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2021年3月31日
【論点シリーズ】No.21-04
水素社会の実装に向け動き出した「欧州水素戦略」
―欧州は水素利用のトップランナーに?―
産業経済調査部
山口 智也

・欧州委員会が2020 年7 月に発表した「欧州の気候中立に向けた水素戦略」(以下「欧州水素戦略」)は、水素社会の段階を実証実験から社会への実装に移行させるもので、2017年に策定された日本の水素基本戦略に比べて高い目標を掲げている。 ・野心的といってもよい目標を掲げている背景として、地球温暖化防止に向け、再生可能エネルギーの最適な利用、化石燃料が大半を占める熱エネルギー源の置き換えといったことが不可欠になっており、水素の利用拡大が有効策として認識されていることが挙げられる。 ・欧州では、以前より再生可能エネルギー由来の電力を使って水を電気分解して水素を生成する仕組みの開発、燃料電池車や熱電併給型の燃料電池のコスト低減や普及拡大といった取り組みが域内全体で進められており、欧州水素戦略はその総仕上げといえる。 ・欧州水素戦略が実行される過程で水素分野への投資拡大が期待され、市場の成長が期待できる。市場は巨大かつ裾野が広いため、日本企業の参入余地は大きい。 ・日本の水素利用に向けた政策や具体的な取り組みはタコツボになりがちであり、利用拡大に向けた明確な司令塔も見えない観がある。「脱炭素化の加速に向けて水素利用を拡大する」という意思がみえる欧州水素戦略を参考にするならば、水素の利用拡大に向け、水素関係者だけでなく、発電事業者や産業界などと連携し、「脱炭素に向け、いかにして水素を利用していくか」について考え、取り組んでいく必要があるだろう。

【キーワード】

水素社会、欧州水素戦略、気候中立、グリーン水素、P2G、燃料電池、再生可能エネルギー

PDF : TBR産業経済の論点 No.21-04(892KB)