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2001年11月1日
繊維トレンド11月号 2001 No.20

■特別インタビュー

質の高いファッションを世界へ発信 -ジャパン・クリエーションの取り組み- JC実行委員会委員長  (日本毛織物等工業組合連合会理事長)岩田 仲雄氏に聞く

インタビュアー:繊維調査部長 藤井 健三

 今年、第5回を迎えるジャパン・クリエーション(JC) は、オールジャパンの総合見本市として6万人規模を動員するまでに成長し定着した。 日本の繊維産業の規模が縮小する中で、質の高いファッションを世界へ発信し、安定した産業として生き残りを図ろうとするJCの取り組みについて岩田JC実行委員長にたずねた。

■トピックス

【中国化学繊維工業協会第3回会員総会特別講演】 日本化繊産業の課題と中国化繊産業への期待 

平井 克彦 日本化学繊維協会 会長 講演(要旨) 

 中国の化繊工業協会の第3回会員総会が去る8月15日、16日の両日漸江省粛山で開催された。西湖に面した風光明媚な都市として知られる杭州の郊外にある小さな街が粛山だが、古来絹織物の産地として知られ、近時はいくつかの化繊メーカーが立地している。 この総会に日本化学繊維協会の平井克彦会長がゲストスピーカーとして招待され、中国の化繊企業約300社の代表を前に「日本の化繊産業の課題と中国化繊産業への期待」と題した特別講演を行なった。世界の繊維産業の展望、日本の化繊産業の構造改革の過程、日本の化繊産業が現在取り組んでいるグローバリゼーションや技術開発等の課題について述べた後、WTO加盟を間近にしている「繊維強国」中国に対する期待と日中間の連携のあり方について強い口調で語りかけた。本講演の要旨を下記に紹介する。

中国化繊工業の発展と課題について 

許 坤元 中国化学繊維工業協会 会長 講話(要旨)  鄭 植芸 中国化学繊維工業協会 理事長 活動報告(要旨)

 中国化繊工業協会は中国紡織工業協会傘下の化繊の業界団体である。朱鎔基首相の行政改革の過程で中国の繊維産業関連の行政機関が、紡織工業部→中国紡織総会→中国紡織工業局→国家経済貿易委員会紡織処と変遷してきたなかで、中国の繊維関係の業界団体は業界のまとめ役と行政との接点として重要な役割を果たしている。 中国の化繊企業は日本や他の地域と異なり、少数の大型企業と多数の中・小型企業によって構成されている。この中国化繊工業協会の4年に1度の会員総会が去る8月15日~16日に開催されたことは別掲の通りだが、この総会における許同協会長の講話と鄭理事長の活動報告の要旨を紹介する。 2000年の生産量が700万トン近くとなり急成長を遂げている中国化繊産業の現状および課題について、中国の業界の強い意気込みが読み取れる内容であり、ご参考に供したい。 許会長の講話では中国化繊工業協会の役割を協商・協同・協作・協調の5つの"協"の会(あつまり)であるとしたうえで、中国の化繊産業のチャンス、競争、直面する問題を企業活動の"汎用品の生産""新製品の開発""情報化""国有企業の改革"の各分野について方向性と目標を明確に示している。 鄭理事長の報告では協会活動の現状と発展のための対策について、具体的にかつ力強く総括している。

■業界情報

わが国合繊産業の現状と環境変化への対応

向川 利和 特別研究員 繊維産業アナリスト

 合繊繊維は、ナイロンのデュポン社、ポリエステルのICI社のように、欧米で開発され、これが先駆けとなって、戦後、欧米の化学企業(ケミカルジャイアンツ)が牽引車となり、素晴らしい発展を記録した。1960年から80年までは、まさに日米欧先進国に於ける合繊発展の黄金時代であった。(図表1、2)  その後、生産の中心が、韓国・台湾・アセアン・中国などアジアに移行するに連れて、供給過剰と価格の低下が表面化し、我が国では、1975年以降、生産量は殆ど増えていない(図表3)。1990年代に入ると欧米のケミカルジャイアンツは、不採算の合繊事業から撤退、或いは分社化、アライアンスを進め、新たにバイオテクノロジーやライフサイエンスなど投資効率の高い事業へ転換を進めた。一方で、我が国は、急増するアパレル輸入が、国内のミル消費を減少させ、新たな構造改革を迫る状況にある。以下、幾たびかの転換期を迎えながらも経営戦略をその度に変化させ、事業環境の変化に対応してきた我が国合繊産業の50年を振り返る。

■世界の動向

内側から見た中国(今昔物語)13-完結編(その1)  -そして5年後・・・国営企業改革の進展と新しい時代への突入-

繊維調査グループ

 筆者は中国陝西省の国営企業第2印染との合弁会社である華昌の総経理として●●年~●●年まで勤務し、その時の経験に基づいて中国特有の文化や国営企業の実態、経営のポイントなどを本誌2000年5月号から2001年6月号まで12回にわたる連載のなかで紹介してきた。今月号と来月号では本連載の完結編として、華昌を離れたこの5年間を振り返って報告する。

■統計・資料

日本の合繊各社の主要海外繊維生産拠点リスト(2002年10月) 

東麗酒伊織染(南通)有限公司 社長 御法川 紘一

■新製品・新技術動向

生分解性ハイテク繊維  -「ラクトロン」の魅力と今後の展望- 

カネボウ合繊株式会社 ラクトロン事業化推進室  技術開発グループ統括マネージャー 山中 敬雄

 「ラクトロン」は、トウモロコシなどのでんぷんから得られるポリ乳酸を原料としており、自然循環が可能な非石油・植物由来の新しい合成繊維である。通常用途で充分な糸強度をもつだけでなく、これまでの合繊にない新しい魅力を秘めた繊維でもある。長繊維、短繊維など各種の繊維形態で製造され、さらに織物、編物、不織布などに二次加工され、一般資材分野や衣料分野で広く展開されている。使用後はコンポスト化などの方法により土中の微生物の働きで水と炭酸ガスに分解される。

■繊維産業政策

都市の歴史に見る次世代産地「ものつくりタウン」 

財団法人ファッション産業人材育成機構 IFI総合研究所 所長 恵美 和昭

 繊維産業が業績悪化に苦しんでいるなかで、繊維産地のなかには崩壊の危機に瀕しているところもある。しかし現在の環境変化に適応する産地再生のチャンスはある。都市形成の歴史をかえりみれば、産地がコンパクトで自立的な都市の成熟した姿であることがわかる。大都市化による深刻な都市問題の発生で、世界的に持続可能なコンパクト・シティ構想が浮かび上がってきている。かつて産地が蓄積した伝統的資産を再評価して、次世代の産地「ものつくりタウン」の構想の必要性を提起する。

■ファッション

イタリア流マーケティングに学ぶ(その1)  カラーコーディネーションにきわめて敏感なイタリア人たち

小林 元 小林イタリアオフィス代表

 日本のアパレル業界では、色彩で勝負するというよりコストで勝つという考えがまだまだ多いようだ。イタリアでは、微妙な色の差を前面に出して、自社製品を差別化する。そうした素材を自分流に美しくコーディネートした装いがおしゃれとされる。

ファッション・ストリート・ルポ 変わりつづける銀座  -消費者の目から見た銀座の魅力- 

植田 有紀 繊維調査部

 最近雑誌やテレビで盛んに紹介されている「銀座」。先日発売された女性誌『オズマガジン2001年10月8日号』のタイトルに「母の愛した私が好きな銀座」とあったが、確かにこのタイトルがぴったりである。世代が変わっても魅力的な街といわれるのはなぜか。この街を歩けば誰もが感じるだろうが、「銀座」の魅力はまさに「古いのに新しい街」という点だろう。世界の一流品を並べる「高級ブランド店」や創業100年以上も続く「老舗」もあれば、「ユニクロ」や「マツキヨ」そしてカジュアルなカフェも並ぶ。伝統を守りながら常に変わりつづけて新しいトレンド発信地となっている銀座について、その変化に焦点を当て、消費者の立場から魅力を探ってみたい。 

■伝説に残る織物の里シリーズ6

パイル織物のふるさと -和歌山県伊都郡高野口町

繊維調査部

 和歌山県伊都郡高野口町を中心とした橋本市・かつらぎ町・九度山町はシール、ボアなどのいわゆるパイル織物の産地として知られており、機業地としては古い歴史があります。パイル織物とは織(編)物の基布に毛(パイル糸)が織り(編み)込まれている特殊な有毛布地で、肌触りが良く、伸縮性、保温性に富み、高級毛布をはじめ、新幹線や観光バスのシート生地、カーテンやひざ掛、ぬいぐるみ、など多くの寝装・生活雑品分野に使われています。パイル織りの起源は4世紀頃のエジプトにまでさかのぼり、長い年月を経てその技術は日本に伝えられたといわれています。

■統計・資料

I.主要短繊維糸・織物の相手国別輸出入統計 

1. 綿織物輸出 2. 純綿糸輸入統計  3. 綿織物輸入  4. ポリエステル綿混織物(T/C)輸入 

II.主要長繊維糸・織物の相手国別輸出入統計 

1. ナイロンフィラメント(N-FY)の輸出  2. ポリエステルフィラメント(P-FY)の輸出  3.ポリエステルステープル(P-SF)の輸出  4. アクリルステープル(A-SF)の輸出  5. ポリエステル長繊維織物の輸出  6. ポリエステルフィラメント(P-FY)の輸入  7. ポリエステルステープル(P-SF)の輸入