close

2016年12月1日
繊維トレンド11・12月号 2016 No.121

■ファイバー/テキスタイル

超臨界流体染色の開発の現状と市場での動向

福井大学産学官連携本部 客員教授 堀 照夫

【要点】
(1)
1㎏の繊維を染色するにはその約200~300倍もの水が使用され、各工程で多くの廃熱や廃液が排出されている。このため染色工業はいまだにローテク産業ともいわれている。
(2)
水に代わって二酸化炭素を媒体とする染色がタイ、台湾で実用化され、スポーツアパレル企業がこの手法を推奨し始めた。
(3)
現在はポリエステルニットの染色のみが対象であるが、日本の技術などによりポリエステル織物、さらにはポリプロピレンやナイロンの染色にも展開されようとしている。
(4)
この手法は染色に限らず、精練から機能加工までの分野に展開が可能で、実用化に向けて技術開発が進む。

 

2017/18年秋冬向けフィレンツェ展示会に見る糸のトレンドと ウールマーク社Wool Labからのファッショントレンド予測

株式会社インテグレード 代表取締役社長 欧州繊維専門月刊誌『Twist』在日特派員 永松 道晴

【要点】
(1)
来年秋冬の動向を占う第一弾フィレンツェのピッティイマジネフィラティはエコラグジュアリー、革新的なファイバーの組み合わせ、そして機能性を糸に組み入れるハイテクを前面に出した展示会となった。
(2)
今回の展示会はニットに焦点を当てて、カジュアルとフォーマルを組み合わせた活動的なアスレジャー(athletic leisure)という新しい表現でニット衣料のトレンドを提示している。
(3)
イタリアの紡績Cariaggiとオーストリアの宝飾メーカーSwarovskiとのコラボレーションに見られるように、ニット生地の風合いと表現力を高度化してラグジュアリー市場で地歩を固める開発が加速している。
(4)
素材開発から製品小売りまで環境問題にいち早く対応することが競争の激しいグローバル市場で勝ち残る鍵だとして、各紡績は「ファッションがグリーンの場」「スローウール」「良き倫理こそ良い商売」「エジプトでのCottonforlife イニシアチブ」などのモットーを掲げて展示会に臨んでいる。
(5)
ウールマーク社のWool Labが2017/18秋冬に提示しているトレンドは、男性は冒険精神を、女性は従来のファッションからの離脱を、ファッションに機能性を加えるアスレジャーを、安全と自由を、そして都会生活に農作業を取り入れる自然回帰を、など昨年来の欧州の社会情勢の流れを微妙に意識したものとなっている。

 

TPPの米国繊維産業に与える影響 (USITCによる分析)

日本化学繊維協会 常務理事 杉原 克

【要点】
(1)
米国国際貿易委員会(USITC)がTPPの米国経済に与える影響を試算した。TPPは米国のマクロ経済を、全体でみれば活性化させる効果がある。
(2)
繊維産業に関しては、米国の高率な関税が撤廃されることから、衣料輸入の増加で最も効果が現れる。
(3)
TPPにより、米国の衣料輸入は増加となるが、輸入先が中国からベトナムに転換される。

 

シルクの新しい展開

信州大学 繊維学部 教授 玉田 靖

【要点】
(1)
シルクは繊維のみでなく、フィルム、パウダー、スポンジ、ゲル、不織布、樹脂という多様な形状へ水溶媒下で加工が可能となる。
(2)
シルクは手術用縫合糸として2,500年以上の歴史がある医療素材で、生体安全性や生体親和性に優れている。
(3)
シルクスポンジを用いる新しい軟骨再生治療システムを提案し、動物評価によりその有効性を確認している。

PDF : 詳細(3,324KB)

■縫製/アパレル

英国SuperGroup(スーパーグループ)の海外戦略

牛田(上海)投資咨詢 有限公司 総経理 牛田 賢

【要点】
(1)
意味不明の日本語を含むブランド“Superdry. 極度乾燥(しなさい)”は、英国の上場企業:スーパーグループが運営している。
(2)
スーパーグループは、189の国と地域へ自社商品を販売している「グローバルな企業」である。
(3)
海外(自国以外)で事業を急拡大する手法は、多種多様(自社、フランチャイズ、ライセンス、買収、J/V、EC)であり、日本企業にとって大いに参考になる。

■小売/消費市場

メイドインジャパンブームの現在

東京ファッションプランニング株式会社デザイン・企画カンパニー 社長 山田 桂子

【要点】
(1)
メイドインジャパンがブームとなっている。テレビや雑誌での露出度も高い。2015年に話題となった「インバウンド」とセットとなってブームを牽引している。
(2)
メイドインジャパンのブームは、近年都内で開業した商業施設にも色濃く現れている。
(3)
百貨店やセレクトショップのいくつかは、一時的ブームとしてではなく、メイドインジャパンを企業戦略の柱と位置づけている。
(4)
メイドインジャパンが単に業界事情を反映するものとしてだけでなく、マーケットに根付いてこそ存在価値がある。

■新市場/新商品/新技術動向

ファッションレンタル「エアークローゼット」 -日常着をレンタルするという新しい発想でファッションの新たな地平を拓く-

フリージャーナリスト 土井 弘美

【要点】
(1)
全くファッションとは縁のなかったIT企業が、日常着をレンタルするという新しい発想でスタート
(2)
全国に散らばる100人以上のスタイリストが、その人に似合う服を選ぶ
(3)
IT企業らしい緻密さで、管理システムを構築
(4)
東京・表参道に実店舗もオープン

■キーポイント

ジーンズで注目集めるファクトリーブランド立ち上げの動き ―独自技術を生かした新たな事業展開―

ダイセン株式会社「繊維ニュース」記者 向井 幸明

ここ2、3年、素材トレンドでデニムが注目を集め、これまでに無いストレッチ性の高いデニムの広がりやビンテージブームの復調によるセルビッヂデニムの人気などで、不透明な衣料品消費が続く中にあっても、ジーンズ販売は堅調に推移してきた。しかし、個人消費の低迷が長引く中、その動きにも陰りが見え始めている。こうした状況に対応し、ジーンズ業界でファクトリーブランドの立ち上げが活発化している。

■統計・資料

主要商品市況