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2009年5月1日
繊維トレンド5・6月号 2009 No.76

■特別レポート

北陸繊維産業シンポジウム講演抄録 産業資材・生活資材用繊維の動向と東レの中期事業戦略

東レ株式会社取締役 繊維事業本部産業資材・衣料素材事業部門長兼繊維リサイクル室長 中川 秀勝

去る3月6日に、金沢市のANAクラウンプラザホテル金沢において、東レ株式会社と株式会社東レ経営研究所の共催で、繊維産業シンポジウム『北陸産地の復権を目指して』を開催しました。当日は、DOWAホールディングス株式会社吉川廣和代表取締役会長・CEO、一橋大学イノベーション研究センター米倉誠一郎センター長・教授、東レ株式会社中川秀勝取締役の3人の講師にご講演いただきました。本号では、そのうち、中川秀勝取締役の講演内容をご紹介いたします。なお、弊社の経営情報誌『経営センサー』5月号にて吉川廣和代表取締役会長、6月号にて米倉教授の講演内容を別途ご紹介いたします。

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■海外動向

世界のファッションウィーク制度の役割と今後の展望

ニューヨーク州立ファッション工科大学 准教授 川村 由仁夜

今号から、ニューヨーク州立ファッション工科大学の川村准教授に、米国を中心に欧米のファッション業界・市場について寄稿いただく。消費が低迷し、ラグジュアリーブランドが苦戦を強いられる中、低価格路線のSPAがグローバル市場への攻勢を強めており、世界同時不況後のファッション業界の在り方や構造はこれまでと全く様相を変える可能性がある。こうした中で世界レベルでの業界の構造変化等の動向をレポートいただく。

China News チャイナファッションウィーク09/10秋冬コレクション 

横川 美都 研究員

今年2月10日に中国紡織工業協会は、世界的不況を踏まえ国内の繊維関係の大型イベントである中国国際時装週チャイナファッションウィーク(以下CFW)、インターテキスタイル北京、及び中国国際服装服飾博覧会(CHIC)を3月に平行して開催するという「振興紡織産業春季市場大行動」を発表、国内外からより多くの集客とより広い市場の開拓を目指すと発表しました。 今回は、その中で2009年3月25日から30日まで開催されたCFWについてレポートします。 CHIC及びインターテキスタイル北京については、弊社中国繊維ファッションビジネス研究会ホームページの『中国ビジネスレポート』で紹介しています。

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シリーズ 在イタリアデザイナー現場リポート(生産現場・市場・トレンド)第2回 2010年春夏の欧州素材展示会を見て

デザイナー 小川 健一

今号では、イタリア在住のデザイナー小川氏に欧州の素材展示会について最新現地情報をレポートいただく。

シリーズ テクニカル・テキスタイルの開発動向 第1回テクニカル・テキスタイルとその概要 

テキスタイルジャーナリスト 米長 粲

【要点(Point)】
(1)繊維・テキスタイルは品質向上とともに、金属、プラスチック、木材に置換し、更に新しい機能素材として、技術的要素に重点を置いた新しい分野であるテクニカル・テキスタイルの開発が進んでいる。
(2)テクニカル・テキスタイルは最近、欧米、東アジア地域で積極的な伸びを示し、テキスタイルの20~40%に達している。
(3)輸送機器資材や工業資材、衛材・医療用資材などが数量的に大きいが、付加価値の高い防護・安全資材やアクティブスポーツ資材など今後の成長が期待される。
(4)テクニカル・テキスタイルの開発はこれまでの技術提示型からマーケット牽引型に変換しつつあり、新しい用途開発が期待される。
(5)欧米ではテクニカル・テキスタイルは高度な技術と多くの開発資金を必要とするため、国の資金援助のもと、大学・研究機関と連携して、素材、用途開発が多数の企業が参画するプロジェクト型開発で進められているケースが多い。

■国内動向

日本のファッション市場の解体と再構築 -新中間層市場とコモディティ化の流れ-

坂口 昌章 客員研究員 有限会社シナジープランニング 代表取締役

【要点(Point)】
(1)日本の婦人既製服は、きもの、オーダーメードとの関係から、元々、コモディティ志向が強かった。しかし、日本のアパレル企業が成長したのは、一億総中流市場全体が高級化し、高額な商品を購入したことによる。
(2)80年代にブームとなった個性的なDCブランドも、富裕層ではなく、一般的な中間層が中心顧客だった。欧州の高級ブランドバッグの中心顧客も中間層である。したがって、中間層全体のコモディティ志向が強まれば、ブランド人気も消失するだろう。
(3)世界的には新中間市場が台頭している。これまで高額なファッション商品に手が出せない中低所得者の所得水準が上がり、価格はリーズナブルだが、ファッションやトレンドを積極的に取り入れたZARA、H & M等のブランドが人気を集めている。
(4)日本では、ユニクロに代表されるように、ファッションやトレンドを追いかけるのではなく、品質が高く性能の良い生活ギア、生活グッズとしてのコモディティアパレルが人気を集めている。一方で、格差が進み、一億総中流市場は崩壊しつつある。
(5)ファッション雑誌、ショップ、ブランドが影響し合いながら、市場が成長するというパターンも崩壊しようとしている。雑誌媒体がインターネットと連携し、ダイレクトに販売するという動きが強まっている。ショップを介在しないダイレクトな流通が生まれつつある。
(6)新しい動きに対して、店舗流通は対応しなければならない。戦略キーワードは、「イベント」「メディア」「個人」。小売流通企業は、商品を販売して資金を回収するという単純なビジネスモデルではなく、社会的役割、地域とのコミュニケーション、施設を介した個人とのコミュニケーションという視点を持った新たなビジネスモデル構築の必要がある。

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シリーズ 日本ファッションアパレルの課題と今後の展開 第3回 ミラノのラグジュアリブランド・プレタポルテの設計過程

信州大学 繊維学部 創造工学系 教授 大谷 毅 大阪夕陽丘学園短期大学 キャリア創造学科 准教授 宮武 恵子

【要点(Point)】
(1)ラグジュアリブランドの“プレタポルテ”は製品もかなり周到に製造される。その設計・生産過程はオートクチュールとは異なるが、また量産(大ロット)の基準にも準拠しない。かつて日本にも存在した製造工程での熟練した技能が尊重されるが、これらの技能は中国等における量産本格化にともない日本の現場から消えていった。
(2)ラグジュアリブランドのモデルとして「メゾンQ」を設定した。メゾンQのクリエーションはCD(スティリスト)裁量であるが、その裁量枠はインハウスデザイナーによる一次設計可能な範囲にとどまる。メゾンQの二次設計は外注先アパレルメーカー所属のモデリスタが担当し、メゾンQのデザイナーとの相互作用によりCDの狙いを可能な限り理解し、製造工程とその従事者の熟した技能を駆使するが、一次設計やデザイナーを介してCD らいちいち指示があるのではない。
(3)プレコレクションの普及で製造期間が短縮し、材料の前倒し発注によりリスクは増加した。メゾンQは“プレタポルテ”の製造工程には投資しないから、アパレルメーカーの地位は上昇し、モデリスタは一次設計にまで介入する傾向がある。
(4)メゾンQと本邦アパレルを対比し、その視点からDolce and Gabbanaの08AW製品を分解し前掲指摘の傍証を試みた。

シリーズ 高コスト先進国における企業生き残りのKey Factor 第10回 岐路に立つブランド論(2) ―マーケティングと個別文化の創造(1)―

青山学院大学 経営学部 准教授 東 伸一

【要点(Point)】
(1)伝統的なブランド論によるブランド機能を「不完備契約克服性」とするならば、現代の市場においては、その役割をブランドが演じることの難しい状況が発生している。
(2)伝統的ブランド論によるブランド機能が不全に陥る背景では、3つの次元から構成される消費多様化が作用しているが、それだけではなく、マーケティング行動主体の多様化やマーケティング経路構造の変容も影響している。
(3)流通企業とメーカーそれぞれに固有の情報・知識・技術を結合する形態でのマーケティング行動による市場への働きかけの様式をネットワークモードと呼ぶ。その潜在効果は、「不完備契約克服性」が機能不全となっている市場環境における、第二のブランド・アプローチである「個別文化創造」機能の活用に向けての論理的な整合性を備えているが、とりわけファッション性の高い(精神的破損性の高い)商品の領域で考えた場合、現実には、ネットワークモードの導入への障壁が存在する。
(4)ネットワークモードを経由した個別文化創造による市場創造を躊躇する企業が目立つ理由として、(1)短期的な行動不確実性の低い事業存続[going concern]モードを優先したマーケティング行動様式の選択傾向と(2)個別文化創造アプローチを採用した場合に予測される市場危険負担の増分を回避しようとする傾向を挙げることができる。

環境低負荷型染色加工技術の着眼点 II

森本技術士事務所 技術士(繊維) 森本 國宏

前号では染色加工業でのエネルギー消費について概観し、省エネに関する取り組みについて一般論を述べた。 本稿では染色加工業での省エネを工学的手法で行う常識的手段の各種パラメータのデータ採取とそれにプラスした測定技法について例示し、理解が深められるよう解説する。また、より具体的な例として連続式染色・洗浄装置を取り上げ、その省エネへの着目点を詳述する。

「団塊の世代」から「アラ還」へ

東京ファッションプランニング株式会社 デザイン・企画カンパニー 社長 山田 桂子

 

【要点(Point)】
(1)団塊の世代を指す新たなマーケティング用語として「アラ還」という言葉が使われるようになっている。「アクティブシニア」など従来の言葉を一新することにより、新しいマーケットチャンスを見出すことができる。
(2)アラ還女性は、業界が想像している以上に、「美」への意識が高く、努力しようという姿勢を持っている。低いレベル設定のままで商品開発を進めても、現実に追いつくことはできない。
(3)アラ還の主要なライフシーンは5つ考えることができる。今後可能性が大なのは、エンタテイメントシーンとプレジャーシーンだ。

■知りたかった繊維ビジネスのキーポイント

バイオベースプラスチック/バイオベース繊維の可能性

日本化学繊維協会 技術グループ 主任部員 大松沢明宏

■図表解説

トピックスチャート 伸びるゴルフウエア ―― 躍進する「新世代ゴルファー」

■統計・資料

主要国の合繊4品種の需給動向

日本/韓国/台湾/アメリカ/中国/インドネシア/タイ/インド