビデンス研究に基づき解説したい。

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■ちょっと教えて!現代のキーワード

「遠隔授業」 「バイオ医薬品」

産業経済調査部門

■お薦め名著

『タニタの働き方革命』

谷田 千里(編著) 株式会社タニタ(編著)

■ズーム・アイ

「ホウレンソウ」を巡る考察

人材開発部 小西 明子

研修や講演で世代の異なる受講者に向けて発信する中で、使う言葉の選び方には注意が必要だ。よく引き合いに出されるのは「コロンブスの卵」。誰にもできそうなことでも最初に行うことは難しいということを表す成句だ。若い世代にはこの成句を知らない人が多いのだそうだ。例えば大学生を相手にこの言葉を使うと、確実に何割かにはキョトンとされてしまうらしい。「若者は非常識」などとそしることなかれ。「コロンブスの卵」の逸話は後世の作り話で、実は欧米では全く通用しないという話もある。筆者の小学生時代にはこの逸話が広く紹介されていたように思うが、作り話であれば学校現場で取り上げられることも徐々に少なくなってきたに違いない。「聞いたことはあるような気がするけど、意味は知らない」という若者が増えるのは自然なことだ。