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2010年5月17日
水は産業活性化の起爆剤となるか
日本の水関連産業の競争力と「和製水メジャー」
チーフエコノミスト
福田 佳之

・水道事業の民営化は当初、英仏企業、なかでも水メジャーの独壇場であったが、2000年代に入って、米独企業や新興国企業が参入している。 ・日本の水関連企業は水道事業やプラント建設では存在感はないが、ろ過膜やポンプなどの素材・機器分野では強みを持つ。ただし、同分野も新興国企業の参入等を受けて競争が激化している。 ・水関連素材・機器分野における世界各国の輸出について、CMS手法を用いて分析すると、中国、韓国、シンガポール、ハンガリーなど新興国の輸出増は競争力の向上に基づく一方、欧米など先進国の輸出増は世界的な需要の増大によるものと言える。 ・また、輸出単価を使った分析では、新興国の技術力の上昇が競争力の向上を説明するにしても全てを説明できるほど強くはない。実は、水関連素材・機器の輸出増には、多国籍企業や政府の戦略が関わっている。 ・水関連産業政策を実施し新興国企業の成長を促してきた国として、スペイン、シンガポール、韓国などが挙げられる。いずれも海外先進企業との連携に重点を置くオープンな地場企業育成策をとっている点が特徴である。 ・水関連素材・機器分野の日本企業は他の先進国企業と比較すると健闘しているが、今後も更なるコスト削減と低価格化を追求しなければならない。また、水市場の9割を占める水道事業に何らかの形で進出すべきであり、新興国企業との提携がカギを握る。 ・長い目で見た場合、水循環事業を営む「和製水メジャー」の誕生が望まれる。ただし「和製水メジャー」はこれまでの水道事業の高コスト構造を打破しない限り、国際競争力を持ち得ない。 ・政府は、オープンなスタイルで水関連産業の活性化に取り組むべきである。また役割として実証実験や官民連携の支援だけでなく、積極的なトップセールス、水ビジネスとリンクした公的援助、上下水道事業のワンストップサービスの実現が望まれる。 ・付属資料として「和製水メジャー」を目指す三菱商事・水・環境ソリューションユニットマネージャー(現 荏原エンジニアリングサービス株式会社代表取締役副社長)の水谷重夫氏のインタビューを掲載した(「経営センサー」2009年9月号を一部転載)。

【キーワード】

水メジャー、新興国企業、逆浸透膜、CMS、「A.G.U.A」計画、Global Hydro Hub、PUB、シンガポール国際水週間(SIWW)、ハイフラックス、SEAHERO、Doosan、MBR、マニラウォーター、和製水メジャー、官民連携、プノンペンの奇跡、ジャパンウォーター、水の特区

PDF : TBR産業経済の論点 No.10-03(519KB) 付属資料:「和製水メジャー」で世界市場を狙う -三菱商事の水事業の民活インフラ戦略に学ぶ- (395KB)