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2004年3月1日
経営センサー3月号 2004 No.60

■経済・産業

産業事故はなぜ多発するのか

増田 貴司  産業経済調査グループリーダー・チーフ エコノミスト

【要点(Point)】
(1)最近、名だたる大企業の産業現場で大事故が頻発している。
(2)事故の発生要因としては、人的要因によるものが設備的要因によるものより多い。ただし、両者の要因は複合している。
(3)人員削減と事故発生との間に相関関係はない。
(4)熟練技能者の保安技能が中堅・若手に軽少されなければ、現場の保安能力が低下する。
(5)外注化は、それにより現場から上がってくる大事な情報が遮断され、事故予防の妨げになる可能性がある点に留意する必要がある。
(6)事故予防のためには、設備年齢に応じた設備の更新・補修、設備ごとの状態に応じた劣化診断を適切かつ確実に実行することが肝要である。
(7)事故の再発防止の観点から、責任追及より原因究明を優先する文化、失敗知識の共有化と伝承、良き「安全文化」の根付いた組織づくりが求められる。

これで大丈夫か? 2004年公的年金改革

福田 佳之  産業経済調査グループ エコノミスト

1. 2004年2月、国会に提出された公的年金改革法案は、(1)持続可能で信頼の置ける年金制度、(2)多様な生き方、働き方に対応した制度、に再編することを目指している。 2. (1)の目的に対して、年金給付と負担の見直しなどが実施されている。 3. (2)の目的に対して、在職老齢年金制度の見直し、次世代育成支援の拡充、女性と年金の関係についての施策などが盛り込まれた。 4. 今回の年金改革の問題点として、世代間・世代内格差の是正が十分でないこと、国庫金負担割合の引き上げに関する財源が確保されていないこと、国民年金の空洞化に対する有効な施策が立案されていないこと、などが挙げられよう。 5. 今回の年金改革には、年金だけでなく、医療、福祉、税制などを社会保障制度の中で包括的にとらえ、有機的に結び付けていくという視点が欠けている。今後、社会保障制度の再構築を政府、国民一丸となって取り組まねばならない。

小売業界 -巨大外資が相次ぎ上陸、業界地殻変動で再編続く-

永井 知美  産業経済調査グループ 産業アナリスト

【要点(Point)】
(1)総合スーパーの売上不振が続いている。既存店売上高は過去10年間ほぼ一貫してマイナスで推移しており、浮上の兆しは見られない。
(2)売上不振の原因は個人消費低迷だけではない。専門店など他業態との競争激化、オーバーストアも不振の要因となっている。
(3)1999年以降巨大外資の日本上陸が相次ぎ、競争激化に拍車が掛かろうとしている。
(4)外資進出の影響は現段階では顕在化していないが、スーパー業界では生き残りをかけた再編が進展している。

「ちょっと教えて! 現代のキーワード」

「デフレとディスインフレ」 「デジタル家電」

■マネジメント

わが国の競争力と知的財産戦略 

株式会社損害保険ジャパン 顧問・前特許庁長官太田 信一郎

【要点(Point)】
(1)これまでは、知的財産(以下知財)戦略無しでも勝てた時代であったが、今後は事業戦略、研究開発戦略と一体になった知財戦略を持たない企業は生き残れない。
(2)知財戦略が効果を発揮するためには、経営トップが知財部任せにすることなく、自らリーダーシップを発揮して取り組むことが何より重要である。
(3)その上で、具体的には、特許ポートフォリオの構築、標準戦略との有機的結合、知財の価値の評価、ブランド戦略の確立等の課題に早急に取り組む必要がある。

■人材

社内外に「開かれた、『元気』発信基地」を目指す! -富士男の面白リーダーシップ論(4)-

渕野 富士男  取締役 ヒューマン・ディベロプメント部門長

【要点(Point)】
(1)「開かれた」とは、公正(フェア)で、ありのまま(オープン)なこと。これは信頼に基づく心の対話・交流の原点である。開かれてこそ、共有・共感できて社内外の理解が深まり、協力や支援も得られる。現代を読み解くキーワードのひとつである。
(2)私が言う「元気」とは、現世をたくましく生き抜く「知恵」と「実行力」のこと。激動の時代を、明るく、果敢に、迅速に課題に取り組み、変革するためには、「知恵」と「実行力」、つまり「元気」は不可欠である。ここで「元気3つの秘訣」を提唱する。
(3)本誌連載中の「面白リーダー」自身、社内外に「開かれた、元気のいい」中核的存在である。周囲や組織に対しても「元気」を与えつづける。「面白リーダー」はいつもにっこり、スッキリ、しっかりしている。「『元気』発信基地」として個人や組織を支え、変革し再生する。

技術者の夢と元気を企業の活力に  -東レ版MOT(技術経営)人材育成プログラムの開発- 

釘崎 康弘  ヒューマン・ディベロプメント部門 プランナー

【要点(Point)】
(1)東レMOTとは、国と産業界のニーズを踏まえてプログラム開発をすると同時に、「技術者にもっと夢と元気を、企業に活力を」という願いを込めている。開発の目的は、「技術戦略策定能力の向上」「技術開発プロジェクト・リーダーの養成」を主眼に置いた。
(2)コンセプト設計に際しては、インタビュー・アンケート調査などを踏まえ、実践的なスキルの獲得と、リーダーに必要な要件・リーダーシップなどをプログラムに織り込んだ。特徴としては、上級MOTとして短期集中研修の形としたほか、「創造的思考の方法」「技術経営者リーダーシップ論」等ユニークな科目も含めた。
(3)昨年末の実証型講義での評価を基に、今後本年4月以降の事業化に向けて、引き続き「東レらしさ」「実践的内容」「ディスカッション」等を求める声に応えていきたい。技術者の「夢」は、昨今の閉塞感を打ち破る力を秘めており、これまでとは違った価値観・やる気を生み出しそうである。人材開発投資は、その一つの起爆剤となるのではなかろうか。

■ズーム・アイ

「常識」と「個性」

宮良 俊夫

■今月のピックアップちゃーと

「気がつけば3割もフリーター!?」

■TBRの広場

「異業種交流型プログラム」のご案内