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2018年12月1日
子曰、性相近也、習相遠也
コンサルタント
森本 有紀

 『先生がおっしゃった「人間の生まれつき持っている性質は、互いによく似たものである。しかし、その後の習慣によって互いに隔たりが大きくなるものである」と』  研修の企画をしていると「その役職・年齢に求める能力とは?」という話になる。マネジメント力、企画・構想力、交渉力等、挙げればきりがない。もちろん体力や学力なども能力だ。では、その「力」たちは一体どのようにして身に付くのだろうか?と考えると、先の論語の一節を思い出す。  研修提供者の立場で口にするのは憚られるが、1 回の研修で身につくものは「ない」。では複数回、研修を受講すれば良いのかと言えば、それも違う。子どもの部活動や語学学習と同じだ。毎日どの程度時間を割いたかである。日々、特定の時間をある行為に割くことが、能力につながる。つまり能力は日常の延長にあり、習慣なのである。そして、私は以下の言葉も芋づる式で思い出す。  We fi rst make our habits, and then ourhabits make us. イングランドの詩人JohnDryden の言葉だ。そう私たちは、習慣でできている。良いものも悪いものも。そして残念だが、私たちは習慣で評価さえされている。締め切りに遅れる、片づけない、確認しない、ちょっとした日々のことであるが、人(『私の』とは言いたくない)の印象を決める要素である。それらが重なると「仕事ができない」「ミスが多い」という評価に変わる。つい後まわしにする、そんな日常の悪癖や手抜き、手続き不足が傍目には能力の欠如として映る。  前向きな能力を身に付けたいと思うなら、時間を割いて、自身の新しい習慣とする、それが近道だ。しかし一概に「時間を割く」に当てはまりにくい能力(習慣)もあるだろう。そこで、研修で提供される「気づき」が役に立つ。  経験学習という言葉を聞いたことはあるだろうか。「経験⇒省察⇒概念化⇒実践」のサイクルを回す学習モデルであるが、蓄積した日々の経験を振り返り、意味付けし、行動を変え、新たな経験を積み重ねて成長をしていくことを指す。研修等での気づきや新しい知識、上司の言葉、過去の失敗を省察のきっかけとし、改善点を探り、意味付けをする。その意味付けに従い、実践し、振り返る。この小さなサイクルが人や組織の中で発現すればマネジメント力に、提案書作成で実践されれば、企画・構想力だ。ゴルフで揮ふるわれたらスコアアップになる(多分)。結果に一喜一憂することなく、そうなった過程、原因、自身にとっての意味等に気づき、次の挑戦へとつなげる。経験から何を得ようとするか、そんな気づきを活かす学びの習慣が能力へのカギだ。このサイクルを早く、そして何度も回せるかが、能力開花につながる。  (自戒をかなり込めて)能力はあるか、ないではない。身に付けようとするかどうかである。さて、もうすぐ新しい年が始まる。何か新しい習慣を始める良いタイミングである。